EUガイドブック

EU規制ガイドブック

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1.はじめに

海外展開を進めていくと、さまざまな参入障壁に気づきます。
海外現地規制もその1つです。
日本の商品・サービスのほとんどは、海外現地規制に基づき設計開発された一部の商品・サービスを省き、
そのままでは現地で販売できません。

例えば、表示ラベル貼替え、各試験実施、認証取得、規格に基づいた取扱説明書作成等を含む
各国規制・規則・指令への準拠が必須となります。

しかし、これらを事前に整備している中小事業者は非常に少なく、出荷直前、客先からの要請で初めて具体的な規制を知り、
『日本では問題なく販売している、大丈夫では?』
『今回だけこのまま輸出できないか?』
『契約も終わっている、何とかならないか?』 と困惑します。
残念ながら、規制に準拠していない商品・サービスは現地では流通できません。

万が一流通させてしまうと、輸入差し止め、貿易取引停止、全品自社回収、損害賠償請求など、
想像以上のリスクを負うことになります。
当該国からの撤退だけで済まず、直接日本本社が、大きなダメージを受けることもあるでしょう。

規制準拠を決断した中小事業者が次に直面する障壁は、準拠に必要な費用と時間と支援業者選定です。
規制準拠に取り組む方法には、下記の2つがあります。

①自社だけで調査、試験、書類作成をしていく方法
②規制準拠支援業者(認証機関やコンサルティング会社等)に相談・依頼し進める方法

1.はじめに(つづき)

自社だけで進められる場合は、かなり費用が削減できます。(自社認証ができない規制もあります。)
ただし、相応の社内体制と英語力が必要です。
例えば仕様書、設計図面、取扱説明書等がすでに英文で社内完備されていて、かつ、欧州委員会のホームページ(英語)を読解でき何が求められているか?の本質を理解できる、などのレベルであれば良いでしょう。

支援業者に依頼する場合は、予算確保と、どの会社にどこまで依頼するか? が肝になります。
他国の規制やルールを直接確認し、商品・サービスの設計に反映させ、リスク分析と対策を行い、規制準拠を実現する、これらを支援業者に相談・依頼した場合、およそ40万円~200万円(まれに~500万円)の費用、2カ月~2年間の時間がかかるでしょう。
(商品・サービス、ターゲット国、規格・試験内容、相談事業者側の英語力・経験値・人材・備・社内体制レベルにより
大きく異なります。)

詳しくは後述しますが、規制準拠支援業者それぞれには、得意・不得意分野があります。
また、認証機関とコンサルティング会社では立場が異なります。
よって規制準拠の基礎知識が全くないまま、各社へまちまちに見積依頼をしてしまうと、
期待通りのアウトプットが得られないこともあるでしょう。

①自社で進める、②業者に依頼する、いずれの選択においても、規制準拠の基礎知識は、時短・コスト削減のために必須です。

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q1~Q3)

Q1「EU規制って、結局、何をどうすればいいのですか。」

“欧州委員会のホームページ(https://ec.europa.eu/growth/index_en)を読み込み、自社商品・サービスに求められる安全基準を確認し、指令や要求内容を特定し、試験を実施、技術文書を作り、適合宣言をすれば、良いです。“

Q2「それってそんなに難しいですか。」

“情報源がすべて外国語(英語等)で、技術文書・適合宣言書も英語で作成するので、それなりに難しいです。“

Q3「ある程度、英語がわかればOKでしょう?」

“ぜひ一度、欧州委員会のCEマーキングのページにアクセスしてみてください。
自社商品・サービスに該当する指令・規則・規格の特定、試験の有無や選定、技術文書の構成等、何をどうすれば良いか?を判断できるようならOKです。もしクリック3回目くらいで、ムムムとなれば、自社だけで進めることは困難でしょう。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q4~Q7)

Q4「EU向けのすべての商品・サービスが対象ですか。」

“EU向けのすべての商品・サービスは何らかのEU規制の枠組み内に入ってきます。“

Q5.「中小事業者は、免除されますか。」

“いいえ、免除されません。”

Q6「インターネット販売は、規制対象外ですよね。」

“いいえ、規制対象内です。”

Q7「でも、EU向け輸出は年に数回あるかないかです、本当に少額だし、大丈夫だと思います。」

“輸出取引高・輸出量・輸出頻度、オンライン販売・オフライン販売は関係ありません。
企業規模・販売方法・取引高に関わらず、EU向けのすべての商品・サービスは、CEマーキング制度を含むEU規制の枠組み内にあります。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q8~Q10)

