EU EUガイドブック 地域

流通拠点オランダにみる 欧州マーケット開拓・第一歩

Google+ Pinterest LinkedIn Tumblr

このガイドブックはJapan Cultural Exchangeに委託して作成しました。

中條 永味子(ちゅうじょう えみこ)Japan Cultural Exchange 代表

日本で広告代理店に勤務、2000年にオランダ・アムステルダムへ移住。デザイナーとして広告代理店や旅行代理店での広報企画などを経て、かたわらアムステルダムを中心に日本関係のイベントを運営。2015年2月にJapan Cultural Exchangeを設立。日蘭間でアートや文化、ビジネス、伝統、社会などのテーマをボーダレスに取り扱う。2016年2月からは日本のモノづくりに特化した展示・即売会「MONO JAPAN」を開催。ヨーロッパ向けのキュレーションと日本のモノづくりを背景からきちんと伝えることに注力し、日本プロダクトの価値向上と欧州での新しいマーケットを創造する。2018年からはオンラインショップも開設し、欧州での日本プロダクトの流通を開始。日蘭協業の商品開発、ブランディングやマーケティングも行う。

コンテンツ

  1. 欧州マーケットマップ
  2. オランダという新たに注目される欧州拠点
  3. オランダの展示会MONO JAPAN
  4. オランダを選んだ6ブランドに見る欧州第一歩事例
  5. 自社に合った欧州販路開拓の展開

1. 欧州マーケットマップ

なぜヨーロッパなのか

購買意欲はアジアほど活発でないかもしれないが、それでも販路開拓先として欧州が魅力的と考える企業は、日本企業に
限らず、多い。その理由は何か。

世界のデザインの中心地、価値付与の場所

欧州にはパリの“メゾン・エ・オブジェ“やミラノの”ミラノサローネ国際家具見本市”、フランクフルトの“アンビエンテ”など、有名な大規模国際展示会がある。その他にも主要都市ではいくつものデザインウィークなどが開催されている。欧州各国は、これらの展示会やイベントを観光資源として育成するだけでなく、地域ビジネス活性化の役割や文化・教育的意義をも見出し、主催者や出展者、官民が協力してその意義を高めようとしている。ライフスタイル商材からファッションまで、世界のデザインのトレンドが決まる華やかなデザインの中心地なのである。

人種や消費傾向が多様、広範な地域で活発な消費活動

ヨーロッパ大陸は東西南北で市場特性が異なり、それぞれの地域で消費活動が活発だ。地続きの大陸内ではトレンドが各国へ複雑に伝播していく。トレンドにのっていなくても地域によってはマッチする商材もあり、欧州内では観光による往来が常に盛んで、さらに中国やアメリカ大陸からのツーリストも多いので、多様な人種の目に触れやすい。

文化的な需要

日本のプロダクトはそのシンプルなデザインや独特な製法・素材により、欧州では文化・教育面でのニーズもある。博物館が商品を展示したり、異文化紹介として工芸のワークショップが開催されたりなど、二次的ではあるが、文化的な需要も注目に値する。

ヨーロッパという市場

デザインを華やかに楽しみ消費するマーケットがヨーロッパには存在する。

デザインは、その時々の人々のライフスタイルや社会的課題、時代背景を反映する知的作業としても受け止められている。従ってデザインをアートと近い位置付けで認識する人々も多い。

富裕層と、彼らが支持するトップデザイナー達も多くが、西ヨーロッパを活動拠点としている。

彼らがいくつかの展示会や各都市のデザインウィークなどの機会で新作発表を行い、その年のトレンドが形成され、デザインメディアによって世界中に伝播されてゆく。

ヨーロッパに期待できること

・モノづくりへの文化的な理解や評価 ⇨ 新しい価値の創造
ヨーロッパでプロダクトの価値を認められることで

  • プロダクト及びメーカーとしての洗練
  • 世界的な発信(アジアやアメリカへの波及)が起こりやすい
  • 新商品のアイデアが生まれる
  • 欧州クリエイターと出会うなど新展開への可能性

