
海外展開を目指しながらも、実務面で踏み出せない中小企業は少なくありません。本企画では、営業活動の実務を支援する「海外営業代行」に着目し5社への取材を通じて、サービス内容や費用感、各社の方針や担当者の人柄等をご紹介します。導入検討の一助としてご活用ください。
企業の自立を目指すサポート
「中小企業を世界へつなぎ、地域創生を」
一般社団法人Glocal Solutions Japan(グローカルソリューションズジャパン)
特徴
◎企業の「自立」を最終ゴールとする伴走型支援
→営業代行に依存させるのではなく、企業が自力で海外営業できる体制の構築を重視。
◎現地人脈に基づく信頼型商談の実現
→コンサルタントや士業など、海外経験豊富な構成員が持つ独自のネットワークを駆使し、信頼関係に基づく商談を実現。
◎商談会形式の共同型支援プログラム
→単独出展が難しい中小企業を複数社まとめ、コストを抑えながら現地企業との商談機会を提供。
お話を伺った方
代表理事
認定専門家・海外販路開拓
深野 裕之さん
顕微鏡メーカーの海外営業部を経て独立。「華僑のビジネスパートナーから『海外の人脈は人生の財産になる』と教わりました。その言葉を胸に築いてきたネットワークが、いま地域の中小企業の海外展開につながっています。」

認定パートナー
瑠美 奈緒さん
英会話講師から経営者の通訳を経て現職。「父が家業を廃業することになり、中小企業の厳しい経営環境を痛感しました。大きな挑戦に踏み出す企業と海外をつなぐ橋渡し役にやりがいを感じています。」

