みなさんは「富裕層」と聞いて、どのような方が思い浮かぶでしょうか。近年、「当社の製品を海外の富裕層に売りたい!」という中小企業の方々からのご相談が増えてきています。このレポートでは、中小企業の方々が富裕層に向けた海外展開を計画するうえで、そのターゲット像の具体化に資するべく、富裕層と呼ばれる方々のお気に入りのものやライフスタイル、お勧めのショップなどをインタビュー調査し、まとめたものです。みなさんの商品開発やマーケティングのお役に立てれば幸いです。
なお、このレポートは2018年に執筆されたものであり、現在の状況と異なる可能性があることをご了承ください。

氏名:本多さなえ(Sanae Honda)
年齢:40才代
職業:主婦兼バイオリン講師
家族構成:4人家族(子供2人は女の子で11歳と14歳)
自宅エリア:ロンドン・フィンチリー地区(ロンドンでも比較的日本人の多い地域)
職場エリア : 不定期
住居の間取り(部屋数)大きさ:4ベッドルームを含む全10部屋
車所有台数 : 1台、マツダCX5
使用する言語:日本語、英語

アメリカの高校大学を卒業

東京の杉並区出身です。中学校は桐朋女子に通っていたのですが、その間にアメリカ留学を経験させてもらいました。カリフォルニア州にあるSan Domenico Schoolという学校です。これが転機となって、その後自分自身の希望でアメリカ・ボストンの高校Concord Academyへ進学しました。大学はアメリカの名門ノースウェスタン大学で音楽と経済を学び、その後今の主人と結婚したという感じです。

外資系金融からバイオリンの先生へ

その後、主人の仕事の都合でロンドンへ行くことになったんです。その直前に、「ファクトセット (FactSet)」という外資系金融会社の日本支社での採用が決まっていたのですが、主人のロンドン赴任を理由に、ロンドン支社で勤務できるようにしてもらいました。ここで10年程勤務しましたが、2人目の娘の出産を機に退職。現在は週3日、自宅近くの小中学校で、週2日は自宅でバイオリンを教えています。バイオリンは大学卒業後もレッスンを受けたり、近所のオーケストラに参加したりして続けていたので、教える時も特に問題はありませんでした。不定期に教会や結婚式で演奏することもありますね。

生活スタイル

日本とあまり変わらない生活

睡眠は1日6-7時間と、午後に20分から30分ほど昼寝をして英気を養っています。健康面で気を付けていることは特にないですね。以前はジムに通っていましたが、辞めてしまったんです。料理はしますが、前日の残り物で済ませることも多いですね。イギリス料理がメインですが、日本食も作ります。週1回は外食もします。
日本へは1年に2回以上帰国するようにしています。大きなホリデーが年1回、それに小旅行が年2-3回という感じですね。趣味は友達との室内楽(四重奏、ピアノトリオなど)で、教える仕事とは違った雰囲気を楽しんでいます。主人とコメディを見に行くのも好きです。友人は音楽つながりか、ママ友、仕事関係の人たちです。

住居の印象

広々としたリビングダイニングキッチンが印象的

フィンチリー地区はロンドンでも日本人が比較的多い地域として知られています。我が家は4ベッドルーム、リビングダイニングキッチン、リビングルーム、2バスルーム、2トイレルームという間取りです。絵画はありませんが、家族の写真は飾っていますね。リビングダイニングキッチンが広々としているので、家族団欒の場所になっています。料理をしながら家族と会話ができるのでお気に入りです。

ペンキにこだわり

壁紙はなく、「ファローアンドボール(Farrow&Ball)」という英国産高級ペンキを使用しています。照明は部屋によってまちまちですが、LEDスポットライトを天井に埋め込み、真ん中にローラアシュレイのペンダントが付いたものなど、私なりのこだわりはあります。キッチン製品は主に「シーメンス(SIEMENS)」で、洗濯機は「サムスン(Samsung)」、テレビはパナソニックです。

持ち物を拝見

日本製品は少ない

自宅にある日本製品はそれほど多くありません。土鍋や本、日本食材ぐらいのものだと思います。こだわりの持ち物はバイオリン、チェロなどの楽器ですね。

買い物について

オンラインショッピングがメイン

イギリスの洋服は大きくてサイズが合わないのでほとんど買いませんが、バッグは「マルベリー (Mulberry)」が好きです。「アマゾン(Amazon)」や「ジョンルイス(John Lewis)」など、オンラインでの買い物が多いですね。食料品はウェイトローズ(Waitrose)やテスコ (Tesco)などのスーパーで購入しますが、週1回は「オカド (Ocado)」で食材宅配を依頼しています。日本食材は日本食材店「あたりや」で。近所にあるイタリアンデリのお店が好きでよく行きます。今までで一番高価な買い物はやはりバイオリンですね。

プレゼントには感謝の気持ちを込めて

プレゼントは、子供たちの学校の先生や仕事の同僚など、お世話になった人たちに感謝の気持ちを込めて贈ります。キャンドルや、ハーブティー、チョコレートなどを選ぶことが多いです。

情報収集方法

ラジオとオンラインニュースがメイン

本はKindleで日本の教育本などを読むことが多いですね。SNSは参加していますがあまり更新していません。テレビは見ずに、ラジオを聞きます。クラシックFMや、時事問題・話題のニュースを取り上げる視聴者参加型のトーク番組、LBCが好きです。新聞は取っていません。BBC、スマートニュースなどをオンラインで簡単にチェックする程度ですね。

日本文化に対して

国民の気質は似ている

イギリスで生活する日本人という観点からですが、日本人とイギリス人の気質は似ていると思います。和食人気は根強いですし、日本食とのフュージョンレストランもよく見かけます。日本を旅行先に選ぶ人も増えている気がします。
大きな違いはやはり、イギリスは階級社会だという点ですね。階級によって住む地域も、行く学校も、買い物する場所も、ある程度決まっています。日本食に興味があったり、日本食レストランで食事をするイギリス人は中流階級以上の人が多いのではないでしょうか。

日本の高度な技術を音楽業界にも

音楽業界に関して言えば、キーボードやピアノ、フルートは日本のブランドが良いと言われています。弦楽器は中国製が多くなっていますが、子供用のバイオリンは「スズキ」が良いという先生も多く、私自身も弾きやすくて好きです。ただ、なかなか手に入らないんです。
バイオリン奏者にとっては、肩当てと顎あてが悩みのタネで、プロでもなかなか好みの物を探し出せないことが多いんです。日本の技術は素晴らしいので、体に負担が少なく最大限の音を引き出してくれる楽器関連商品を開発してイギリスで流通させるようにすれば、購入する人は多いと思いますよ。

成功者・富裕層の定義

自分の居場所はどこか

成功者かどうかは他人が判断するものでなく、自分で感じるものだと思います。自分で良い人生だと思えばそれでいいのではないでしょうか。どこが自分の居場所なのかによって「成功」の定義も変わってくるでしょう。仕事だけでなく、家庭が自分の居場所の人も多いと思いますから。
富裕層は、ある程度以上の財産を持っている人ですね。