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日本サブカルチャーin海外【4】パリのマンガ喫茶で探る、日本サブカルチャー市場のビジネスチャンス

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日本のアニメ、漫画、フィギュアなどのサブカルチャーと呼ばれる市場は、日本国内に限らず世界中で広まっています。このレポートでは、特に日本サブカルチャー文化が広く浸透されているフランスにおいて、「オタク」を自認している現地の方へ、インタビューを実施しました。

今回紹介するのは、パリ市内にあるマンガ喫茶「MANGA CAFÉ V2(マンガカフェV2)」。同店ではマンガ喫茶のサービス以外にも、日本の食品や雑貨なども販売しています。経営者のベンジャミン氏の案内のもと、店舗を取材しました。

なおこのレポートは2018年に執筆されたものであり、現在の状況と異なる可能性があることをご了承ください。

MANGA CAFÉ V2(マンガカフェV2)

経営者のBenjamin Kordova(ベンジャミン・コルドバ)さん

イントロダクション

パリの13区にある「MANGA CAFÉ V2」(以下マンガカフェV2)は2011年にオープン。同マンガカフェの1号店は、ヨーロッパ初の「マンガ喫茶」として2006年にパリ市内にオープンしました。本店はその2号店。料金システムは日本のマンガ喫茶と同じく時間利用制であり、マンガ読み放題、ドリンク飲み放題となっています。

左写真:店舗内2階のソファースペース。

この店舗の大きな特徴は、日本のマンガ喫茶のように個々のブースで区切られてはいないところ。大きなソファなどを備えたオープンスペースにすることで、アットホームな雰囲気で周囲と交流できるような環境にしています。

マンガカフェv2は、ただマンガを貸し出すだけでなく、日本の商品を数多く販売しています。2階建ての店内のうち、2階は全てマンガ喫茶コーナーとなっていますが、1階では、日本に関連する商品を販売してあり、お弁当箱、書籍、陶磁器、お菓子、日本酒などを幅広く扱っています。

Q:海外では珍しいマンガ喫茶ですが、お客様はどういった方が多いですか?

オフィス街の近くにあるので、ランチタイムや仕事帰りに来られる方が多いです。休日には、日本のアニメだけではなく、日本の文化そのものに興味を持つ方が、パリ市内外から多く集まっています。

Q:マンガ喫茶スペースだけでなく、食品や雑貨などの販売スペースが充実していますね。

当店はマンガ喫茶だけではなく、日本の食品や雑貨なども販売しています。1階の日本食品コーナーは、パリ最大の商品ラインアップ数を誇り、普段目にすることがない商品を見つけることができます。訪日経験がある人にとっては、旅行中に気に入った商品を再度この店舗で購入することもでき、リピーターのお客様も多いです。

ここ数年、フランスだけでなくヨーロッパ中で、日本のお菓子や食品に対する需要は増えています。市内の小さな食品店でも日本の商品を取り扱うことが増えてきているで、差別化のためにも、当店では珍しい商品を取り扱うことも意識しています。

Q:人気の商品は?

やはり、食品関連が人気です。今後も取り扱いを更に増やしていきたいと考えています。現在は少数の商社を通じて、日本の食品を入荷しています。日本企業とのビジネスで多いことですが、取引数や価格面、そしてコミュニケーションの問題で、取引が成立しないことがあります。

店内1階入口エリアには、日本の食品や雑貨類が数多く並んでいます。

 

 

市場性があることがわかりつつも、進出を断念する企業が多い

Q:海外で販路を探す日本企業が多い中、どういったことを感じられますか?

フランスで商品を販売したい日本企業とも何度か話をしたことがあります。しかし、欧州のビジネスルールを把握しきれていないため、商品自体には市場性があると分かりつつも、輸出を諦めてしまう企業も多いです。特に比較的小規模企業の場合、取引に係る壁で、取引をすぐに辞めてしまうことが多いようですね。

富裕層だけではない。適切な購買層のターゲティングが重要。

Q:日本企業の販路拡大にはどんなことに留意したら良いと思いますか?

日本企業は、富裕層を対象として、高品質・高価格で販売する傾向があります。しかし、このような商品を求めている顧客を上手にターゲティングができておらず、苦労している企業も中にはあります。特にフランス市場においては、マーケティングリサーチの意味も込め最初から富裕層だけを対象とせず、低価格帯の商品を販売することから始めて、消費者の反応を探ることもひとつの方法です。

「ライト」層へのターゲティングもひとつの手段

Q:購買層のターゲティングについて、詳しく教えてください。

日本サブカルチャーを愛好する、いわゆる「オタク」層のターゲティングが重要です。日本アニメ好きではあるが、さほどお金を多くかけることのない“ライト“オタク層が、ひとつの商品に30ユーロ以上を支払うことは稀です。一方で、購買力が高い“ヘビー”オタク層は、例えば、Tsume(ツメ)社(フィギュア生産メーカー)が販売する10万円以上のフィギュアであっても、気に入ってしまえば簡単に購入することが多いですね。

販売店舗側の都合も重要

Q:店舗を運営する立場からも、取り扱いたい商品の価格層も気になると思います。

そのとおりですね。ランチタイムや仕事帰り、店にふらっと立ち寄ったお客を考えた場合、10ユーロ以下の価格帯は衝動的に購入してしまうことが多いので、低価格帯のラインアップも当然重要です。4,50ユーロの比較的高価格商品だけを並べていても、私たち店舗側も困ります(笑)。もし、高額な商品を販売する計画がある場合は、よりターゲティングを明確にし、プロモーションを丁寧にしていく必要があります。よく勘違いをすることが多いですが、富裕層をターゲティングするからといって、マーケティングが楽になるわけではありません。販売する店舗側とのコミュニケーションも重要です。

アニメ関連商品だけでなく、生活用品の人気に注目

Q:今後の商品ラインアップ計画を教えてください。

私たちは、アニメ関連商品だけではなく、弁当箱や食器類など、日本の生活用品にも非常に注目しています。今人気のある商品である「Bento&co Kyoto」のお弁当箱のほか、風呂敷や箸といった、日用品の売れ行きが伸びてきています。

テストマーケティングで進出の手がかりを掴む

Q:フランスをはじめとしたヨーロッパ市場に進出するにあたって、日本企業はどのようなことから挑戦することが良いと思いますか?

まずは、トライアルでテストマーケティングをすることが、進出における一つのステップかと思っています。売れる商品の種類や価格、顧客層のターゲティングについて、多くの収穫を期待でき、本格的な進出に向けた戦略を立てることができます。

Q:テストマーケテイング目的のため、店舗のスペースを貸し出すことが可能と伺いました。

1週間または1ヶ月、店の一角を使ってもらい、商品や価格に来店者の反応状況をモニタリングすることができます。日本の企業からコンタクトがあることは、当店としても非常に嬉しいことです。商品については、サブカルチャー関連や、所謂「オタク」分野だけではなく、工芸品、日用品なども可能ですので、是非トライしていただきたいと思います。

店はオフィス街の一角にあり、ランチタイムには近隣のワーカーも立ち寄る。

 

 

 

 

日本のお菓子コーナー
テイクアウト可能な日本食のお弁用も販売

 

 

 

 

 

 

【店舗情報】

MANGA CAFÉ V2

住所:9 rue primo levi, 75013 paris

URL:https://www.mangacafe.fr/

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