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「台湾のフラッグシップストアを開業! 支援を通じて海外展開のノウハウを獲得」株式会社イワタ

「台湾のフラッグシップストアを開業! 支援を通じて海外展開のノウハウを獲得」株式会社イワタ

京都の寝具メーカー・株式会社イワタ(以下、同社)は、自然素材にこだわった高付加価値寝具の国内販売において長年の実績を築いてきた。海外展開については、これまで顧客向けの直接販売にとどまっていたが、台湾市場進出を目指し、中小機構の海外展開ハンズオン支援を活用。台湾企業との総代理店契約の締結や、高級百貨店内のフラッグシップ店開設を実現し、継続的な取引につながる仕組みの構築に成功している。

自然素材寝具の需要が高まる台湾市場への挑戦

台湾市場では、同社の強みである自然素材寝具の需要が高まっていた。同社も海外市場への意欲は持っていたが、ノウハウ不足により一歩を踏み出せずにいた。そうしたなかで、お付き合いのあった国内メーカーから台湾の販売代理店候補を紹介されたことを契機に、台湾市場への展開を決意。中小機構の国内の経営支援事業を活用した経験を活かし、2022年3月に海外展開ハンズオン支援への申し込みがあった。

同社は台湾進出に際し、とくにBtoC とは異なるBtoBの販路開拓や契約書の作成に不安を抱いていたため、海外向けの契約書作成や記載内容に関する具体的な助言を求めていた。

イワタ社製自然素材の寝具

専門家の交渉ノウハウで、独占販売契約へ

2022年度の支援では、台湾企業と非独占の販売店契約を締結し、枕や敷きパッドなどの小型製品から販売をスタート。一定額以上の受注を得たことから、さらなる販売拡大を目指して、2023年5月から再度、支援プログラムを開始した。現地パートナーとの提携をさらに深め、台湾市場において継続的に販売できる体制の構築を目指した。

製品面では、さらに台湾市場に適したローカライズが必要であると判断し、現地在住のスポットアドバイザーと連携。台湾の消費者の嗜好や商習慣、寸法単位の違いなどを把握した。新たに参入を目指したベッド製品については、シングルサイズよりもダブルやキングサイズなどの大型サイズが好まれる傾向を踏まえ、ベッドフレームやマットレスを含むラインナップの調整を行った。

台湾企業との契約時の様子

同時に、台湾企業とは、より連携を深める独占の総代理店契約の締結を検討。アドバイザーの助言により、独占販売権付与の条件として、ベッドやマットレスなどの大型製品も取り扱い可能な専用小売店の設置を含める交渉を行った。さらに、台北の高級百貨店での出店PRに中小機構アドバイザーが同行し、店内の一等地への「IWATAフラッグシップストア(台湾1号店)」開設をサポート。製品・価格・販路・プロモーションの4P視点から、継続的な取引に向けた仕組みづくりを支援した。

法務と販促のアドバイスで契約交渉を有利に

海外企業との契約締結に際しては、口頭での約束ではなく、文書による明確な契約内容の整備が重要である。弁護士資格をもつ他のアドバイザーのサポートも受けながら、契約書に紛争解決のための仲裁条項なども盛り込み、海外展開に伴うリスクへの備えを強化した。

2024年3月の契約締結時には、当初から担当していたアドバイザーが現地に同行。同アドバイザーは中国語が堪能であることを活かし、通訳における微妙なニュアンスの調整を行うとともに、法務面で不利にならないように助言を行った。

台湾企業側からは長期にわたる製品保証の要求などもあり、交渉は一筋縄ではいかなかったが、事前に契約条件を整理し、万全に準備をして臨んだことで、スムーズかつ有利な条件で契約を結ぶことができた。

また、「IWATAフラッグシップストア」開業にあたっては、販売員向けのPR研修プログラムを台湾の気候や商習慣に合わせて現地化することをアドバイザーが提案。実務の円滑化と販売促進の両面で成果を上げている。

台湾代理店向けのPR研修風景

さらに広がる海外展開の可能性

約2年にわたる伴走支援を通じて、継続的な取引につながる社内体制の構築を実現。2024年8月には台北の高級百貨店に約90平米の「IWATAフラッグシップストア」を開業した。今後は台湾中部や南部への販売網拡大を視野に入れている。

さらに、今回の支援を通じて同社は海外総代理店契約の締結ノウハウを習得し、自社内での対応力を強化。他の海外市場からの引き合いにも自社で対応するなど、さらなる販路拡大が期待されている。

フラッグシップストア開業時のテープカットイベント

企業の声

今回の海外展開ハンズオン支援を通じて、当社の海外展開の環境を改めて見直す機会となり、自社の課題を認識することができました。初めての海外店舗開設に際しては多くの不安がありましたが、専門家の皆様からの丁寧かつ的確なご支援により、交渉から契約書の作成、開店準備に至るまで安心して取り組むことができました。その結果、総代理店契約の締結とフラッグシップストア開業を実現し、大きな自信を得ることができました。

支援を通して、海外展開に必要な情報収集や計画立案のプロセスを主体的に遂行できるノウハウも修得できたため、今後は他市場からの要望にも柔軟に対応できる見通しです。本支援は当社にとって海外進出の大きな一歩であり、今後の継続的な挑戦へとつながる貴重な経験となりました。

企業プロフィール

株式会社イワタ
URLhttps://www.iozon.co.jp/
代表者代表取締役 岩田 有史
所在地京都府 京都市
資本金9,900万円
従業員数40名(2025年7月現在)
業種製造業、小売業
事業内容寝具の製造・販売(1830年創業)
商品内容寝具(特にマットレス、敷きパッド、枕、掛け布団、ベッドフレーム)

担当アドバイザー:小峰 潤 中小機構 中小企業アドバイザー(新市場開拓)

中小機構について

独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)は経済産業省が所管している中小企業政策の中核的な実施機関です。起業・創業期から成長期、成熟期に至るまで、企業の各成長ステージで生じる様々な経営課題に対応した支援メニューを提供しています。
「海外展開ハンズオン支援」では、国内外あわせて300名以上のアドバイザー体制で、海外ビジネスに関するご相談を受け付けております。ご相談内容に応じて、海外現地在住のアドバイザーからの最新の情報提供やアドバイスも行っております。どうぞお気軽にお申し込みください。

「海外展開ハンズオン支援」
※ご利用は中小企業・小規模事業者に限らせていただきます。

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