一般社団法人Glocal Solutions Japan https://glocal-solutions.org
事業の概要と強み
地域企業を世界へつなぎ、外需で地域経済を回す
――事業立ち上げの背景について教えてください。
深野代表:地域の中小企業が主役になる社会づくりに力を注ぎたいという思いから、2020年4月に設立しました。法人名の「グローカル」には、地域企業が海外と直接つながり、外需を地域経済に循環させたいという思いを込めています。
私は神奈川の田舎で生まれ、曽祖父が県会議員として地域に尽くした話を聞いて育ちました。「地域の役に立ちたい」という思いを持ちながらも挫折の多い青年時代を過ごし、社員数20数名の顕微鏡メーカーでは、入社半年でいきなりヨーロッパへ6週間の営業出張に行くことに。右も左もわからない中、現地で出会った華僑のビジネスパートナーから海外営業のやり方を必死で教わり、ヨーロッパ全域に20数社の販売網をゼロから構築しました。ロールス・ロイスやシーメンスにも販路を広げた経験から「やり方を学べば、経験がなくても海外営業はできる」という確信を得て、同じような壁にぶつかってきた中小企業を支えたいと思い独立。その後、1人でできることの限界を感じてGlocal Solutions Japan(GSJ)の設立へと至りました。
――一般社団法人という形態を選んだ理由は何でしょうか。
深野代表:行政や公的支援機関・金融機関などとの連携を視野に入れたとき、「社会的な役割を持つ組織」として社団法人の形態が信頼を得やすいと判断しました。また、さまざまな専門家が連携して動く枠組みとしても社団法人が現実的でした。
――現在の組織の規模・体制はどのような形ですか。
深野代表:専門家登録・パートナー登録の構成員が20数名、参加企業は20社前後です。弁護士・司法書士・弁理士など国際案件を扱う専門家も集まっており、プロジェクトごとに最適なチームを編成して取り組みます。
――得意なエリアや商材の傾向を教えてください。
深野代表:エリアは東南アジア・台湾・香港・中国南部が中心で、10年以上かけて経営者ネットワークを構築してきました。商材は食品関連が多く、支援先の7〜8割は売上3億円以下の中小企業です。近年は株主から外需型への転換を求められている上場企業や、年商10億〜100億円規模の製造業の案件も増えています。
――認定パートナーは、どのような役割を担っているのですか。
瑠美さん:それぞれの得意分野によって異なりますが、私の場合は語学力とコミュニケーション能力を活かした海外企業との橋渡しです。海外展開では、商談後に時差や言語の壁でやりとりが途絶えてしまうことがよくあります。そうしたことが起こらないように見守りながら適切にフォローし、商談を動かしていく調整役を担っています。
深野代表:優秀ですが独立心の強い専門家集団なので、当初は組織づくりに悩んだこともありました(笑)。しかし、瑠美さんのコミュニケーション力のおかげで現在は専門家同士に横のつながりが生まれ、チームとして企業に寄り添える体制が強化されています。
具体的な営業手法と考え方
「関係性」が起点——現地ネットワークが生む自然な商談の連鎖
――具体的な営業手法について教えてください。
深野代表:当社の最大の特徴は、私自身と専門家・認定パートナーが築いた現地経営者との人脈を活用していることです。たとえば、現地に商品を持っていくと、興味のある企業が友人経営者も連れて見にきてくれる──そういう親しさのある関係性を構築してきました。
こうした土台を踏まえ、当社の海外営業代行支援サービスには、大きく分けて「個別コンサルティング」と「共同型の商談会」の2つの選択肢があります。
――個別コンサルティングが、いわゆる海外営業代行でしょうか。
深野代表:そうです。実務経験豊富な専門家が海外営業に必要な資料の作成から、営業戦術、実際の商談を行い、受注するまでの流れをつくっていきます。商品が継続的に販売できる体制を整えるまで支援し、営業代行にとどまらず、担当者の育成まで対応可能です。
しかし、小規模事業者にとっての課題は「資本力」です。1回の受注額が小さくなりがちで、コンサルティングフィーや渡航費を差し引くと継続支援が難しくなってしまうのです。
この問題を解決するために、複数社をまとめて支援する「共同型の商談会」を考案しました。独自に小規模な海外商談会を開催し、同業・親和性の高い企業をグループ化してサポートすることで、1社あたりのコストを抑えながら海外企業との商談機会を提供しています。
――具体例を教えてください。
瑠美さん:昨年は台湾の食品展示会「フード台北」に合わせて5〜6社の食品関連企業を集め、会場近くの会議室で商談会を開催しました。参加者は40〜50名。大きな展示会のように名刺交換の数を追うのではなく、落ち着いた空間でしっかり話ができる場をつくると、「自社では難しいが、知り合いの会社なら合うかもしれない」と、その場で電話をかけて別の企業を呼んでくれるといった動きが自然に生まれました。

――営業するうえで大切にしていることは何ですか。
深野代表:必ず現場に足を運び、クロージングまで支援することです。当社の専門家・認定パートナーは現場重視の人を集めており、展示会や商談に積極的に同行しています。また、「紹介だけで終わらせない」という考えで、商談が実際に動き出すまで伴走することを大切にしています。
――報告・コミュニケーション体制はどのようになっていますか。
瑠美さん:まず企業概要・商品情報をヒアリングし、オンラインまたは対面で面談。その後、個別コンサルティングか共同型商談会への参加かを提案します。案件が動いている期間は進捗を随時オンラインミーティングなどで共有し、メール文の作成補助や日程調整といった細かなフォローも行います。
――依頼主側に求める協力や心構えを教えてください。
深野代表 :「一緒に実行する」姿勢が何より重要です。当社は「すべてお任いただければ、こちらで売ってきます」というスタンスではありません。そうしたスタイルも一つのやり方ですが、企業が関わらないまま進めてしまうと、結果として営業代行業者に依存し続ける関係になってしまいます。それは地域の企業が海外と直接つながることで外需型の地方創生を実現するという弊社が考える理想から見て、決して望ましい形ではないと考えています。
――御社は企業の「自立」を支援しているという理解でよろしいでしょうか。
深野代表:はい。必ず「自立してください」とお伝えしています。社長自身が商談プロセスを理解し、社内に共有できる状態をつくることを目指しています。
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