みなさんは「富裕層」と聞いて、どのような方が思い浮かぶでしょうか。近年、「当社の製品を海外の富裕層に売りたい!」という中小企業の方々からのご相談が増えてきています。このレポートでは、中小企業の方々が富裕層に向けた海外展開を計画するうえで、そのターゲット像の具体化に資するべく、富裕層と呼ばれる方々のお気に入りのものやライフスタイル、お勧めのショップなどをインタビュー調査し、まとめたものです。みなさんの商品開発やマーケティングのお役に立てれば幸いです。
なお、このレポートは2018年に執筆されたものであり、現在の状況と異なる可能性があることをご了承ください。

プロフィール

氏名:シャンディー・カサレ(Chandy Casale)
年齢:41歳
職業:Chandy Casale and co Ltd. 取締役社長。高級ブランドの
国際PR、ブランド展開が専門
家族構成:4人家族(子供3人は男の子:1歳、4歳、6歳)
自宅エリア:ロンドン・サウスケンジントン地区ボルトンガーデン
(高級住宅地)
職場エリア : ロンドン・ナイツブリッジ
(上流階級御用達のデパート「ハロッズ」の目と鼻の先)
住居の間取り(部屋数)大きさ:4ベッドルームを含む全11部屋
車所有台数、ブランド : 1台(レンジローバースポーツ)
使用する言語:英語、スペイン語、イタリア語、フランス語

パリの会社で経験を積んだ後に起業

ベネズエラのカラカスでフランス人とイタリア人の両親の間に生まれました。ホテル業をしていた父の仕事の都合でベネズエラにいたのですが、7歳の時にパリへ。その後ずっとパリで生活していました。コミュニケーションの修士号を取得した後、広告業界でトップの地位を誇る「EURO RSCG」に2年間所属しました。「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)」の担当をしていたんですよ。それから、「Wolford France」でコミュニケーションマネジャーとして3年経験を積みました。今の会社「Chandy Casale and co Ltd.」を立ち上げたのは2003年です。

パリからロンドンへ

その後2012年に当時まだフィアンセだった主人の仕事の関係でロンドンに引っ越すことになりました。結婚を予定していたこともあり、ロンドンは新しい家族をつくり上げていくのには最適な場所だと感じたのです。昔からイギリスの文化とマーケットに感銘を受けていたので。それと、国際ブランド展開という仕事の観点からも、税金も安くヨーロッパの金融のメッカであるロンドンは、会社をさらに発展させるためにはこれ以上ない場所だと思えたのです。いろんなタイミングがピッタリ合った感じでしたね。
自分で言うのもなんですが、フランスでもイギリスでもよくファッション誌に取り上げられるんですよ。

生活スタイル

富裕層をつなぐ仕事

会社を立ち上げてから、もう16年間高級ファッション・宝石をメインとした国際広報事業とブランド戦略を展開してきました。ここ2年は特に不動産とアート関連のコンサルテーションやマーケティングに力を入れています。純資産の高い個人間の人脈をつなぐ点を重視した仕事内容なので、とてもエキサイティングでやりがいがありますよ。

魚市場から魚を直送してもらうほどの日本食好き

睡眠は1日6-7時間ほどしっかり取ります。健康のために家で音楽をかけながらダンスを楽しんでいます。ビタミンCのサプリメントも摂っていますよ。週末は子供たちを連れていろいろな場所へ行くように心がけています。よく行くのは、映画館、公園、博物館・美術館ですね。食事は仕事関係の人と外で食べることが多いですが、たまには主人と自宅でゆっくり食べるようにしています。フランス料理やイタリア料理が多いですね。フランス人は食事にこだわりをもっているので、何を食べるかはとても大切です。そういう観点からも、週3回は日本食を食べます。日本食はヘルシーで美味しいですからね。見た目も美しい。私たち家族に限らず、ロンドンの富裕層の間で日本食は人気が高いと思います。よく行く日本食レストランは「ノブ (NOBU)」と「酒の花 (Sake no Hana)」。刺身なら毎日でも食べられるぐらい大好きです。子供たちも刺身が大好きなので、ロンドン最大の魚市場「ビリングスゲート・マーケット (Billingsgate Market)」の人に電話して、特別に良い魚を送ってもらうんですよ。獲れたてのフレッシュなお刺身は最高です。

休暇は多めに

休暇は年に4回ほど取ります。イタリア、スイス、フランス、スペインなどに行くことが多いですね。交友関係はパリ時代の友人や、ロンドンでのママ友など様々ですが、普段は忙しいのでなかなか会えません。それでも週1回ほどはランチやディナーに出かけるようにしています。息抜きも必要ですからね。

