メキシコ 現地レポート

メキシコ市場調査 ―メキシコの消費動向と日墨関係―

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1 メキシコの市場規模

メキシコ国家統計地理情報局(Instituto Nacional de Estadistica y Geografia:INEGI)が隔年に実施する「2014年世帯収入および支出統計(Encuesta nacional de ingresos y gastos de los hogares 2014)」(INEGI, 2015)によれば、2014年の段階でのメキシコ総人口は約1億1 千9 百万人であり(グラフ3)、約3千167万世帯(1世帯平均3.8名) (グラフ5)である。
人口構成をみると、男性約5800万人、女性約6100万人と、ほぼ均衡している(グラフ3)。世界労働機構によれば、2012年の段階でメキシコにおける女性の約45%が労働参加しており、四分の一以上の世帯において、女性が家主となっている(OIT, 2014)。
かかる人口構成によって形成されるメキシコ経済は、近年、穏やかに経済成長を遂げているが、アメリカ合衆国に隣接する同国は、その経済状況に大きく影響を受ける傾向があり、2015年前半のアメリカ合衆国の産業生産活動の停滞と、石油生産量の減少、さらに不安定な金融市場といった理由から、同年の経済成長率は2.4%を記録した。
これに対してメキシコ政府は、2013年からの税制改革などを通じた収入増加、並行して公的支出の抑制をもって、経済成長を継続するものとしている(Market access secretariat, 2014)。なお、2015年を通じたメキシコ通貨ペソのドルに対する下落につき、外貨市場への穏やかな介入を含め、調整を図り、現状ではインフレ率は3%を下回っており、消極的な効果を回避している(Market access secretariat, 2014)。

2 消費市場概要

2-1 収入・支出ベースでみたメキシコ

消費の源となる金銭収入を鑑みると、メキシコの消費者市場は二分される。法定最低賃金(2014年では月額約1967ペソ)の8カ月分までを得る国民が約43%で、約57%が8カ月分以上の収入を得ている。世帯ベースでいえば、約23%の家庭がこの総金銭収入の57%を占める計算となる(グラフ5)。メキシコでは、法定最低賃金の0~2 か月分までの収入のあるものがいわゆる貧困層で、2~6カ月分までのそれが中間層、6か月分以上のものが富裕層と呼ばれる。過去数年、メキシコにおいては中間層が世帯ベースで増加しており、2010年は約42.4%であったが2014年には約49.5%となっている。かかる中間層の増加は、メキシコ全体の消費活動にも影響を及ぼすものとなっている。つまり、中間層の支出割合は、全体の3割以上を占めており、富裕層の6割を含め、メキシコにおける消費量の9割以上を支える(グラフ4)。
もちろん、収入ベースでみたメキシコは二極化された構造となっているため、ジニ係数も0.49と中国よりも高くなっている。この社会的不均衡が治安にも消極的な影響を及ぼしている面もある。

2-2 収入に対する金銭支出の概要

メキシコ国民が支出をなす部門は、総収入に対する金銭支出の割合でいえば、まず第一に「食品・飲料ならびにタバコ」(34.1%)であり、続いて「車両の購入、維持費」(18.7%)、「教育費」(14%)となっている(グラフ6)。
この3つの部門は、しかし、収入層によって差異が見られ、食費等に関する支出の総支出に占める割合は、収入レベルが上がるにつれて下がる傾向にある。反対に、車両関連費、教育費については、その反対の現象が見られる。もちろん支出額でいえば、貧困層の食品関連費は中間・富裕層の1割強であり、後二者の総支出に占める食費等の支出割合は相対的に低いが、絶対的な支出額は、同部門への総支出額において中間層が40%、また富裕層52%を占め、大きいものになっている。
この意味でも、中間層および富裕層は車両および教育といった部門において支出をなす財力を有しており、高級嗜好品や家族の進路のための経費につき、相対的に多くを割く傾向が見られる。

2-3 項目別消費支出

「世帯収入および支出統計」では、「食品・飲料」につき、14の項目に分けて統計をとっている。各所得層の総支出において占める割合の高い上位3つの消費項目は、肉類(18.6%)、シリアル(14.8%)、牛乳および乳製品(9.0%)である。魚および魚介類は1.8%を占め、14項目中9番目の支出割合となっている(グラフ8)。
「食品・飲料」に関する絶対的な支出額は、富裕層によるものが全体の5割以上を占め(法定最低賃金8カ月分の層単独でも3割強)、残りを貧困層および中間層で分かつものとなっている。
各層の収入に対する支出割合につき詳細に見れば、シリアルや乳製品などの基礎的支出について、相対的に収入の低い層ではその割合が高くなっている。他方、収入が高くなるにつれ、肉類、野菜の代わりに果物への支出割合が高くなる傾向が見られる。また、魚介類についても、高所得層ではその割合が高いことが窺える。さらに、卵や油に対する支出でも、収入が高くなるにつれその割合が低くなっていることから、高所得層では健康に配慮した食品の購入が行われる傾向があることが窺える(グラフ7)。

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