メキシコ 現地レポート

メキシコ市場調査 ―メキシコの消費動向と日墨関係―

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4 特定食品市場の動向

先述したような消費、とくに食品消費に関する動向・傾向のあるメキシコであるが、以下では、同国の具体的な市場のイメージおよび消費特性について紹介すべく、特定の商品を対象として、その消費傾向を紹介する。

4-1 ポテトチップス

最近、メキシコの世帯の97%がスナック菓子を消費していることが確認されている。さらに、25~35歳の男性がその主たる消費者であることがわかった(Excelsior, 2015)。
様々なメディアが公表しているように、これらスナック菓子の需要は近年極めて高くなってきており、たとえば民間の調査期間であるProColombiaは、メキシコをこれらの商品のための重要な輸出先として認識している(Herrera, 2015)。なかでも、メキシコシティ、グアダラハラならびにモンテレイは、その中で主要な市場と位置づけられている。
さらに、スナック菓子の販売および消費に影響する別の要素にも注意すべきである。アメリカ合衆国はそれらの商品の主要な生産国また対メキシコ輸出国であり、メキシコが同国に隣接していることから、流通面においてメリットがあるのみでなく、同国の影響からメキシコ人がファストフードの消費を選択する傾向となってきており、これがまた、ポテトチップスなどのスナック菓子の大量消費(年間410億ペソの売り上げ)にもつながっている(Excelsior, 2015)。
ProColombiaの調査によると、メキシコにおけるポテトチップスの主要な販売場所は、スーパーマーケットや街角にある小型食料品店である。スナック類でメキシコにおいてシェアを誇るのはサブリータス(Sabritas)とバルセル・メヒコ(Barcel Mexico)であり、全国に支店を展開している(Hernandez, S.; Hernandez C. 2000)。

4-2 お菓子

メキシコにおいてお菓子の消費は増加傾向にある。Legiscomexは、「セルフサービスおよび大型店舗全国協会消費者分析」において、お菓子市場の8~9割は幼児消費者に向けられたものである、と示している。なお、ガムやタブレットタイプのキャンディーは、若者ないし25歳以上の大人のための商品となっている (Legiscomex, 2009)。
メキシコは、お菓子類の主要な生産国・消費国の一つとしてとらえられている。一人当たりの年間消費量はおよそ4.5Kgと推定されている(Rodriguez, R., 2014)。同産業は、メキシコにおいて3つの分野に区分される:ガム; タブレットタイプのキャンディー;そして飴類・チョコレート。2013年には、これらの総消費量はおよそ38万2千トンであり、そのうち5割以上が飴類、また2割強がガムである。
メキシコのプエブラ州には、世界で最大のガム工場が存立している(Mondelez internacional, 2014)。モンデリーズ・インターナショナルグループに属するキャドバリー・アダムス・プエブラ社(Cadbury Adams de Puebla)は、創業して40年であり、メキシコ州、メキシコシティならびにヌエボレオン州に存立する3つの工場を含め、この分野の中心企業と位置付けられている。先述したことと関連して、同社はキャンディーやガムの生産に従事しており、とりわけガムの年間生産量はおよそ6万トンで、そのうち6~7割は国内消費に向けられたものである。2016年には、その生産能力を5割向上させるため、生産工場を拡大することを計画している。
同社が生産するガム製品には、「クロレッツ(Clorets)」、「チクレッツ(Chiclets)」、「トライデント(Trident)」ならびに「ブバロー(Bubbaloo)」がある。またタブレットタイプのキャンディーとして「ホールズ(Halls)」を生産している。近時は中国市場にも参入しており、タブレットタイプのガム(「ストレイド:Strade」)を輸出している(Ramirez, M. 2014)。そのため今後、生産体制の増強を計画しているのである(Hernandez, M. 2015)。同社製品の主要な特色を下記する:

