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THAIFEXで見た、アジアの食品市場の最新トレンド~海外をちょっとのぞき見コラム 第36回~

地域:タイ カテゴリ:現地レポート
THAIFEXで見た、アジアの食品市場の最新トレンド~海外をちょっとのぞき見コラム 第36回~

「海外をちょっとのぞき見コラム」は海外現地の最新状況やホットなトピックスをお伝えするコラム記事です。第36回目は、例年タイで盛大に開催される「THAIFEX」を通じて見えてくる、タイ・アジアにおける食品市場トレンドについてお届けします。

※このレポートは2026年10月時点の情報であり、現在の状況と異なる可能性があることをご了承ください。

「THAIFEX-Anuga Asia2026」がタイ・バンコクで開催されました。タイ国内最大級の総合食品見本市で、バンコク北部に位置する、総敷地面積14万平米を誇るインパクトムアントンタニという展示会場にて2026年5月26日から5日間にわたって開催されました。
世界各国から出展者、来場者が集まる展示会で、タイだけではなく、世界各国の食品関連企業や食品関係組合、政府機関など計3,590社・機関が、アセアン市場への参入や販路拡大を目指し、競って商材を展示する展示会となりました。148か国から94,600名以上の来場者がありました。(※)
本記事では、THAIFEX訪問のレポートをお届けするとともに、アジアの食品トレンドについてもお伝えします。

※来場者数など実績値は、すべて公式サイトの発表に基づく。

世界中の食品を、この展示会で

複数の展示会場を横断して、調理食品全般(fine food)、飲料、お菓子、果物・野菜、米、海鮮、冷凍食品、肉、フードテックの分野ごとに、農畜産品から中間加工品、調理済み食品、調味料、食品加工機械などが展示されていました。公式サイトでの発表によると2026年度の総動員数は94,685名でした。
大規模な展示会なので、足を止めてもらうためには、各展示者とも非常に工夫を凝らしています。背の高くカラフルなブースがところ狭しと立ち並び、試食や試飲、試供品を用意していました。多国籍企業やタイの大手の食品加工企業や調味料製造・販売企業などは「ライブ」調理を設けるところが多く、有名シェフなどを招聘して、SNSで配信するなど、エンタメ感があふれるブースが多くありました。例えば、オーストラリアの食肉畜産関係団体のブースでは、「Iron chef(タイ版料理の鉄人)」でタイ料理の鉄人としてキャストされていたシェフが豪州産牛肉の魅力を伝えるために調理実演をし、多くの観客が足を止めていました。

なお、開催5日間のうち4日間はビジネス関係者向け展示会開催となっており、販売は不可でしたが、最終日は、一般入場も可能で、商品の販売がなされます。
公式サイトによると、出展者は計56国から集まりましたが、やはり主催国である「世界の台所(The kitchen of the World)」を目指すタイは、その名に恥じぬほどの、有名食品加工会社の展示ブースや、地方政府や団体が企業を集めた地域の特色を生かした装飾の展示ブースが多く立ち並び、豊富な農産品と加工品の展示が目を引きました。

イサーン地方(タイの東北地方)の商品を集めた展示ブース 

日本の食品の魅力発信

市場開拓や販路拡大を目指して日本から参加する企業は、JETROのジャパンパビリオンや組合でまとまってのブースで出展をし、醬油や味噌といった調味料、抹茶や海鮮といった日本の食材や加工食品の魅力をPRしている先が多数みられました。

タイ現地に法人を置く日系企業も多く出展していました。タイで30年以上販売事業を行い、しょうゆ、各種たれ、レトルトパウチ食品等の製造を行うヤマモリ株式会社(三重県)のブースでは、醤油アイスクリームなどの試食を提供しており多くの人が集まっていました。同社の現地法人であるヤマモリトレーディングの大嶋社長は、「タイだけではなく世界中の食品関連事業者との新しい出会いや既存顧客との接点を保てる重要な展示会なので、毎年出展をしている。今年は新たな試みとして、社会課題である生ごみ処理にも切り込むため、微生物の力で生ごみを完全に消滅させる設備の展示も始めた。」とのお話でした。