・多様なマーケットの存在

欧州は地域により多様なマーケットが存在するので、商品にあったマーケットを発見することができる。

例えば、オランダは伝統的にテキスタイル製造業が強いが、新しい、あるいは珍しいテキスタイルへの関心も高いため、日本企業にとっても輸出や技術協力などの可能性がある。

その他の例:

オランダ  ⇨ 花器関係
欧州都市部  ⇨ テーブルウェア、刃物(レストラン関係)
ベルギー、フランス  ⇨ テキスタイル関係

・日本プロダクトの付加価値が認められやすいマーケット

伝統工芸を、美術的価値及び文化的価値の両面で捉える教育が行き渡っているので、日本のプロダクトの製法や歴史、地域産業など、背景にある豊かなストーリーが付加価値として認められやすい。

ヨーロッパ地域別マーケット分布

A.北ヨーロッパ(オランダ、ドイツ、北欧、ベネルクス)
B.ロンドン、パリ
C.フランス(パリ以外)、イタリア
D.スイス、オーストリア
E.スペイン、ポルトガル
F.バルト諸国、東欧

A. 北ヨーロッパ(オランダ、ドイツ、北欧、ベネルクス)

 

  • 裕福な福祉国家が多い
  • 一般層は経済感覚が南部より堅実で簡単に消費しないが、質と“何に対価を見出すか”に重点を置く
  • 自然素材が好まれ、日本のライフスタイル系商材と親和性が高い(北欧)
  • モノづくりの歴史がある国が多く、文化教育が高く、他文化への理解や興味が高い
  • シャープなデザイン、シンプルさ、機能性を好む
  • 元来豊か食文化はない(ベルギー南部除く)が食への探究心や欲求が高まっている

B. ロンドン、パリ

  • 発信力が高いため、メディアの目に留まりやすい
  • 展示会、多様な店舗が多く、新しくて価値ある商品を探す人が
    世界中から集まる
  • ラグジュアリー商材が集まり、世界の富裕層も行き来する地域
  • 新しいものや情報が受け入れられやすいがトレンド感と洗練、
    ある程度のPR的仕掛けは必要
  • 食に関しての展開は欧州他地域と比較して最も早い

C. フランス(パリ以外)、イタリア

  • もともと独自のモノづくりの伝統文化が強固で、消費者も自国商品を優先して消費する傾向。他国の文化も理解するが、マーケットに新規が入り込みにくい
  • 独自の言語でのPRやブランディングの必要性
  • 北ヨーロッパに比べシャーブなデザインより温かみのある装飾を好む層が多い
  • 好みの色調、色の組み合わせ、マテリアルも北ヨーロッパと異なる

D. スイス、オーストリア

  • 伝統的な商材や装飾が好まれる
  • 日本プロダクトの浸透はこれから
  • スイスのバイヤーは見本市での買い付けが活発
  • オーストリアのミュージアムショップは開拓の余地あり。デザインウィークも近年開催開始し、今後発展していく可能性

E. スペイン、ポルトガル

  • “日本プロダクトは高額“という印象がある
  • ポルトガルは欧州の商品製造工場が多く、特に欧州ファッションの製造拠点の一つ。コルク素材など自然素材を活かした工芸もあり、日本プロダクトや伝統工芸とつながりたい動きがある
  • 温かみ、遊び心のあるデザインを好む
  • またはクラシックなデザインを好む層も多い

F. バルト諸国、東欧

  • 日本文化に興味が高まっている地域
  • 需要に対して日本プロダクトの浸透はこれから
  • スラブ系諸国(ロシア、ポーランド、ベラルーシ、スロバキア、チェコ、クロアチア、セルビア、ブルガリア)は西ヨーロッパと違ったデザイン趣向
  • 東欧はカラフルで伝統的なデザインのもの、バルト諸国は北欧諸国に地理的にも近く、東欧よりシンプルでスタイリッシュなデザイン傾向
1 2 3 4 5 6

中小機構 ロゴ