このガイドブックは株式会社マークスに委託して作成しました。
マークスは、「日本の“素敵”で世界に“快適”を」をコンセプトに、“素敵”なデザイン、機能、品質がもたらす”快適”を世界中の人たちに届けるべく、自社商品の開発・販売などの製造・卸事業、直営店舗・EC店舗を通じての小売事業展開などをグローバルに行っています。
2008年、フランスに現地法人マークス・ヨーロッパを設立し、本格的な欧州市場開拓をスタート。2012年にはドイツ営業所をフランクフルトに開設。そして、2016年12月、直営店初の海外店舗「「マークスタイル トーキョー パリ ル・マレ店」」を開店しました。
2018年からは自社商品の拡販で培ったノウハウ、2,000社超の顧客ネットワーク、欧州全域をカバーするロジスティック・インフラなどのビジネス・プラットフォームを活用し、欧州市場開拓を目指す日本企業の進出支援事業に乗り出しました。
ページコンテンツ
- 1.ドイツ市場の傾向
- ドイツ市場の特徴①
- ドイツ市場の特徴②
- ドイツ・ライフスタイル雑貨市場のトレンド
- ドイツ市場の消費者像①
- ドイツ市場の消費者像②
- ドイツ市場進出のポイント① ー 市場調査
- ドイツ市場進出のポイント③ - 知的財産権の保護と展示会
- 2.日本ではあまり知られていない ドイツ市場開拓に有力なローカル展示会
- NORDSTIL(ノードスティル)
- TRENDSET(トレンドセット)
- 3.ドイツの代表的なショップ13選
- KaDeWe(カーデーヴェー)
- KARSTADT(カールシュタッド)
- GALERIA KAUFHOF(ギャレリア・カウホフ)
- Hugendubel(フーゲンドゥベル)
- Thalia(タリア)
- Dussmann(ドゥスマン)
- Walther König(ヴァルター・ケーニッヒ)
- CEDON(セドン)
- Deutsches Museum Shop (ドイッチェ ミュージアム・ショップ)
- Stadel Museum (シュターデル・ミュージアム)
- boesner(ブースナー)
- MANUFACTUM(マニュファクタム)
- KONTRAST(コントラスト)
- 中小機構とは
1.ドイツ市場の傾向
- ドイツ市場の特徴
- ドイツ・ライフスタイル雑貨市場のトレンド
- ドイツ市場の消費者像
- ドイツ市場進出にあたり注意すべき点
ドイツ市場の特徴①
多極分散型の市場
ドイツ市場は日本やフランス、イギリスのような一極集中型ではなく、多極分散型。ドイツの国造りは第2次世界大戦以前の基本構想が戦後にも受け継がれており、東京、パリ、ロンドンなどの超大都市への一極集中を避けて、人口100万人以下の中都市を機能別に全国に分散配置し、各都市間を高速道路網=アウトバーンで結ぶというもの。一極集中のリスクを回避しつつ、各地の産業育成も同時に果たそうという一石二鳥の計画が結実している。
チェーンストアがマーケットのメジャー・プレイヤー
単店展開の小売り店が主役であるフランス市場とは異なり、ドイツではチェーンストア・オペレーションの小売り店がメジャー・プレイヤー。ライフスタイル雑貨のみでなく、ペットショップ、ガーデニング、インテリア・チャネルでも同様。大手チェーン百貨店”KARSTADT” ,書店“Thalia” などはドイツ主要都市のほぼ全域に展開している。センスの良いミドルゾーンのチェーンストアが多い一方、品質の良くないコピー商品を扱うローエンド向けチェーンストアも存在する。
ドイツ市場の特徴②
主要各都市の特徴
①ベルリン (Berlin)
ドイツの首都であり最大の都市。人口約360万人。旧東独地域とあって、ミュンヘン・ハンブルク・フランクフルトなどの旧西独地域に比べて購買力は劣るが、トレンドの発信地と言われ、ショップ、ギャラリー、カフェなどが立ち並ぶ。外国人在住者や観光客が多いためか新しいものを柔軟に取り入れており、日本の漫画,アニメ,食品なども街中でよく見られる。ドイツの中でも日本商品に対する興味・関心が高い都市と言える。
②ハンブルク (Hamburg)
ベルリンに次ぐ約185万人の人口を誇る、北方に位置するドイツ第2の都市。ヨーロッパ最大規模の港を有する、ロジスティクスの中心地。
③ミュンヘン(Munich)
人口約148万人。ドイツ第3の都市であり、ドイツ国内でも治安が安定している。ドイツで一番豊かなバイエルン州の州都であり、高所得者層が多い。
④フランクフルト(Frankfurt)
人口70万人超。ドイツの金融の中心であり、同時にメッセ・フランクフルトという世界でも有数の見本市会場を擁する見本市=展示会の町でもある。
