「海外をちょっとのぞき見コラム」は海外現地の最新状況やホットなトピックスをお伝えするコラム記事です。第2回目は、本年9月よりタイ工業省へ出向している中小機構の井上氏に、タイ入国時の隔離生活をレポートしてもらいました。

羽田空港

がらんどうの羽田空港

令和2年9月4日(金)朝、私達家族は不気味なほど人がいない羽田空港にいた。ちょうど半年前にタイ・バンコクへの赴任が告げられた後、数種の予防接種を受け、ビザ・入国許可書など12種類にも及ぶ入国に必要な書類を準備して、この日を迎えた。コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、水際対策を徹底しているタイの対応には感服するが、この準備は少し重荷である。少しでも早く従前の開かれた往来ができるようになることを期待したい。

厳しい入国審査と隔離期間のルール

バンコク、スワンナプーム空港に到着した後出国時と同じく、入国時も必要書類を細かくチェックされた。COVID-19に対応した医療保険か、ASQ※はどこかなど。2時間近くかかり、ようやく入国手続きが完了し、入国ゲートを出たところ・・・今回のメインテーマでもある、隔離生活ホテルの担当者に出迎えて頂いた。
チェックインは通常のエントランスではなく、ホテルの非常口で行われた。隔離対応といえ、少し寂しい。ここでホテルでの基本的な生活ルールを説明される。家族は、大人一人1部屋、往来は禁止。食事のオーダー、日に2回の検温報告などは、全てホテルのLINE@で行う。

食事

ホテルの食事

縄跳び風景

ホテル屋上での運動

14日間の隔離期間中に2度のPCR検査(5日目、12日目)を行い、検査で『Negative』判定の場合、少しずつホテル内での活動が増えることとなる。(私達の場合、1回目の検査後屋上に45分のみ出ることが許され、2回目で共有ゾーン、ジムを45分のみ利用できることだった。運動に飢えていた私達は、いつもその45分の間に、ラジオ体操、縄跳び、早歩きリレーなどを行うこととしていた)

※ASQ・・・Alternative State Quarantine:代替検疫施設。14日間の隔離期間中の滞在ホテルを指す。10月22日現在、94施設が登録。隔離期間中に2度のPCR検査を実施する。

隔離生活の工夫

隔離生活は、窓の外の天気以外変化がなく、気を抜けばあっという間に時間が経ってしまうため、オンとオフの切り替えがとても重要になる。私は息子と同室であったため、1時間を目安に、勉強⇒ゲーム⇒運動(youtubeでクラップダンス15分など)を、日に2ターム一緒に行うこととした。それ以外の時間は自由とし、読書、昼寝、時にゲームやタイ語の勉強を行い、単調なリズムにならないことを心掛けた。しかし、それもこれも、コロナ禍における自粛生活の経験値や、オンラインの進展があったからこそ。時代の変化を、この隔離生活で改めて感じることができた。

ゲーム

ゲームをする息子

おわりに

14日間に及ぶホテルでの隔離生活。私としては、オンラインが進展した現在では、テレワークの延長と考える。十二分に与えられる時間の中で、仕事と自分自身に向き合う、またとない機会であることは間違いないので、海外展開を検討する事業者の方におかれては、準備こそ大変ではあるが、是非試してもらいたい。

筆者紹介

井上 鉄也

独立行政行政法人中小企業基盤整備機構職員 入社19年目40歳
趣味 バスケ、ゴルフ、ランニング。

令和2年9月4日にてタイ・バンコクへ赴任。14日間の隔離生活を経て、タイ工業省産業振興局サポートデスクにて、タイ企業と日本企業のビジネスマッチング等を担っている。

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