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はじめに
インドネシアでは、2024年10月より飲食品等についてハラール認証の義務化がスタートしました。日本から輸出したものは、どのような措置となっているかを含め、認証義務化後の状況をお伝えします。
インドネシアのハラール認証については「インドネシアのハラール認証制度が大きく変わります!」も併せてお読みください。
ハラール認証義務化実施後の制度内容
インドネシアのハラール製品保証実施機関(以下、BPJPHという。)は、ハラール認証の義務化について、2024年10月18日より正式に発効したことを発表しました。
ハラール認証義務化は、大規模及び中規模事業者に対し、①食品及び飲料製品②食品・飲料製品の原材料、食品添加物及び補助成分③屠殺製品と屠殺サービスが対象となりました。今後は、ハラール認証がなく市場に流通させた場合、罰則として書面による警告をはじめとして、最悪の場合、市場での流通禁止措置がとられます。
小規模・零細事業者に対する義務化は延期に
一方BPJPHは、小規模・零細事業者(以下、SMEという。)については、2026年10月17日までにハラール証明書を取得するよう時間的猶予を与えました。ハラール認証が必要な製品を取扱うSMEに対し、BPJPHのウェブサイトを通じて直ちにハラール認証を申請するよう呼びかけています。
これまでインドネシア政府はSME向けに、十分に時間をかけて啓蒙活動と、ハラール認証申請費用の免除などの措置をとってきましたが、最終的に今回の実施に間に合いませんでした。
インドネシアの中小零細事業者数は、約6,400万社前後に上ると推定されており、SMEの相当数がまだ未取得であると言われています。
今回、SMEには救済措置として2年間の実施猶予が与えられましたが、認証取得が進むかどうかは依然不透明であり、政府の思惑にもかかわらずハラール認証義務化の完全実施に目途はたっていません。
外国製品は外国認証機関との相互承認完了まで延期
また、注目されていた外国発の食品、飲料、屠殺製品及び屠殺サービスについても、各国とのハラール認証機関相互承認に関する協定の締結完了まで延期されることが発表されました。期限は2026年10月17日とされていますが、協定締結が完了次第、上記期限まで待つことなく、迅速に罰則規定適用を開始することを明言しています。
日本のハラール認証機関との相互承認については、2024年8月に、インドネシアのBPJPHは、既に承認していた日本イスラム文化センター(JIT)に加え、3機関、日本ハラール協会(JHA)、日本イスラム教徒協会(JMA)、及びムスリム・プロフェショナル・ジャパン協会(MPJA)に対し、相互承認証明書を発行しました。
従って、日本からの食品、飲料などの製品については、上記ハラール認証機関による認証が有効となります。
ハラール認証義務化に伴い、日本食品の商機も拡大
ハラール認証制度の義務化実施に伴い、BPJPHは、監視体制を強化するため、ハラール製品保証担当長官を任命するとともに、1,000名を超えるハラール製品保証監督官を採用しています。
また、ハラール製品保証法により、このハラール認証義務の監督権限は、BPJPHが有しています。税関等の関係省庁は、BPJPHとの調整を経て市場監視にあたることになっており、外国製品の輸入禁止処分なども実施される可能性があります。
上述の通り、外国からのインドネシアへの輸出について、海外製品のハラール認証義務化は延期措置が取られたものの、近い将来実施されることは間違いなく、日本にある相互認証機関で認証を取得するか、或いは現地BPJPHの承認を直接取得することが必要です。
インドネシアで大変人気のある日本食品について、今後は市場でハラール食品の認識が容易になり、消費者の購買意欲が向上するため、日本からの輸出も商機が拡大することが期待されます。
筆者紹介
安藤 律男 中小機構 中小企業アドバイザー(国際化・販路開拓)
銀行、ファイナンス会社等の金融機関に通算39年勤務。内通算22年インドネシアの銀行、ファイナンス会社に駐在しました。退職後3年間、マレーシアを拠点としてコンサルタント会社の立ち上げに従事しました。
日本では主に、海外新規事業開発、取引先の海外進出支援業務を担当してまいりました。
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公開日:2024年 11月 18日
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