製品名 特色 主要市場
クロレッツ クロロフィル配合ガム ブラジル、日本、マレーシア、メキシコ、タイ
チクレッツ ミント味、フルーツ味のガム メキシコ
ブバロー 中身にリキッドの入ったガム スペイン語、インド、メキシコ、ポルトガル
トライデント 砂糖未使用のガム。包装等にも工夫のある製品 ブラジル、カナダ、スペイン語、アメリカ合衆国、タイ

出所:Mondel International. En: http://mx.mondelezinternational.com/brand-family

4-3 ノン・アルコール飲料

消費の多いノン・アルコール飲料として、(炭酸)清涼飲料水はより消費される飲料物である。
メキシコ国家統計地理情報局によれば、ノン・アルコール飲料は、「コーヒー・紅茶ならびにココア」と「炭酸水・清涼飲料水ならびに果汁飲料」に区分され、この後者は、1人当たりの消費量として14~19歳および20~29歳の層で一位となっている(INEGI, 2013b)。なおメキシコ人は、年間でノン・アルコール飲料を一人当たり163リットルの量を消費しており、低所得層になるほどその消費量が多くなる傾向がある(Rioja, S. 2014)。
このようなことから、2014年にはメキシコは清涼飲料水の消費の多い国として世界第4位にランクされている(Pallares, 2014)。
炭酸飲料水および果汁入り飲料としてメキシコでシェアを誇るのは、まずコカ・コーラ社で、99%の市場シェア率である。製品としては「コカ・コーラ」、「ファンタ」あるいは「スプライト」などが挙げられ、果汁入り飲料では「フゴス・デル・バージェ(Jugos del valle)」や「フーセ・ティー(Fuze tea)」(果汁入り紅茶)がある。さらに清涼飲料水として「ビタミン・ウォーター(Vitamin water)」や「パワーレード(Powerade)」が売れ筋となっている。
この分野の第二位にはララ社(Lala)がある。基本的に乳製品の生産でシェアが広いが、果汁入り飲料などのバラエティも備えている。またペプシの清涼飲料水である「ゲータレード(Gatorade)」や「リプトン(Lipton)」、炭酸清涼飲料水として「セブンアップ(7up)」や「マンサニータ・ソル(Manzanita sol)」などの消費も大きい(Roberto J. 2016)。

4-4 アルコール飲料

アルコール飲料も、先述のノン・アルコール飲料と同様、メキシコの消費活動において重要な位置を占めている。
メキシコにおけるアルコール飲料は極めて強い需要のある市場である。WHOの報告書では、メキシコ人男性および女性の一人当たりの年間消費量(2010年)は、それぞれ18リットルと5.7リットルで、平均して12.7リットルとなっており、またアルコール飲料のなかで、ビールを消費する国民が76%、蒸留酒・スピリッツは22%となった(WHO, 2014)。またメキシコ経済庁は、ビール消費につき、メキシコはラテンアメリカにおいて3位に位置するとしており (Secretaria de Economia, 2015)、他方、蒸留酒・スピリッツについては、ラテンアメリカにおいて10位の消費量となっている(Proceso, 2014)。
さらに、ユーロモニター・メキシコによれば、2つの要因によってメキシコのアルコール飲料市場は拡大しているといわれる。まず、1) グルーポ・モデロ(Grupo Modelo)やハイネケンなど、世界レベルでのトップ企業がメキシコの市場に参入してきていること、そして、2) 15歳以上の若者が、現在では、”大人になった気分を味わう”ためにアルコール飲料を消費する傾向があることに起因する(Euromonitor, 2015)。メキシコ国家統計地理情報局が行った2013年の調査によれば、20~29歳までの若者がアルコール飲料をより消費する層となっている。
なお、国際的に、メキシコは次の3つのアルコール飲料の原産国であると言われている。まずは日本ではあまり馴染みのない「バカノーラ(Bacanora)」で、シナロア州において蒸留・生産されるものである。次に「テキーラ(Tequila)」で、これはハリスコ州、ナジャリー州、タマウリーパス州ならびにグアナファト州などが主要な生産地となっている。最後に「メスカル(Mezcal)」で、ゲレーロ州、オアハカ州、ドゥランゴ州、サカテカスならびにサン・ルイス・ポトシ州で生産が活発である(PROFECO)。
その他の蒸留酒を含め、これらのアルコール飲料は、メキシコの重要な財源となっており、およそ25万世帯がこれらの生産によって生計を立てている、といわれる(Fregoso, J.2013)。

