株式会社サムソンは1956年の設⽴以来、ボイラ、⾷品機器および⽔処理機器の開発、製造、販売ならびにこれら製品群のメンテナンスを⽣業としている老舗メーカーである。
時代の変化と共に⻑寿命化、省エネ、環境性能に優れた製品づくりはもちろんのこと、お客さまに安全に安⼼してお使いいただけるためのアフターメンテナンスの充実をはかることで、お客さまに選ばれ続ける企業をめざしている。
中小企業基盤整備機構は、2022年度のフィリピンでの食品機器の海外展開支援に続き、2023年度にインドネシアでの支援を行った。
ページコンテンツ
JICA普及・実証・ビジネス化事業で設置したテストルームの有効活用
きっかけは、同社担当者の「インドネシアに設置してある食品加工機器類をもっと有効活用できないか」という一言であった。中小機構の海外展開ハンズオン支援事業担当のアドバイザーはインドネシア駐在の経験と知見もあったため、この一言に反応した。詳しく話を聞いてみると、この「食品加工機器類」は、同国において、同社が2014年から2016年に掛けてJICA普及・実証・ビジネス化事業(*1)の支援を受け、同社の食品加工機器類(レトルト食品製造機器及び調理加工機(蒸気窯、真空窯、拡販窯、真空冷却器))を備えたテストルームが現地に設置されたが、これらをより積極的に活用して市場展開を前進させたい状況であった。これらの機器類により加工をおこなうと、食品保存が常温で可能になるため、長期保存や遠方への流通が可能になる。そこで、しっかりと事業計画を作成しての海外展開を目指すべく、海外展開ハンズオン支援(長期支援)に申し込むことになり、採択された。
(脚注)
*1:正式名称:「インドネシア共和国 食品加工における常温保存が可能なレトルト食品製造技術の普及・実証事業」(中小企業支援型)
現地渡航のチャンスを生かせるようアプローチ先のリストアップを含めた支援計画を策定
インドネシア市場での展開のために、アドバイザーは、海外事業計画の仮説版の作成を支援し、まずは、総菜事業者などを中心としたターゲット層の選定、エンドユーザー・販売代理店へのアプローチなど具体的な市場展開を目指し、下記のように支援計画を作成した。
① 食品加工機器を使用可能なエンドユーザー・販売代理店のリストアップ
② リストに基づく優先順位付けとアポイントメント取得
③ 展示会等への参加による現地市場の調査
④ テストルームでの現地デモを中心とした商談準備と実際の商談同席
まず、中小機構の現地アドバイザーから現地のレトルト食品の普及や市場について情報提供を受けながらターゲット層を明確にした。レトルト食品は一般の食卓に広く普及しているわけではないが、一定の流通はされており、知見がありそうな食品加工業者を中心としたエンドユーザーや販売代理店候補のリストアップを行った。次に、現地への渡航に合わせて、アポイントメントを取得し、6社のアポイントメントが取れた。そして調査や商談等の準備を重ね、担当アドバイザーと中小機構職員とともにインドネシアに渡航した。
現地の展示会は、新型コロナ後久々のリアル開催であったことにより多くの来場者で賑わっていたため情報収集は広くできた。販売店候補の発掘については残念ながら満足を得られる結果にはならなかったが、事前にアポを取得していたエンドユーザー企業との面談は、相手企業にとって非常に満足の行く結果となり、テストルームの機器を試してみたいという希望を多く受けた。
最終日の現地テストルームの見学会は非常に盛況
海外事業計画策定段階で、テストルームに興味を抱く企業がないのではという危惧は、杞憂に終わった。渡航日程の最終日に予定していたテストルーム見学会では、日程が合わずに来られなかった企業も併せると、なんと5社にも上った。これは、同社の食品加工機器のニーズがあるという自信に繋がった。渡航後も、テストルームで試作を行いたいという企業の発掘は順調に出来ている。
一方で、これらの機器が旧型になっている事、メンテナンスが必要になってきている事、ここで試作を行うのには各回、インドネシア州政府側の許可が必要になる事など、テストルームにかかる課題も確認ができ、販売体制の構築に向けて幾つか不都合な点は今後解決していくことになった。