ドイツ・ライフスタイル雑貨市場のトレンド
エコロジー・コンシャス
世界の環境意識をリードするドイツ。エコロジー・コンシャスな商品を求める消費者は益々増加しつつある。中流以上の所得クラスをターゲットとしたミドルハイ~ハイエンドショップはそのムーブメントを牽引。当然、オーガニックへの意識も高く、エシカルな商品やブランドに対する支持が高い。
日本商品に対する評価は安定
ドイツ市場においても、「メイド・イン・ジャパン」のブランド価値は高い。品質面での評価はもちろん、日本の“かわいい”デザインや、日本らしい伝統的な柄、スタイルも評価されている。
近年人気の日本商品はプレートなどの“テーブルウェア”
ここ1~2年ほどでドイツ市場で人気が出てきているのが”和食器”。2010年設立のTOKYO DESIGN STUDIOはオランダ・アムステルダム発のメーカーが、日本の芸術,陶器にインスパイアされた高品質なテーブルウェアを多く輩出し、欧州に広く展開している。現在では安価な類似商品も多々見受けられ、品質の違いが分かる顧客を抱える、ミドル~ハイの店舗が狙いどころ。
ドイツ市場の消費者像①
質実剛健な消費者像
ドイツ人は品質・機能を重視する国民性で知られる。基本的に消費は抑制的で質実剛健。また、原産地や商品のトレーサビリティー、ストーリー等にも関心が高く、とりわけアッパー層は商品選択の際にこうした情報を重視する。ドイツ、日本、フランス、スカンジナビア諸国製の商品などは好まれるため、パッケージには”Made in Japan” とわかりやすく明記した方が良い。日本の文化、伝統、食を好むドイツ人は多く、年々増加傾向。近年は小都市でも簡単に日本食が手に入る。伝統的に日曜大工が好きな国民性であり、 ‘自分の好きなようにできる’といったDIY的な要素も好む。
ドイツ市場の消費者像②
消費者は所得のクラスにより商品選択の傾向が異なる。
①地域別特徴
ドイツでは旧東西ドイツ時代の経済格差が現在にも引き続がれており、アッパー層は旧西ドイツ側(ミュンヘン、ハンブルク、フランクフルト等)、ミドル~ロウアー層は旧東ドイツ側(ベルリン、ライプチヒ、ドレスデン等)に多く居住している。平均時給で見ると旧西側では€18 に対し旧東側では€14、失業率では旧西側が5.7%なのに対し旧東側では8.8%。旧西側には従業員を250名以上抱える企業が多いが、かたや旧東側は小規模企業が多い傾向にある。
②高収入の職業
- パイロット
- 医師、歯科医
- 弁護士
- 自動車、航空機、造船のエンジニア
ドイツ市場進出のポイント① ー 市場調査
事前の市場調査がカギ
ドイツ市場に参入する前には市場調査が欠かせない。市場調査に基づき、消費者やバイヤーの生の声を取り入れながら下記の体制を整備する必要がある。
- 価格戦略
- リピート発注にスピーディに応えられるロジスティック・インフラ整備
- 店頭販促物の準備
- 現地マーケットに適したパッケージ形態と表記
- 流通規制の確認 等
ドイツは商品の成分に関しての規制が厳しく、取引の際に成分表を求められることがある。成分安全データシート(MSDS)の英語版を用意しておくとよい。
日本と欧州では価格構造が全く異なる。まずは現地の価格構造を理解することが必要になる。
ドイツ市場進出のポイント③ - 知的財産権の保護と展示会
コピー商品への対策
チェーン店が多いドイツ市場では薄利多売傾向が強く、コピー商品が出回りやすい。自社商品を守っていくために、商標・意匠・特許等、知的財産権の保護が重要となる。欧州の複数の国で商標を取りたい場合は、“マドリッド・プロトコル”や“欧州連合商標(EUTM)”など商標の国際登録の制度を利用すると、直接各国へ申請するよりも費用と手続きを簡素化できることがある。
ドイツ・ローカル展示会への出展
ドイツのバイヤーは国内各都市で開催されるローカルな展示会を重視する傾向にある。ドイツ市場をおさえるなら、インターナショナルな展示会よりも、むしろ国内バイヤー対象に開催されているローカル展示会への出展が必須。
中世にまでさかのぼる見本市の歴史を有するドイツ。見本市開催を通じた産業育成を図る見本市立国を国家戦略に据え、国際的な展示会が開催可能なメッセ=見本市会場を主要10都市以上に開設している。
展示会ではバイヤーに効果的なセールスを行うために、現地の事情に精通したセールスのサポートを得ることがベター。
次項ではライフスタイル領域でのドイツの主要展示会を紹介する。
2.日本ではあまり知られていない ドイツ市場開拓に有力なローカル展示会
