「海外をちょっとのぞき見コラム」は海外在住の中小機構アドバイザーに、その国の最新状況やホットなトピックスを伝えてもらうコラム記事です。記念すべき第1回目はアメリカ合衆国アリゾナ州にお住いの大平アドバイザーに“コロナの今”をお聞きしました。
各州COVID-19対応の違い
アメリカ合衆国は50州からなる連邦であるため、州ごとにCOVID-19に対する対応が異なります。また、残念ながらマスクの着用が政治に利用されており、共和党の知事がいる州と民主党の知事がいる州とで対応も全く異なりますし、感染状況も異なります。地域によってはいまだに40%以上の人がマスクを着用していなかったり、着用を促されたことに反発し、殺人を起こすという事件もありました。日本ではあまり報道されませんが、COVID-19によるアメリカ国内の死亡者が増加の一途を辿っていることもあり、トランプ政権のコロナ対策に対してネガティブな感情が国全体としては増えているように感じます。
アリゾナ州に関して
私は2年前に、アメリカ南西部に位置するアリゾナ州のスコッツデール市というフィニックス市の北に位置するところに、ロサンゼルス市から移り住みました。州都であるフィニックス市は全米で5番目に人口が多い都市であり、半導体などの産業が盛んで、最近は「シリコンデザート」と言われて、IT系の企業が進出してきております。
アリゾナ州は共和党寄りということもあり、どちらかというとCOVID-19に対する対策は後手に回っておりましたが、さすがに感染者数・死亡者数の急激な増加に危機感を募らせた州知事が外出禁止令などロックダウンを行いました。その時は生活必需品を売る店以外は営業をしておらず非常に不便でしたし、3月はアジア人ということで白人から差別的発言をうけたため、外出を一人ですることは避けるようになりました。
サプライチェーンの崩壊
日本と同様にアメリカでもサプライチェーンが崩壊し、保存が利くパスタやトイレットペーパーなどの商品が棚からなくなり困った時期がありました。ティッシュペーパーが地域のお店では購入できないとなると、オンラインで購入することになるのですが、アマゾンでトイレットペーパーを購入した人が、購入したトイレットペーパーに欠陥があったため、健康被害をもたらされたとして製造物責任訴訟*[1]を提訴したという記事を読み、アメリカの訴訟社会を改めて痛感しました。【注】*[1] アメリカの製造物責任法では、製造者だけでなく中間業者、販売業者も責任を問われることがあります。
3月以降 私の外出先は、スーパーマーケット、薬局、クリニック、レストラン(ソーシャルディスタンシングがとれるレストラン)だけで、現在もそれは変わっておりません。自宅には自然しかないため、自宅で仕事をする以外はそれを眺めて過ごしているくらいです。都会が好きな私としては極めて残念な生活となっています。
PCR検査に関して
アメリカでのPCR検査はドライブスルー方式でキットを受け取り、指示を受けながら自分で行うものだったため、不快感がつらかったです。ただ、検査費用は無料で、結果が出るまで5日間しかかかりませんでした。検査により、安心感が得られるのは大きいです。 最近では、アメリカの空港や地下鉄駅ではマスクやアルコール除菌剤を売る自動販売機が設置されました。必要な場所ですぐ買うことができ便利です。日本にも導入されれば良いと思っています。
※掲載内容は2020年10月14日時点情報です。
筆者紹介
大平恵美 中小機構 国際化支援アドバイザー
カリフォルニア州の弁護士、日本の弁理士として、日本企業のために知的財産権の分野を中心に企業法務の仕事をしております。アメリカのリモートワークは非常に進んでおりますのでコロナ禍であっても仕事で困ることはありませんが、クライアント様と画面越しの打ち合わせしかできないのが非常に残念です。また、クライアント様がアメリカに入国ができないため事業の延期をすることが多く寂しい限りですが、そんな中でも日本企業が米国の市場で戦えるようクライアント様のために日々奮闘をしております。
中小機構について
中小機構の「海外展開ハンズオン支援」では、国内外あわせて300名以上のアドバイザー体制で、海外ビジネスに関するご相談を受け付けております。
ご相談内容に応じて、海外現地在住のアドバイザーからの最新の情報提供やアドバイスも行っております。ご利用は「何度」でも「無料」です。どうぞお気軽にお申し込みください。
「海外展開ハンズオン支援」
※ご利用は中小企業・小規模事業者に限らせていただきます。