インド 現地レポート

インド モディ政権下における投資環境の現状について

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インドへの投資、進出に際しての留意点①<Budget(インド政府予算案)>

さて、ではインドへの投資・進出において最初に留意すべきいくつかの事項として、Budgetと外資規制があります。Budgetですが、これはインド政府が毎年2月に発表する予算案を指し、税制改正等が主なトピックになります。ちなみに2015年Budgetにおいては、2016年以降4年をかけて直接税である法人税率を30%から25%に軽減する一方、間接税であるサービス税率を12.36%から14%へ増税(2015年11月15日よりSwachh Bharat Cessを含み14.5%)するといった内容等が発表されました。さらに、特定のエリアへの進出・投資に対して減価償却の面で優遇策を講じるといった投資を促す政策も含まれています。このBudgetにおいて留意すべき点としては、①各年のBudgetにおいては、大幅な税率等の変更があったり、あるいは特筆すべき項目はなかったりと、年度によってその程度の振り幅が大きく、また、発表される項目も直接税から間接税と多岐にわたるため、自社が享受できるメリットは何か、一方でリスク対策が必要となるデメリットは何かということを把握すること②Budget発表後、即時施行の項目への対応、以上があります。すなわち、税制改正においては、とりわけ間接税に係る税率の変更等で、発表後即時施行(例えば2月最終の平日発表、3月1日より施行)といった項目があります。この場合、自社に関係する税目であれば、ただちにその実務的対応にあたらなければならなくなります。従い、インドへの進出・投資に際しては、最新の発表内容を十分に把握しておくことが肝要です。

インドへの投資、進出に際しての留意点②<外資規制>

次に外資規制ですが、まずは概要から説明しますとインドにおいては外国資本の出資比率において業種別に規制されており、監督官庁はインド商工省(Ministry of Commerce and Industry)内の産業政策促進局(DIPP Department of Industrial Policy and Promotion)となります。また、外資規制に関して定期的に「統合FDIポリシー」とよばれる通達を発出しその規制内容を定めておりますが、規制のベクトルは規制緩和ではあるものの、国内産業の保護及び低所得者層に対する不利益回避の観点から 条件付緩和といった項目も散見されます。なお、この規制において外国資本の出資が禁止されている業種には、もちろんビジネス参入できませんし業種によっては、外国からの投資に際し政府の事前承認を得る必要があり、これを「事前承認ルート」といいます(図1参照)。

図1 Source: Consolidated FDI Policy Effective from May 12, 2015

承認の可否は、FIPB(外国投資促進委員会 Foreign Investment Promotion Board)が判断しますが、そもそも外資規制のために事前承認ルートとしているため、その審査、承認取得までには相当程度のコストと時間を要することとなり、状況によっては参入困難といえます。例えば図1における小売業での進出形態で説明しますと、シングルブランドつまり、自社ブランド製品のみを扱う店舗展開においては、出資比率が49%超の場合、事前に政府より承認を得なければならないため経営権は事実上握りにくい可能性があります。一方、マルチブランドつまり、様々な製品を取り扱う例えばスーパーマーケットのような店舗展開では、事前承認は出資比率問わず必要となり、さらに上限出資比率がそもそも51%までに制限されています。これは、株主総会での特別決議を拒否できる25%超の持分割合をインド企業側に権利留保させることを意味します。この点、多くのインド人経営の零細小売業者を保護する政策といえます。よって、予定している進出形態によっては、FIPBから事前の承認を得なければならず、またこの承認が実務上取得できるかが不透明であることから留意が必要です。
なお、上記統合FDIポリシーですが、直近では2015年5月12日付で発表されております。さらに、2015年11月24日付でPress Note12を公表し、同ポリシーを一部改正していますが、その改正項目のうち日系企業に関連する重要な項目について示します。
まず、①製造業(2.1.25)の定義が追加されました。すなわち、「製造業とは分法的変異であり、非生物の物体の目的物・品物若しくは行為である。(a)結果として目的物・品物若しくは行為を新たに変容させる(b)新たな存在に至らせ、目的物・品物若しくは行為を異なる合成品若しくは一体構造に明確にさせる」といった解釈が困難な定義になっています。従い、進出を考えているビジネスによっては、当局への事前照会等が場合によっては必要になろうかと思われます。②LLPs(有限責任事業組合 Limited Liability Partnerships 3.2.5)設立の条件が変更となっています。従来は原則としてLLPsは事前承認ルートとなっていましたが、この条件が上限出資比率100%の自動承認ルートの外国投資が認められている業種あるいは活動を行うLLPsは自動承認ルートによりその設立が可能となりました。また農業・プランテーション・プリントメディア・不動産業に対してのこれまでのLLPsの組成規制が解かれている他、LLPsに係る各種規制は今回の改正で相当程度簡素化されています。LLPを利用する上での最大の利点は、一般的な進出形態として選択される非公開株式会社と比較し会社法等に係るコンプライアンスが軽減されることですので、この点において、今後LLPはインドへの進出形態の選択肢のひとつとして検討する価値があるかと思われます。③シングルブランド小売業(6.2.16.3)の規制が一部緩和され、これまで一定の条件下においては30%の商品をインド企業から購入する必要があり、この購買条件は資本金着金日の初年度から満たす必要がありましたが、初めて店舗を開設した等の事業を開始した時から適用になると改正されています。しかしながら、先述の通り小売業に対する規制はまだハードルが高い状況といえます。
以上のように、統合FDIポリシーに加え、関連通達等により外資規制は変容しますので、適時正確なキャッチアップが必要になります。

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