ドイツ・ローカル展示会への出展メリット
①出展料が比較的リーズナブルでコストパフォーマンスに優れる
②ドイツ国内の大小ショップバイヤーが来場
③展示会期中にその場で受注が可能で、スピーディーなビジネス展開が期待できる
ノードスティル、ハンブルク
トレンドセット、ミュンヘン
その他のドイツ展示会
NORDSTIL(ノードスティル)
- 2013年より開催されているドイツ北部最大の消費財トレードフェア。
年2回、各3日間 開催(1月、8月)。開催地はハンブルク。 - 雑貨、ステーショナリー、ホーム、キッチン、ファッション等の
消費財を専門に集め、受発注の場として重要な展示会。 - 出展社数 約970社, 来場者数 20,000名 (2018年1月)
- 来場者の80%が小売、卸業であり、バイヤー・マネジャーなど
決定権を持つ来場者が多い。主催者はメッセ・フランクフルト。
TRENDSET(トレンドセット)
- メッセ・ミュンヘンで開催されるギフト商材・リビング・食品・レジャーが中心の展示会。1月と7月の年2回、各3日間開催。開催地はミュンヘン。
- 約10万平方メートルの展示スペースを14のカテゴリーに分けて編成。
- ドイツで最も豊かな地元バイエルンのバイヤーも多数来場。ドイツ攻略の足掛かりとなるトレード・フェア。
- 出展ブランド数 約2,500, 来場者数 36,719名 (2018年1月)
3.ドイツの代表的なショップ13選
市場調査の際には絶対におさえておきたい、ドイツの代表的な百貨店、書店、ミュージアムショップ、クラフトショップ13選。
KaDeWe(カーデーヴェー)
- ベルリンに1907年誕生と110年の歴史を誇るドイツ屈指の高級デパート。
ミュンヘンの Oberpollinger(オーバーポリンガー)、ハングルクのAlsterhaus(アルスターハウス)ともにKaDeWeグループの系列店。 - ドイツのボン・マルシェとも呼ばれ、ステータスはドイツ随一。
- 規模も欧州ではロンドンのハロッズに次ぐサイズ
一日の来店客は5万人とか。 - KaDeWeとは“Kaufhaus des Westens”=The department store of West
の略で西ベルリン地区の中心に位置する。KaDeWe
- KaDeWeにて2018年3月から行われた、アジアをフィーチャーしたイベント
「スーパーアジア」などは、ドイツでの日本文化の人気ぶりをうかがわせる。 - 実施店舗: KaDeWe 系列 3都市3店舗
- 弊社は当イベントのロジスティクスをサポート。
国内9メーカー、47品目、4,156点(上代総額200万円相当)の商品を取りまとめ、KaDeWeに納品。「マークスタイル・トーキョー パリ店」(弊社直営店)のマーチャンダイジングをドイツ老舗高級デパートKaDeWeに再現する運びとなった。
KARSTADT(カールシュタッド)
- 1881年創業のドイツを代表する百貨店。
- 中~高価格帯商品を扱う。
- ベルリン、ハンブルク、ドレスデン、フランクフルトなど、ドイツ全域に79店舗展開
GALERIA KAUFHOF(ギャレリア・カウホフ)
- ケルンに本社を構える。ドイツでKARSTADTと市場を二分する百貨店。
- 1879年創業、シュトラールズントの織物・生地専門店が発端。
- ドイツ全域に100店舗以上を展開。(一部KAUFHOFの屋号で展開)
- 中価格帯商品が中心の取り扱い。
プライベートブランドを幅広いカテゴリーで展開している。
Hugendubel(フーゲンドゥベル)
- ドイツを代表する大手書店チェーンの一つ。
- 現在の店舗数は80店舗ほど。
ベルリン、フランクフルト、ハンブルク、ドレスデン、
ハノーファーなど、ドイツ全域の主要都市に展開。 - 書籍以外に、文具やギフト用品、テーブルウェア、玩具なども取扱う。
- カフェやイベントスペース併設の店舗もあり。
Thalia(タリア)
- ドイツを代表する大規模チェーン書店。
- ベルリン、ハンブルク、ニュルンベルクなどに200店舗以上を展開。ショッピングセンター内の立地が多い。
- オーストリアとスイスにも子会社があり、それぞれ30店舗ほど展開している。
- 書籍にはじまり、キッズ用品、玩具、ギフト用品なども充実。
Dussmann(ドゥスマン)
- ベルリンを代表する複合型大型書店。文具や雑貨もラインアップ。
- 店内にはカフェやイベント・スペースも併設。
- ベルリン市民の“知”を支えてきた名門書店。
Walther König(ヴァルター・ケーニッヒ)
- ケルン発のアート関連書籍を扱う書店。