ヤマモリトレーディングの大嶋社長

未来のフードトレンド

今回のTHAIFEXの目玉は、新しいホールが加わり、エリアが拡張したことです。新エリアでは、「食品の未来」をコンセプトに、食品業界のイノベーションやスタートアップ企業などが中心となり、アジアの食品と飲料の新しいトレンドの発見から、食品業界全体の知見の共有が体感できるような商品の展示に加え、各種セミナーやイベントが開催されていました。
なかでも、気になったトレンド・商材を紹介します。

一つ目は、健康増進等への機能性があるとされる食品です。日本でいう腸活にも感心が高くなっているとのことで、発酵食品など、消化や腸内環境をよくすることをプロモーションして展示されている商品が多くみられました。なお、出展しているタイ企業の話では、タイでは、「美」への効能(例えばアンチエイジング)も消費者が重視しているとのことで、アンチエイジングや体重管理などのテーマと関連させた加工食品やサプリメント製品も多くみられました。未来の食トレンドをテーマにしたセミナーでは、今後は、個人の体の状態やニーズ、遺伝子などをもとにしたカスタマイズ栄養が注目を浴びそう、という話もでていました。

二つ目は、畜産由来のたんぱく質に代わる代替たんぱく質(代替プロテイン)素材です。代替プロテインの風味投票も会場で開催していました。一時期、植物性の代替ミートが市場の注目を集めていた時期がありますが、より原料やたんぱく質の種類や特色(例えば低脂肪、高たんぱく)に注目する傾向がみられました。植物性たんぱく質であれば、大豆プロテインに始まり、発酵プロテイン、キノコ由来のマイコプロテインなどを含む商品展示がありましたし、タイでは、Wolffiaというウキクサの一種が、たんぱく質を豊富に含む食材として注目されており、生産者が商品を展示していました。(※)また、飲料やお菓子でもプロテインの含有をうたっている商品の展示が多く、砂糖以上の甘みを持つスウィートプロテインなども注目素材として挙がっていました。

三つ目は、疾病による症状に合わせた介護食や生活習慣病の予防のための栄養食品や機能補助食品です。例えば、経口補水液や、塩分コントロールされた食品、出産後の女性の栄養食などです。一部は、介護用などのメディカルフードとしてまとめて特別展示もされていました。高齢化社会が進むタイやASEANの国々では、こういった食品のニーズはますます高まると思われます。

いずれも、参入にあたっては認証や認可、登録の確認が非常に重要な分野です。また、体の状況や求めるニーズに対応したカスタマイズの傾向も高く、効率的な生産や流通が課題にもなりえるため、市場動向をよく見て、成長性をよく見極める必要がありそうです。

※ 参考)ワークショップ「ウキクサ (Wolffia) の利用と活用 -新たな経済作物 -」 | ODA見える化サイト

タイの食品産業について

最後に、開催国であるタイの食品産業・市場にもふれておきます。
農業大国でもあるタイでは、食品産業はタイ経済を支える一大産業であり、BCG(バイオ・サーキュラー・グリーン)国家戦略モデルの中で、持続可能な発展をおこなうため食品産業を重要分野にあげています。工業生産指標のうち食品製造の生産指標は、2021年以降2025年まで緩やかに増加傾向ですが、品目では中でも、砂糖・糖類製造や鶏肉、冷凍食品、ペットフードの成長が目に留まります。特に食品輸出は伸びており、食品輸出額は2025年には、約420億ドルに達しています。(※1)なかでも、ペットフードの輸出額の拡大は目覚ましく、2025年に世界4位となりました。(※2)急拡大する世界のハラール市場を見据えて、ハラール食品等の輸出拡大も国の戦略の一つとなっています。

今後、タイの豊富な資源を活用して、健康や環境面からサスティナブルである未来の食品や食品製造のニーズがより高まる中で、伝統的で健康的な日本食や食材、食文化、そして、その製造技術や保存技術などは今後の展開の可能性を期待されるでしょう。

(引用)
※1 Office of Industrial Economics「Report on the Industrial Economic Status in 2025 and Outlook for 2026」
※2 Government Public Relations Department(タイ政府広報)
https://thailand.prd.go.th/en/content/category/detail/id/2078/iid/397388

筆者紹介

中本 一恵

中小企業基盤整備機構から、タイ工業省産業振興局(DIPROM)ジャパンデスクに2025年より派遣。

※本記事内の内容は筆者の調査に基づくものであり、タイ工業省の見解を示すものではありません。

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