日本の中堅中小企業にとって「中東市場」は、アフリカ諸国や中央アジアのCIS諸国とならんで、馴染みの薄い市場であるようです。
長年、多くの日本人にとって「中東」は、「ラクダ隊商が港から内陸に物資を運ぶ、砂漠が続く乾燥地で、石油が唯一の産業である、 日本から遠隔の人口の少ない地域」といったイメージが一般的であったかもしれません。
然し、1974年の第1次オイルショック以降40有余年を経た今日、MENA(中東+北アフリカ)は、炭化水素資源の有無で域内の経済格差は 拡大しましたが、地域全体としては、人口は約3.7億人、名目GDP約3.6兆ドルで、ASEANに匹敵する規模の市場に成長しています。
そのなかで中東を見ると、とりわけ産油・産ガス6か国が集まるGCC(湾岸協力機構)諸国は、GDP、及び、一人当たりGDPは大きく成長しています。 以下の表をご参照下さい。

上記表より窺えるように、GCC諸国は今や人口規模に比して大きな購買力を有して居り、日本の消費財・日用品等の輸出市場としても大いに 進出可能性のある市場であると思われます。
又、2016年現在の時点では、足掛け3年になろうとしている原油価格の長期低迷により、財政支出は縮小状態ですが、同地域は依然として インフラ整備を更に拡充するニーズを有して居り、インフラ関連プロジェクト向けの機器や設備のビジネスチャンスも、他地域以上に見いだせる可能性はあります。
原油価格が適正化した時には、再び旺盛な購買力の市場として日本企業にとっても再び魅力的な市場になることでしょう。
然し、GCC市場向けにビジネスを開始する為には、同地域に共通してみられる商習慣や法令等「地域性」も理解し念頭に置いておくことは重要です。

プロフィール

国際化支援アドバイザー(国際化支援)富山 保
総合商社に38年勤務し長年海外ビジネスに携わってきた。若い頃の会社派遣のアラビア語研修皮切りに、 合計約15年間の現地駐在経験(サウジアラビア・UAE等)を有する。