デザインや建築、写真、美術書籍などをメインに、ギフト商材も取扱いあり。 - ドイツ全域に40店舗以上展開。
ベルリン、デュッセルドルフ、フランクフルト、ミュンヘンなど
CEDON(セドン)
- ドイツ国立美術館アルテ・ピナコテーク内などに9店舗を展開する、ドイツのミュージアム・ギフトショップ。
- 美術館内のミュージアムショップをはじめとし、
2011年にミュンヘン空港内に初のギフト・デザインショップ「CEDON」をオープン。
ミュージアムショップで培ったハイセンスなセレクト。 - 現在、ギフトショップは3店舗展開。
Deutsches Museum Shop
(ドイッチェ ミュージアム・ショップ)
- ミュンヘンにあるドイツ博物館内のミュージアム・ショップ。
- ドイツの博物館、美術館ショップのプロデュースを手掛けるMuseum 4 YouがMDを担う。
- ドイツ博物館とMuseum 4 You はミュンヘン市内,空港にミュージアム・ショップを展開している。
- 科学・美術書籍、知育、ギフト商材などを取り揃え、高品質でユニークな品ぞろえ。
Stadel Museum
(シュターデル・ミュージアム)
- フランクフルト随一のシュターデル美術館のミュージアム・ストア。ミュージアム・ストアの広さは約100坪。
- アート関連の書籍に加え、文房具やギフト商材も取り揃えている。
boesner(ブースナー)
- 画材,クラフト用品を取扱うチェーン店。塗料、ブラシ、ストレッチャーバー、キャンバス、紙から絵画やアートブック、文具、雑貨まで、26,000以上のアイテムを取り揃える。
- ミュンヘン、ニュルンベルク、フランクフルト、ハンブルクなどドイツ全域に26店舗を構え、オーストリア、スイス、フランスなどにも展開。
- 立地は郊外型。1,000坪を超えるサイズの大型店が主体。
MANUFACTUM(マニュファクタム)
- ドイツを代表するハイクオリティーなライフスタイル・ストア。
- ミュンヘン、フランクフルト、デュッセルドルフ、ケルン、ベルリン、ハンブルクなどドイツ主要都市に9店舗展開。オンラインストアにも力がある。
- 食料品から文具・雑貨・衣料まで幅広くラインアップ。セレクトの趣味の良さは秀逸。日本製筆記具や紙製品の取り扱いもあり。カフェ併設。
KONTRAST(コントラスト)
- キッチン雑貨、ファブリックなどリビング雑貨を中心に取り扱う
フランクフルト発祥のデザインショップ。 - 現在はフランクフルトに2店舗、ケルンに1店舗を構える。
フランクフルト郊外の大型店では家具類の取り扱いも。 - カジュアルでカラフル・ポップなリビング雑貨やデザイン雑貨・文具などが多い。
中小機構とは
独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)は経済産業省が所管している中小企業政策の中核的な実施機関です。起業・創業期から成長期、成熟期に至るまで、企業の各成長ステージで生じる様々な経営課題に対応した支援メニューを提供しています。
全国10か所の地域本部等及び9か所の中小企業大学校を支援の最前線として、皆様の経営をサポートしています。このほか、国内外の他の政府系機関や地域支援機関とも連携し、幅広く支援メニューを提供しています。
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公開日:2019年 7月 22日
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- 1.ドイツ市場の傾向
- ドイツ市場の特徴①
- ドイツ市場の特徴②
- ドイツ・ライフスタイル雑貨市場のトレンド
- ドイツ市場の消費者像①
- ドイツ市場の消費者像②
- ドイツ市場進出のポイント① ー 市場調査
- ドイツ市場進出のポイント③ - 知的財産権の保護と展示会
- 2.日本ではあまり知られていない ドイツ市場開拓に有力なローカル展示会
- NORDSTIL(ノードスティル)
- TRENDSET(トレンドセット)
- 3.ドイツの代表的なショップ13選
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- CEDON(セドン)
- Deutsches Museum Shop (ドイッチェ ミュージアム・ショップ)
- Stadel Museum (シュターデル・ミュージアム)
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