現地企業から具体的なオファーがきた
販売代理店としてアプローチした企業のうち一社は、非常に積極的で、インドネシアでの面談時には社長も同席され、同氏自らが企業の説明を行ってくれた。又、レトルト市場に関してもかなり知見も持っており、もし、テストルームがインドネシアにあるのであれば、是非、エンドユーザーを呼び込んでデモを行いたいとの事であった。実際、最初の面談後、直ぐに、商品に興味を持つエンドユーザーの紹介があり、商談が開始され、殺菌機器の発注を受けた。そして令和6年2月には、同社香川県の工場へ完成品のチェック及びデモの為に来日された。
企業の声
今回、有望な代理店発掘また初成約に至ったには大きく二つのことがあげられる。
一つ目は、中小機構の海外展開ハンズオン支援事業担当のアドバイザーにインドネシア駐在の経験が有り、多角的な視点からアドバイスまた有力な企業をリストアップ頂けたこと。また現地に精通された方に相談することにより、弊社要求に対する適正な目標を設定することが出来たこと。
二つ目は、継続的な支援であることから、機器の特徴や会社の方向性についても理解頂いており、効率的に支援頂くことが出来たこと。支援早期に候補企業をリストアップ頂けたおかげで、企業との面談・商談に多くの時間をさくことが出来、成約に至ったと考える。
企業プロフィール
株式会社サムソン | |
URL: | https://www.samson.co.jp |
代表者: | 代表取締役社長 吉岡 龍示 |
所在地 | 香川県 観音寺市 |
資本金 | 10,000万円 |
従業員数 | 377人 |
業種 | 製造業 |
事業内容: | 蒸気ボイラ・食品加工機器の製造販売事業 |
商品内容: | 同社製造の食品加工機器 |
担当アドバイザー: 加藤 純平 中小機構 中小企業アドバイザー(国際化・販路開拓)
中小機構について
独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)は経済産業省が所管している中小企業政策の中核的な実施機関です。起業・創業期から成長期、成熟期に至るまで、企業の各成長ステージで生じる様々な経営課題に対応した支援メニューを提供しています。
「海外展開ハンズオン支援」では、国内外あわせて300名以上のアドバイザー体制で、海外ビジネスに関するご相談を受け付けております。ご相談内容に応じて、海外現地在住のアドバイザーからの最新の情報提供やアドバイスも行っております。どうぞお気軽にお申し込みください。
「海外展開ハンズオン支援」
※ご利用は中小企業・小規模事業者に限らせていただきます。
公開日:2024年 6月 5日
タグ:
ページコンテンツ
- JICA普及・実証・ビジネス化事業で設置したテストルームの有効活用
- 現地渡航のチャンスを生かせるようアプローチ先のリストアップを含めた支援計画を策定
- 最終日の現地テストルームの見学会は非常に盛況
- 現地企業から具体的なオファーがきた
- 企業の声
- 企業プロフィール
- 中小機構について
- Related Posts
- 「前人未踏の架橋ポリエチレン・マテリアル・リサイクルに挑む」株式会社オオハシ
- 「京焼・清水焼を通じて伝統工芸の魅力をアジア市場に!」株式会社東五六
- 「創造性あふれるセキュリティ機器メーカーが独自のシリンダー技術で世界に挑む!」株式会社Keiden
- 「ギターアンプ工房が中国大手楽器ディーラーと取引開始!」有限会社SHINOS AMPLIFIER COMPANY
- 「麹を活かした製パン用天然培養酵母を世界へ!!」有限会社あこ天然酵母
- 海外で実現させる ~第10回~ シームレスな体験で世界を幸せに– PaylessGate株式会社(大阪府大阪市)
- 海外で実現させる ~第9回~ AI/ICTで健康寿命延伸を実現 – 芙蓉開発株式会社(福岡県福岡市)
- 海外で実現させる ~第8回~ お客様の未来を「現在」に – 奈良精工株式会社(奈良県桜井市)
- Related Posts