4-5 贈答品

贈答品として嗜好されるのは、テクノロジー関連のもの、個人的に利用するもの、ならびに金融サービスに関連するものに分けられる。とある調査によれば、テクノロジー関連の贈答品として需要が高いのは、ビデオカメラ、ホームシアター用デッキ、そして携帯電話である。これらの製品は、国内贈答品市場のおよそ6割を占める(QUIROGA, 2010)。
贈答品の需要が高い時期はクリスマスであり、メキシコ人はボーナスをプレゼント、衣服あるいは靴の購入にあてる。低収入層は現金にて購入し、高収入層はクレジットカードを通じた購入をする傾向が見られる。これはメキシコのコンサルタント・オフィスの一つであるTNS Mexicoがクリスマス時期に実施した調査の結果である(Mexican Business Web, 2014)。また、同オフィスが2015年に実施した調査によれば、大人がクリスマスプレゼントの購入にあてる平均額は3,500ペソであり、2014年と比較して8%上昇している。贈答品としては、衣服や靴も購入されるが、並行して 香水なども人気の商品となっており、つづいて玩具、チョコレートやパンなども挙げられ、特に後二者は”母の日”のために購入される傾向にある(TNS, 2015)。
いずれにせよ、クリスマスは贈答品販売には重要な時期であり、メキシコ人は、プレゼントのみならず、デコレーション関連商品、パーティグッズ、クリスマス用の食材などにも相当の出費をなす(Saenz, C 2012)。

4-6 化粧品・美容関連商品

化粧品ないし美容関連商品産業は、石鹸、クリーム、歯みがき粉、シャンプー、マスカラなどのメイク道具にいたるまで、極めて広範に及ぶ。国レベルでは、直接および間接的に25万の雇用を生み出しており、GDPについてもおよそ1.2%を生み出している重要な産業である(Hernandez, A. 2014)。
この美容市場は、女性における化粧品や先述の商品の需要のみならず、現在では、男性も抜け毛予防やニキビ、乾燥肌などにつき様々な商品を欲している事情から、伸びしろの大きい市場としてとらえられている(CANIPEC, 2015)。メキシコ美容産業商工会議所(Camara Mexicana de la Industria del Embellecimiento Fisico)もそのようにとらえており、近時は、年5.6%ずつ同産業が成長しているという。
ユーロモニター・インターナショナルは、メキシコにおいてパウダー、ファンデーションやマスカラを含む化粧品市場は、2017年にはおよそ188億9200万ペソに達すると予測しており(CANIPEC, 2015)、これは、女性の社会進出が進み、化粧品の需要および使用頻度が上昇する傾向にあるためだとする。なお日焼け止め商品も、2008年~2013年の5年間だけで50.33%の伸びを見せている(Hernandez, A. 2014)。その他、老化防止関連の商品、育毛剤、シェービングフォームやしわ対策化粧品なども需要が伸びてきている(Chavarria, E. Hernandez, A. 2015)。
アメリカを起源とするP&G社は、2014年のメキシコにおいて、よりシェアを有する化粧品・美容関連製品の企業となった。その主たる製品は、「パンテーン(Pantene)」、「ヘッド&ショルダーズ(Head & Shoulders)」、「パンパース(Pampers)」ならびに「ジレット(Gillette)」など、日本にも馴染みのあるものであり、メキシコの家庭の95%が同製品を購入している (Euromonitor, 2015)。
この産業につき、同社の広報担当は、「メキシコは、卸売業者から薬局に至るまで、あらゆる類のクライアントを有しており、人々が購入する場所に溢れている」とし、メキシコシティにSAGE Centerなる購入者心理を研究する施設を設立するなど、積極的な市場開発を試みている(Arteaga, J. 2014)。

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