ベトナム 進出事例

「新市場開拓と日本式理容に従事する人材育成のためベトナムへ進出」 ‐ 有限会社銀座マツナガ

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コンセプトは日本と同じレベルのサービスを提供すること

こうして現地での視察を終えて、その可能性を直に実感した松永社長は、進出先をベトナムのホーチミン市に決めた。出店に向けた準備には、副社長を中心に据え、松永社長との二人三脚で、店舗の内装工事、理容関連資材の調達、人材の確保といったことの調整に当たった。

店舗の設計や内装工事については、細部にまでこだわってお願いしたかったこともあり、ベトナムに進出している日本資本の設計・施工会社に依頼した。日本の企業のほうが、日本語で細かい注文ができるし、責任を持ってやってくれると思っての判断であった。

店舗で使用する設備や消耗品などの理容関連資材はすべて日本から持っていくことにした。パーマ液やカラー薬等の消耗品については、現地に似たようなものがあっても、メーカーによって微妙に違いがあり、また施術で使うタオルも、現地のものは微妙にサイズや厚みが異なる。今回の出店に際して、松永社長は、「ベトナムでも日本とまったく同じレベルのサービスを提供する」ということをコンセプトに掲げようと考えていたため、そうしたちょっとした違いにも妥協したくなかった。そこで、お客様相手に使うものはすべて、開店に間に合うように船便で日本から送った。

人材については、開店の1か月くらい前に、店長1名とスタッフ1名を日本から派遣し、アシスタントには現地のベトナム人を4人雇った。国内から派遣する店長とスタッフは、技術的に優秀でかつ、真面目さ、誠実さなどの人柄・性格の良い人を選んだ。現地のスタッフは、未経験者を雇って育成する方針にした。ベトナムには優秀な若者が溢れており、採用で苦労することはなかった。また、これとは別に、既述の日本に留学経験のある日本語堪能なベトナム人女性にも通訳を兼ねて来てもらうことになった。

価格設定は、その女性に相談して決めた。当初は日本での価格設定よりも少し低めの4,000円程度にしようと考えていたが、女性から「とんでもない、そんな高い価格ではベトナムでは誰も来ない」と言われ、その意見を参考に最終的には2,500円に決めた。実はベトナムには国営の散髪屋があるが、その価格がだいたい400円前後だという。それを考えると、ベトナム人の感覚では2,500円でも十分に高価格である。そこで出店当初の顧客ターゲットは、在留邦人に照準を絞ることにした。

現地駐在の日本人に開店を知らせるため、現地の広告雑誌「スケッチ」に広告を載せることにした。この雑誌は、日本企業の情報が多く掲載されており、病院から幼稚園まで、在留邦人が現地で生活していく上で必要な情報が充実しているという。

こうして、多くの日本人に同社の出店を知らせることができ、2014年7月、ついにベトナムのホーチミン市内に同社のベトナム1号店を開店した。

開店後は順調に推移し多店舗展開へ

開店後は、当初こそやや苦戦したものの、徐々に日本と同じきめ細かなサービスが受け入れられ、業績は順調に推移した。好調な1号店の業績を受けて、その後、同じホーチミン市のインターコンチネンタルホテル内に2号店、ベトナムの高級ホテルであるカラベルホテル内に3号店と店舗を拡大している。

店舗拡大の中で苦労したのは、ベトナム人従業員の管理である。ベトナム人スタッフは真面目で勤勉ではあるが、契約にない残業等はしないし、決められた労働時間以上に働くことはしない。そのため、契約時にしっかりと話し合い、契約の範囲を考えて管理していくことが必要である。また、給与やボーナスの支払いについても現地のやり方を尊重しないといけない。定期的に昇給させたり、旧正月の前や盆暮れの時期など年4回程度、わずかながらボーナスを支給している。

ベトナム人スタッフとのコミュニケーションについては、基本は英語と片言の日本語を通じて行っているが、今のところ大きな問題は発生していない。しかし今後は、在留邦人以外のベトナム人や他の外国人にも顧客ターゲットを拡げていきたいと考えているため、日本人スタッフもベトナム人スタッフも双方が、英語力をさらに磨いていく必要があると感じている。

今後はベトナム全土や周辺のアジア諸国への拡大を検討

同社は進出にあたり、現地パートナーとの合弁による現地法人を設立した。合弁にしたことで、何か問題が発生した時に日本資本だけの法人よりも、様々な交渉がスムーズに進むと期待した。実際に、これまで大きなトラブルもなく想像以上に順調に事業が進んでいるのは、この合弁パートナーが様々な点で力になってくれているからだと感じている。また、現地に進出してから、現地の日本人同士のネットワークにも情報収集の面などで、大いに助けられている。

ベトナムに進出したことで、日本国内のスタッフにも良い影響が出ていると感じる。スタッフは理容の技術を磨けば海外でも活躍できるかもしれないという夢を抱けるようになった。松永社長は、今後ベトナム全土や周辺のアジア諸国へさらに店舗を拡大していく計画であり、そのため国内の従業員にもこれから本格的に英語教育を始めようと考えている。

これから海外進出を考えている方々へのメッセージとして、松永社長は「私どもも向こうに行って、違う業種の人たちとも付き合っているけれど、思っていたよりもスムーズにいっているケースは多い。挑戦する価値は十分にあると思う」と話してくれた。

プロフィール

代表取締役社長松永 巳喜男 氏
代表取締役社長松永 巳喜男 氏

有限会社銀座マツナガ 

所在地  東京都中央区銀座2‐6‐5 藤屋ビル地下1階
創業    1968年
資本金   1,500万円
従業員数  95人
事業内容  理容業
電話番号03‐3567‐6870
URL  http://www.ginzamatsunaga.com/

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