Q8「え。CEマーキング制度とEU規制って違うのですか。」

“違います。
EU規制という大枠があり、その中にCEマーク貼付義務のある規制、CEマーク貼付義務のない規制、等があるイメージです。“

Q9「CEマーク貼付義務のある規制とは何ですか。」

“4.こんなにあるEU規制① CEマーキング制度24群 に一覧表があります。現時点(2018年6月)で24群あります。”

Q10「じゃあ、CEマーク貼付義務のない規制とは?」

“5.こんなにあるEU規制② CEマーキング制度以外の枠組み規制 に一覧表があります。ただしこれらは、すべてでは無く、商品・サービスによっては更に、個別の規制等が存在する可能性もあります。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q11~Q13)

Q11「まだ他にもあるんですか?それはどうやって調べるのですか。」

“欧州委員会のホームページ(https://ec.europa.eu/growth/index_en)を読み込み、ご自身で検索して調べることになります。
他のサイトや書籍においても、すべてを網羅した日本語の情報はまだ存在しないようです。
別のヒント、1つの調べ方として、自社の競合にあたる海外企業がすでに同等商品・サービスをEU市場で展開している場合、それらの適合宣言書(おそらく英語)は一般開示されている(無料のネット検索で見つけられる)こともあり、そのような情報も、何らかの参考にはなるでしょう。”

Q12「ムム・・・・・・・。 ところでCEマーク貼付義務のある規制の方が、義務のない規制より、準拠するのは大変なのですか?」

“そうとも限りません。
CEマーク貼付が義務でなくても、ものによっては、安全要求基準が厳しく、試験が難しいものもあります。
CEマーク貼付が義務でもNBにて認証せず、自社認証(自己宣言)で済む規制もあります。
*NB…Notified Body:通知(認証)機関 “

Q13「もしかして、CEマーク貼付義務のない規制も、何かする必要があるのですか?」

“あります。安全要求基準を確認して、試験が必要であれば実施して、必要な書類を完備します。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q14~Q15)

Q14「CEマーク貼付義務のある規制24群内に自社商品が見当たらなかった為、何もしなくていいと思っていたのに・・・。」

“自社商品・サービスが、CEマーク貼付義務のある規制24群内に該当しない場合も、
一般製品安全指令(GPSD) 2001/95/EC をはじめとするCEマーク貼付義務のない規制への理解と確認は必須です。”

Q15「だんだん何だか難しくなってきた~、EU規制全体として、自社に何が関係してくるのか、それだけ、ざっくり知りたいです。」

“3. 自社商品のEU規制を探せ!EU規制等早見表 に一覧表をまとめました。ご自社の商品・サービスが属する産業で、確認してみて下さい。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q16・Q17)

Q16「ざっと見ましたが、REACH、RoHS、WEEEというのも出ています、聞いたことがありますが、よく判っていません。」

“”REACH(リーチ)、RoHS(ローズ)、WEEE(ウィー)と読みます。REACH規則は特定化学品の情報提供の義務(場合によっては登録)の法律、RoHS指令は電子・電気機器の特定有害物質使用制限、WEEE指令は電気・電子機器のリサイクルの規制です。REACHは、1社あたり特定化学品を年間1トン以上製造・(EU)輸入している企業が対象ですので、該当する中小事業者は少ないかもしれません。RoHSとWEEEは電子・電気機器製造業の方が対象ですが取引先の日本企業のEU進出に伴い、すでに何らかの形で準拠されていると思われます。(非準拠のままでは、取引先がEU市場で使用できない為、取引を断られているはずです。)”

Q17「ええっと、私の場合はある程度英語は理解できる為、欧州委員会のホームページをチェックしました。規格や試験について難しいことは書かれていない気がしますが、具体的に何をすればよいかがイマイチ分かりませんでした。。。」

“分りづらいところかもしれませんが、決して難しいことではありません。
適合性評価はモジュールA~Hまで8つありますが、ほとんどの商品(9割)がモジュールAに該当し自己認証が可能です。(適合性評価モジュールについてはブルーガイドP32、等を参照ください)
https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/4f6721ee-8008-4fd7-acf7-9d03448d49e5
http://j-net21.smrj.go.jp/well/rohs/column/111125.html
但し、安全基準を満たす根拠を自社責任で整える必要があります。具体的には自社によるリスク分析が必須となります。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q18・19)

Q18「リスク分析、ですか。。。」

“その商品、サービスの想定されるリスクの範囲特定、リスクの抽出を経て、リスクを見積もり、適切な試験を実施し、リスクが低減できたことを自社にて確認し、安全認証の責任を持つ(NB認証含め)ということが必要です。
また、認証して終わりではなく(CEマークを貼付して終わりではなく)、市場へ情報を提供すること、新たなリスクが見つかった場合には適切な措置をとること等が義務付けられています。 “

Q19「・・・・・・・。話が難しくて、ついていけてないかも。日本語の情報が少ない現状では何をどうするにも、中小事業者には、八方塞がりに思えます。」

“民間の認証機関や支援業者に、自社商品・サービスのEU規制準拠について相談されるのも1つです。 公的機関としては、広域首都圏輸出製品技術支援センター(MTEP:エムテップ)があります。
詳細は8.公的機関の窓口案内をご参照ください。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q20・Q21)

Q20「実は、ネットで調べて、色々問い合わせをしていました。規制の調査に数万円かかる、試験ごとに費用がかかる等、見積もりをいくつか揃えたものの、本当に必要かどうかが判らない為、社内に説明ができないままです。やはり八方塞がりに思えます。」

“類似相談は実際に多いです。全てではありませんが、業界各社を、7.認証機関 支援会社リストに一覧表をまとめています。問い合わせる際のポイントは、下記の5点です。ぜひ積極的に取り組んでみてください。
①まずEU規制の最低限の基礎知識を持つ。(本冊子など)
②自社で取り組む場合の難易度を理解しておく。
③各社の得意分野を調べ、対象商品・サービスであることを確認し、問い合わせる。
④自社の商品・サービスの詳細を手元に準備しておく。
(例:仕様書、部材調達情報、設計図面、取扱説明書等)
⑤自社の商品・サービスの輸出先国(輸出候補国)、流通、使用用途について説明できるようにする。”

Q21「見積もりは以前頂いたことがあって、今はポイントだけ、情報だけ、ちょちょっと業者さんに電話で聞きたいだけですが。」

“その内容が各社の得意分野であることが大前提ですが、何についての質問かを明確にすることと、その情報が無料かどうか確認する必要があります。なお、各社が開催する無料のセミナーでは、具体的な質問に個別回答が可能なようです。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q22~Q24)

Q22「見積金額は何によって変わるのでしょう。」

“支援会社が日本企業かグローバル企業か、第三者認証機関か規制準拠支援業者(コンサルティング会社)か、試験設備所有の有無、拠点ロケーション、得意分野かどうか(工数が事前に予想できるかどうか)、どこまでを支援範囲とするか、により見積金額は変わってくるでしょう。”

Q23「支援範囲とは?」

“①規格や試験の特定、②試験の実施、③技術文書や取扱説明書の作成支援等、何をどこまで含めるかです。”

Q24「特に見積金額が高くなる要因はありますか。」

“あります。試験実施と社内体制です。
場合によっては試験費用は高額で、試験を実施するかどうか、どこで実施するか、は影響要因です。
英文仕様書が未だない、規格や試験の知識が全くないなど、海外展開体制が未整備な場合も、その分の人的コストが加算されるでしょう。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q25~Q27 )

Q25「でもそもそも、CEマーキング制度って、昔は無かったですよね。」

“1993年から導入されました。当時と比較すると、年々厳しくなっています。“

Q26「もしも今、CEマーク貼付なしで輸出したらどうなるのでしょう?」

“CEマーク貼付義務のある商品・サービスに、CEマークが貼付されていなければ、現地で輸入通関ができないでしょう。”

Q27「絶対ムリでしょうか。」

“『万が一』、通関できたとしても、市場流通ができない(店主は小売店に並べたくない)、工場が受け入れを拒否する、監査で一発退場となる、消費者から苦情がある、等で早晩摘発されることになるでしょう。
RAPEX(http://www.ec.europa.eu/rapex)にて社名公開される等の制裁を受けますので注意しましょう。”

2.EU規制 何をどうすればいい? FAQ30問答(Q28・Q29)

Q28「当社はこれからどうしたらよいでしょうか。EU市場を目指したいですが、ハードルが高すぎる気がしてきました。」

“経営判断に関わるところです。
例えば、初めてのEU市場販売で、単価1500円の商品を年間300個販売したとします。
あるいは45万円の装置を年間1台販売したとします。
規制準拠に係る初期費用が仮に100万円だとすると3年後に初めて黒字化が実現します。
これをどう判断するかは、各社のビジネスモデル、経営戦略、海外展開事業計画、に依るところとなるでしょう。“

Q29「このような環境でも、EU市場を目指す中小事業者は、いるんでしょうか。」

“います。海外の中小事業者は自国市場が小さいため他に選択肢がなく、果敢にEU市場に挑んでいます。日本の中小事業者に関してはまだ少数派です。”

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