住居の印象

KDCA(韓国疾病管理庁)はコロナ流行初期段階からいち早く診断キット導入し、徹底した追跡調査をしました。ここには韓国のIT技術が多く生かされています。例えば、PCR検査でコロナ陽性と判明した場合、その感染者の動線が調査され、接触可能性がある場所をラジオ・電子メール・携帯アプリ等のツールで公開します。そして、同じ時間にその場所にいた人にはPCR検査をするよう通告します。このように、韓国ではITシステムを活用した追跡調査を行うことで二次感染の早期発見を可能とし、感染拡大を防いでいます。(なお、調査で収集した個人情報はコロナ対策以外の目的に使用されません。)

各部屋には最高級のものたちが

自宅のあるボルトンガーデンは富裕層の居住地として有名な場所です。間取りは4ベッドルーム、4バスルーム、キッチン、ダイニングルーム+スペアルームという全11部屋。壁紙はなく白壁のみです。照明はデザイナーもの。家電製品も最高品質の物を取り揃えています。家族写真はたくさん飾ってありますよ。有名画家の絵画もあります。私のお気に入りはHenry CallahanというアーティストのGothamという絵ですね。

日本製品で溢れるキッチン

金融業に携わる主人が仕事で日本に月1回ほどの頻度で行っていたことがあるんです。日本から帰ってくる度に、日本の物が増えていきましたね。キッチンにはだるまや小さな日本酒の樽、日本酒の瓶など、日本の物がたくさん置いてありますよ。

持ち物を拝見

一流アーティストの作品・家具で彩られたお宅

本はアート関係の物が多いですね。こだわりの持ち物はピアノと、エリザベス・ガルース(Elizabeth Garouste)、マッティア・ボネッティ(Mattia Bonetti)やオスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)が手がけた椅子たち。アルマーニ/カーザ(Armani/Casa)のソファや、コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brâncuși)の彫刻などですね。一流アーティストの物を集めるのが好きなんです。

買い物について

服は着こなしがポイント

服やアクセサリーはブランドそのものというよりも、どのように着こなすかが大事だと思います。ステラ・マッカトー(Stella McCartney)、クロエ(Chloe)やリアナ(Riana)、フランスのデザイナー物など、クラシックでシックな装いが好みです。オンラインで買うこともあるし、直接お店に出向くこともあります。今まで購入した中で一番高価なものはロレックスゴールド(£30,000、約430万円)で、身につけずに大切にしまっています。

食品は鮮度が命

食材はウェイトローズ(Waitrose)やファーム・オーガニック (Farm Organic)で、できるだけ新鮮なものを買うようにしています。前にも述べた通り、刺身にする魚などはビリングスゲート魚市場から直送してもらっています。

プレゼントもします

プレゼントは誕生日や何かのお祝いで贈ることが多いですね。スカーフ、手袋など、どのようなお祝い事かによって買う物は様々です。クリスマスプレゼントも家族で贈り合います。

情報収集方法

ソーシャルメディア嫌いの音楽好き

テレビは見ません。新聞はザ・タイムズ (The Times) を購読しています。オンラインニュースはザ・テレグラフ (The Telegraph)とフィガロ (Figaro)をチェック。SNSは嫌いですが、リンクトインだけは仕事で利用しています。ラジオはバスルームやキッチンでクラシック音楽を聴いています。イタリア、フランス、イギリスのクラシック音楽が好きなんですよ。

日本文化に対して

日本文化、日本食が好き

日本へ行ったことはありませんが、日本の文化・食べ物が好きなのでいつか行ってみたいとは思っています。イギリスで日本製品といえば、資生堂、無印良品、田崎真珠、日本食、ユニクロが思い浮かびます。ユニクロは子供服でよく買いますよ。いずれも信頼して購入できる物ばかりです。日本は平和で食べ物が素晴らしいというイメージ。桜と優しい国民性。独特な日本文化をそのまま守っていってもらいたいですね。

日本製品のクオリティをRPすべき

日本製品が高品質なのは誰もが認めるところだと思うので、例えばメイクブラシなどをロンドンに輸入してみてはどうでしょうか。他のブランドにない強みを売り込めば、ビジネスとしてもうまくいくと思います。

成功者・富裕層の定義

成功するためには運も大事

成功者とは、ゼロから何か大きなものを作り上げた人のことを指すと思います。そのためには運と勤勉さが大事ですね。
富裕層は、家族ビジネスを持ち、もともと金銭的に余裕のある人のことですね。