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欧州市場で勝つための3つの視点 日本茶ブランドから学ぶ現地適応のポイント

地域:EU ドイツ カテゴリ:海外進出ノウハウ
欧州市場で勝つための3つの視点 日本茶ブランドから学ぶ現地適応のポイント

はじめに

歴史的な円安が続く中、海外市場は日本企業にとって重要な成長の選択肢となっており、海外展開を検討中の企業様も増えているのではないでしょうか。

日本企業の最大の武器のひとつは「高品質」ですが、品質が良ければ売れるとは限りません。特に海外市場では、日本国内の評価や実績が伝わりにくく、売り場では現地消費者の目により一から判断されることになります。

そんな中、ドイツをはじめ欧州で着実にシェアを伸ばしている日本茶ブランドが複数存在します。本記事では、ドイツ市場を起点に展開するプレミアム緑茶ブランドKEIKO(ケイコ)と、欧州における抹茶普及の先駆的ブランドaiya THE TEA(アイヤ・ザ・ティー、以下“aiya”)を事例として取り上げながら、日本ブランドが欧州市場で定着するために必要なポイントをマーケティングの視点から解説します。

「名刺はたくさん集めたし、反応も良かったのに、結局ほとんど受注に繋がらなかった…」— そんなご経験はありませんか?
出展費用だけでも数百万円から数千万円にのぼることも珍しくない海外展示会。集客や商談のチャンスが期待される場である一方、機会損失を嘆く声もよく聞かれます。その原因の一部はフォローアップの質とタイミングにあります。
本記事では、展示会出展後のフォローアップで失敗しないための具体的なヒントを、現地ビジネスの視点からご紹介します。

成功要因① 現地目線の安全性・サステナビリティ発信

KEIKOは鹿児島の製茶メーカー・下堂園(しもどうぞの)とドイツ人が共に立ち上げたブランドで、日本産100%のオーガニック緑茶を主力としています。化学肥料・農薬不使用、トレーサビリティを確保した生産工程のほか、自社太陽光発電を取り入れるなどサステナビリティも強くアピールしています。

EU、とりわけドイツでは、食品の安全性や環境保全に対する関心が非常に高く、市場にはすでにEU基準を満たした現地製品が数多く流通しています。その中で日本製品が選ばれるためには、現地基準の文脈で魅力を語ることがとても重要です。

同メーカーは1995年にEU有機認証を取得し、欧州の消費者が理解・評価できる基準で安全性を発信。さらにサステナビリティをブランドの核心メッセージに加えることで、ターゲット層の購買理由を強化しました。

ドイツ政府が認定するEU有機認証ロゴ

愛知県発の抹茶メーカーaiyaは、現地法人Aiya Europeを通してEUの有機認証や第三者機関による農薬残留検査、放射能検査など、様々な認証をとりそろえ最高水準の安全性をアピール。B2Bを中心に販路を拡大してきました。

「どうすれば商品の安全性や企業姿勢を、現地の消費者に伝わる形で発信できるか」を深く理解し消費者へ訴求できたことが、両メーカーの大きな強みだと言えます。

厳格な基準のもと緑茶を生産する様子を発信するKEIKOブランド
(提供:Shimodozono International)
食品から日用雑貨まで、あらゆるものが有機認証付で出回っている。価格も通常品と大差ないので、筆者も選択肢がある場合は認証付を購入。

成功要因② ターゲット設定が市場の広がりを決める

両メーカーの発信からは、日本茶マニアや日本文化愛好家だけではなく、「健康的で安全な飲み物を求める一般消費者」にブランド価値を広く訴求していることが見て取れます。

日本茶を主に「文化」や「伝統」の切り口で訴求すると「エキゾチックな嗜好品」とみなされ、市場は日本茶マニアなどに限定されてしまいやすいです。しかし、EU諸国ではオーガニック専門店が広く普及しており、中でも健康・環境意識の高い層にとってオーガニック食品は日常的な選択肢の一つです。

KEIKO、aiya両ブランドともに、日本茶のライフスタイル消費財としての側面を強くアピールすることで、健康志向という成長市場の中で、幅広い消費者層への浸透を実現したと考えられます。

「誰に向けて売るのか」というターゲット設定次第で、パッケージもブランドメッセージも大きく変わります。目指す市場で消費者に刺さる商品にするには、どのような見せ方・切り口が最も適しているのかを見極める視点が不可欠です。

オーガニック製品の需要は現在もEU諸国で増加中
KEIKOもaiyaも、パッケージや商品説明欄に『Vegan(ビーガン:動物由来の原料不使用)』と明記。ヨーロッパの消費者が求める大切な価値の一つ(提供:Aiya Europe)

成功要因③「クールで洗練された日本」を反映したブランディング

3つ目のポイントは、ブランド表現の現地適応です。

KEIKOのパッケージは伝統的な和風柄というより、ミニマリズム(最小限主義)や機能性を重視したデザインで、「欧州の消費者がイメージするクールで洗練された日本」を体現しています。日本人が見ると「外国っぽい」と感じるかもしれませんが、現地の感性や陳列棚には違和感なくなじみます。

aiya社もオンラインショップの品ぞろえから、日本市場向けと欧州市場向けで、パッケージを変えていることがわかります。

日本側が「本場」「伝統」「職人」といった要素を前面に押し出すと「エキゾチックなお土産」の域にとどまってしまいがち。しかし、欧州の消費者にとって理解コストの高い日本的・哲学的要素を必要以上に強調せず、現地の生活や価値観に自然に溶け込むブランドのあり方を築くことで、市場のすそ野は広がります。

日本的なエッセンスを残しつつも、主眼を常に「現地の認識」に置くことで、長期的な支持を得ることが出来ると言えるでしょう。

KEIKOのパッケージ
(提供:Shimodozono International)
aiyaのパッケージ
(提供:Aiya Europe)
有機製品専門店で販売されていた他の抹茶ブランド。
種類はますます増えている

まとめ:今すぐできる海外展開のヒント

KEIKOやaiyaの事例が示しているのは、大規模投資や現地法人設立だけが成功の条件ではないという点です。例えば次のような視点はすぐにでも取り入れることができます。

  • 自社の商品が選ばれる理由を明確にしたポジショニング
  • 現地の消費者が重視する価値を起点にしたメッセージ設計
  • 現地の認識に沿った「日本らしさ」を反映したパッケージ表現
  • 「良いもの」を日本基準ではなく、現地基準で語るストーリー構築

為替環境はいつか変わりますが、ブランドとしての立ち位置は一度築けば簡単には揺らぎません。海外展開を検討しているのであれば、本事例を参考に、自社のターゲットや伝え方を一度整理してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

海外での最適なブランディング方法について具体的に検討したい、そんなときは中小機構へご相談ください。

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*写真は2026年春時点の情報となります。

筆者紹介

児島 阿佐美 中小機構 中小企業アドバイザー(新市場開拓)

ドイツ在住海外進出アドバイザー。欧州市場に挑戦する日本企業を対象に、展示会の代理訪問や視察アレンジ、市場調査、営業支援など、現地感覚を活かしたマーケティング支援を行っている。文化や商習慣の違いを踏まえた「伝わるコミュニケーション」に重きを置いた、ただの調査や翻訳にとどまらない実践的な現地支援が強み。

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