海外ビジネスナビ

中小機構

欧州展示会に備える!名刺交換で終わらせないフォローアップ戦略

地域:EU ドイツ カテゴリ:海外進出ノウハウ
欧州展示会に備える!名刺交換で終わらせないフォローアップ戦略

はじめに

「名刺はたくさん集めたし、反応も良かったのに、結局ほとんど受注に繋がらなかった…」— そんなご経験はありませんか?
出展費用だけでも数百万円から数千万円にのぼることも珍しくない海外展示会。集客や商談のチャンスが期待される場である一方、機会損失を嘆く声もよく聞かれます。その原因の一部はフォローアップの質とタイミングにあります。
本記事では、展示会出展後のフォローアップで失敗しないための具体的なヒントを、現地ビジネスの視点からご紹介します。

展示会後のフォローに失敗する2大原因

展示会に出展しても成果に繋がらない場合の、よくある失敗パターンは次の2つです。

・ 帰国後、日常業務に埋もれてフォローが後回しになる
・ 1回メールを送っただけで返信がなく、すぐに諦めてしまう

展示会直後は興奮冷めやらぬはずなのに、帰国すると「通常業務が忙しい」「熱量が冷めてしまった」となりがちです。また、文化の違いも無視できません。

日本ではメールや問い合わせに律儀に返信するのが普通かもしれませんが、欧州では取引先相手でも「返信なし」「数週間放置」は日常茶飯事。ブースで「すごく良いね!あとで連絡するよ」と言われたのに音信不通なのは、やんわり断るための社交辞令の可能性が。1回のメールで返信が来たらむしろラッキーといえます。

つまり、日欧の文化差を理解した上で、音信不通でもめげずに熱量を保つフォローが、出展の成果を分ける鍵になるのです。

帰国後、溜まった日常業務に追われてフォローが後回しに

成果を左右する事前準備~会話メモと優先順位付け

受注につながるフォローアップには事前準備が欠かせません。

展示会中、バイヤーは数多くのセラーと接触するため、印象に残らないと埋もれてしまいますし、セラー側も記憶に頼ると思いだせず後で困るはめになります。

そこで必要不可欠なのが、会話内容の簡易メモと名刺の紐づけ。

どんな人とどんな話をしたか、どの製品に興味を示したかを手短に記録しておくと、後日のメールで具体的に触れられ、記憶に残りやすくなります。

例えば、事前にA4サイズのフォーマットを作ってファイルに挟んでおき、商談の度に名刺をテープやクリップで添付してメモを追加すれば、保管・再利用も簡単です。

さらに商談時に熱量を測り、「最優先」「中期的に可能性あり」「将来的に見込みあり」などに分類しておくと、迅速で的確なフォローが可能になります。

手短なメモと分類がスピーディなフォローの秘訣
商談メモのフォーマット例

返信率を高めるメール術

続いて展示会後のフォローで大事なのは、スピード感。

悠長に構えていると興味が冷めてしまい、競合にチャンスを奪われてしまいます。展示会の余韻が残るうちに、すぐにフォローを開始することが大切です。目安としては、展示会終了後2週間以内に最初のフォローアップを行うのが理想的です。

メールの返信率を上げるコツは「距離感を縮めること」。例えばメールの前後に短い架電を入れるだけで返信率が大幅に向上します。「ハロー!あの時はどうも…」とフレンドリーに声をかけた後でメールを送る、あるいはメールを送った翌日に「ご覧いただけましたか?」と一言フォローするだけでも効果的。
社内に外国語対応できるスタッフがいない場合は、フォロー時の対応体制まで含めて事前に計画しておくのがお勧めです。展示会支援の通訳者や現地スタッフを活用するのも一案です。

ちょっとした工夫が返信率を高めます

電話のフォローが難しい場合でも、メール冒頭に「〇〇展示会でお会いしました、〇〇社の〇〇です」「あの時〇〇な話をしましたね」といった一文を添えるだけで「あの時の人だ」と思い出してもらえる確率が高くなり、営業メールとしてスルーされるのを防げます。

“同じ温度感”で伝えるフォロー術

欧州バイヤー向けのメールでは、目的・結論を冒頭に置くスタイルが一般的で、要件を明確にし、関係者の時間を無駄にしない姿勢が評価されます。

それを考慮にいれず、一律に“日本式の丁寧メール”を送ると、「回りくどい」「要点がわかりにくい」とスルーされてしまうことも。できるだけ本文冒頭に結論や目的を明示し、必要に応じて小見出しをつけるなど、視認性を高める工夫をすると良いでしょう。

欧州では「複数の質問をしても1つしか返事が返ってこない」というのもよくあることです。関係が深まるまでは、まずは「返信をもらう」ことを目的に、相手にとって負担にならない、シンプルでわかりやすいやり取りを意識してみてください。

さらに、意外と成果に差が出るのが担当者の“ランク合わせ”です。

欧州では、企業内の立場や決裁権を重視する傾向が強いため、メールの送り手の職位が相手の職位と釣り合っていないと、真剣に取り合ってもらえないケースもあります。

たとえば、バイヤーがマネージャークラスであれば、自社からも同等の職位の人がメールを送るのが効果的です。これは「格を揃える」文化とも言え、相手と同じ目線・同じ温度感で接することが信頼構築につながるポイントの一つだと言えます。

目線を合わせると信頼構築も加速します

まとめ:受注につなげる展示会フォローの鉄則

欧州の展示会出展には、多大なコストと労力が伴います。優れた商品力は大前提ですが、「このパートナーなら安心して任せられる」と感じてもらえるか ―つまり、コミュニケーションの質も明暗を分かちます。

そのため、「展示会は準備とフォローも含めて本番」と捉え、事前準備から帰国後の迅速かつ丁寧なフォローアップまでを計画的に進めることが、成果を最大化する秘訣と言えるでしょう。

本記事でご紹介したヒントが、皆さまの次回の欧州展示会を成果につなげる一助となれば幸いです。

海外展開アドバイス支援

筆者紹介

児島 阿佐美 中小機構 中小企業アドバイザー(新市場開拓)

ドイツ在住海外進出アドバイザー。欧州市場に挑戦する日本企業を対象に、展示会の代理訪問や視察アレンジ、市場調査、営業支援など、現地感覚を活かしたマーケティング支援を行っている。文化や商習慣の違いを踏まえた「伝わるコミュニケーション」に重きを置いた、ただの調査や翻訳にとどまらない実践的な現地支援が強み。

中小機構について

中小機構の「海外展開ハンズオン支援」では、国内外あわせて300名以上のアドバイザー体制で、海外ビジネスに関するご相談を受け付けております。

ご相談内容に応じて、海外現地在住のアドバイザーからの最新の情報提供やアドバイスも行っております。ご利用は「何度」でも「無料」です。どうぞお気軽にお申し込みください。

「海外展開ハンズオン支援」
※ご利用は中小企業・小規模事業者に限らせていただきます。

公開日: