海外進出ノウハウ 近畿本部

模倣品で泣かないために日本の中小企業がすべき6つのこと

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海外への輸出や日本国内でのインバウンド向け販売を始めると、海外市場で商品やサービスを模倣されるリスクがぐっと高くなります。

模倣品の被害で泣かないために日本の中小企業がすべきことは下記の6つです。

【1】模倣品かな?と思ったら躊躇せず立ち上がる
【2】自社サイトに模倣品対策専用ペ―ジを作る
【3】事前に当社の急所を社内で共有しておく
【4】取引先との線引きを明確にしておく
【5】被害と回避のコストバランスを知り、適切にプロを使う
【6】知財対策は柱の1つに過ぎない、他の柱もすべて見直しておく

事業を継続する上で要となる知的財産を、気づかぬうちに失わないためにすべき6つのことについて、Q&A方式で更に詳しく解説いたします。

(なお、知的財産の制度は各国、各地域によって異なるため、以下ではよく見られる一般的な例について解説します。実際には、事業を行う市場国又は地域に応じて、現地の知的財産制度を調査し個別に対応することが必要です。)

 

【こんな時どうする1】当社の商品にソックリな商品がインターネット上で販売されているのを見つけました。どうすれば良いですか。

【すべきこと1】 

まずは、現状調査を当社で行い、インターネット検索や取引先へのヒアリングを通じ、模倣品の流通状況、模倣品の製造元や販路に関する情報を集めます。

次に、権利侵害の証拠を保存します。模倣品を購入できる場合は、販売事実が残る証拠(相手方とのメール、発注記録、振込記録、領収書等)を保存し、到着した模倣品の包装や発送者情報等を保存します。現物入手が難しい場合は、ウェブサイト上やカタログ上の模倣品を撮影しておきます。

国又は地域によっては、証拠として認めてもらうために、取得した書面やデータに公証やタイムスタンプを付していつの時点のものであるのかを明確にしたほうがいい場合もあります。

そして、社内の知的財産権を確認し、どの権利が侵害されているのかを確認していきます。商品がソックリな場合、著作権、意匠権、立体商標権の侵害や、デッドコピーによる不正競争防止法違反等が考えられます。

ここまでの準備を終えたら、相手方が特定できる場合には警告状を送付したり、また、Amazonや楽天市場などのECプラットフォームの運営事業者、税関、警察機関等に通報したり、解決に向けた行動を開始します。

現在の模倣品の多くは、ECプラットフォームを通じて販売されています。そのため、ECプラットフォームの運営事業者に連絡をして、上記の保全した証拠を用いて出品が権利侵害品であることを説明し、出品の停止を求めることが重要です。

調査の方法が分からない、直接交渉が不安だといった理由から、具体的な行動に踏み出さない企業も多い様ですが、模倣品を見つけたら、迷わず迅速に、行動を起こしましょう。

費用の面で、弁護士に相談することを躊躇するようでしたら、まずはお近くの行政の無料相談を活用してください(中小機構でも無料で相談対応しています。)。

 

【こんな時どうする2】本家ホンモノとして模倣品との違いを示したいです。どのようにすれば良いですか。

【すべきこと2】 

模倣品との区別を適切に示すことは当社のブランドを守ることにもなり、消費者が模倣品を間違って購入するリスクを減らすことにもつながります。

まずはウェブサイトに専用ページを作り、当社の方針と今後の対応を述べ、写真や図などで違いを説明します。特に、模倣品を購入した場合の不具合やケガ等について当社が責任を負わないことは明記しなくてはなりません。また、SNSで模倣品の情報を発信することも有効です。

下記は自社ウェブサイト上で模倣品対策についての取り組みを発信している事例です。

①キッコーマン(株)(画像をクリックすると外部サイトへ移動します。)

②カシオ計算機(株)(画像をクリックすると外部サイトへ移動します。)

また、正規品との区別のつけ方については、下記などがあります。

  • シリアル番号をつけて管理する
  • 正規品の識別マークとしてホログラムシールを貼る
  • 工程のブラックボックス化を行い正規品のみが持つ特徴を社内管理する

もし、輸入差止申立制度によって該当税関で差止め申請を行っていれば、そのこともウェブサイトで適宜告知しておくと良いでしょう。

 

【こんな時どうする3】オンライン商談後、契約検討に必要だからと色々な書類の提出を求められています。例えば、カタログ以外にも、仕様書、図面、分析表、成分表、安全データシート等々です。どのように対応すべきですか。

【すべきこと3】 

仕様書、図面、分析表、成分表、安全データシート等は、会社にとって重要な情報を含む書類であり、このような情報は適切かつ秘密に管理されていれば、営業秘密にも該当すると考えられます。このような社内において重要な情報が記載された書類については、外部に提出する際に細心の注意が必要です。

つまり、書類の提出を要求してくる相手は必ずしも潜在顧客だとは限りません。実際、展示会での商談においては、競合の製品の性能や権利侵害を調査するために偽の名刺を作り身分を偽って参加してくる者もいます。

特に、新型コロナウィルスの流行以降に増加しているオンライン商談においては、相手方の身分を正確に確認することや、撮影を禁止する等相手方の行為をコントロールすることが難しいため、特に注意が必要です。

また、資料やサンプルの事前提出も、極力控えたほうがよいでしょう。特に営業秘密に該当する情報が含まれている場合には、少なくとも秘密保持契約を適切に締結していない限り、行ってはなりません。秘密保持契約を締結しないで資料を開示してしまうと、新規性という特許取得の要件が喪失し、関連する特許を取得できなくなるおそれがあります。

さらに、相手方が、提出資料を利用して、勝手に知的財産権等の出願を行ったり、知的財産権の侵害調査を行ったりして、当社に権利侵害を主張してくる可能性もあります。

そもそも何が営業秘密に含まれるのかがはっきりしていない場合、従業員が誤って営業秘密を外部に提供してしまう危険性があるため注意が必要です。

そのため、仕様書、図面、分析表、成分表、安全データシート等の会社にある情報のうち、何が営業秘密に該当するか、機密度がどの程度であるか等を整理し、マル秘マークやConfidentialマークを付すなどして営業秘密であることを一目でわかる方法で明示すべきです。

加えて、社内においても、アクセス権利者を制限し、開示方法(秘密保持契約の締結や上司の決裁等)を定め、適切な秘密管理体制を構築し、研修や内部監査等を通じて適切に運用していくことが重要です。

 

【こんな時どうする4】現地の販売代理店が、弊社名や商品名によく似た名称で勝手に商標登録しています。大丈夫でしょうか。

【すべきこと4】 

販売代理店が、類似した商標権を保有していることは、海外で事業を行う上で大きなリスクとなるため、まずは当該商標権を取り消すことができないかについて検討し、それができない場合には、販売代理店と当該類似商標権の譲渡やライセンスを交渉するべきです。

海外展開を進めていくと、現地の事情に精通している販売代理店等のビジネスパートナーとの協業も増えていきますが、トラブルの発生や、別のパートナーへの切り替えの可能性について常に想定し、その際の不利益を最小限に抑える方法も事前に検討しておかなければなりません。

販売代理店が類似した商標をすでに登録している場合、その商標と混淆する恐れがあることを理由に、当社の正当な商標出願が拒絶されてしまう可能性があります。

また、販売代理店との関係が悪化したり、トラブルが発生した場合には、当社の商品の販売やサービスの提供を差し止められ、損害賠償を請求されたり、販売を継続するために必要になる類似商標の高額買い取りを要求されたりするリスクがあります。

販売代理店が適切ではない方法で当社の商品を販売し又はサービスを提供し、当社のブランドの信用が脅かされていた場合、もちろん契約に基づき是正を求めることができますが、当社が商標権を保有していれば、販売代理店の適切ではない販売行為をコントロールしやすくなります。

また、第三者が商標権を侵害する行為を行っていた場合、販売代理店が対応を拒否したときには、当該国で商標権もない当社は、侵害行為を止めることができません。

このように、当社がきちんと商標権を保有しておかなければ、ブランドの信用を維持するために本来講じることができるはずの手段すら講じることが難しくなります。

そのため、販売代理店の不適切な販売行為や、関係悪化、紛争の発生のリスクを軽減するため、まずは当社において、当該国で商標権を出願し、すでに販売代理店が類似の商標権を有する場合には、友好的な関係のうちに、当該類似商標権の譲渡やライセンスを交渉し解決しておくべきです。

 

【こんな時どうする5】外国の会社から『弊社の商標権を侵害している』と警告書が届きました。商標申請時に当社がインターネットで当該国の商標登録を調べた時には弊社の商標と類似する商標は見つからなかったはずなのですが、どうすれば良いでしょうか。

【すべきこと5】 

前提として、特許、意匠、商標等について、事業を行う国又は地域で同一又は類似の商標が既に存在していないことや出願手続中ではないこと等を調査することはとても重要ですが、新規出願が検索対象に加えられるまでにタイムラグが生じて調査が漏れてしまうことがあり、調査結果は、必ずしも完全ではないことに注意する必要があります。

また、類似する商標が見つからなかったとしても、事業を行う国又は地域で商標が先取りされてしまうリスクがあるため、当該国で事業の開始を決めた場合にはすぐに商標を出願するべきです。

ご質問のような事例の場合、警告書を受け取った場合、警告書の内容を確認することから始まります。

確認すべき事項としては、警告者の素性、警告の目的、商標権の存在、侵害の有無等などです。確認した結果、警告が的外れであることもあります。

具体的な確認方法としては、商標権の存在については、相手方の権利主張の根拠となっている商標を相手方に特定させ、当該国のデータベースで調べます。

侵害の有無については、登録商標と当社が使用している商標が類似しているか、登録商標の指定商品、サービスと当社の使用範囲が類似しているかを確認します。この類似性の判断は難しいことが多いため、弁護士や弁理士等の専門家に相談することが重要です。

警告書には通常、回答期限が付されていることが多いですが、以上の検討には時間がかかることも多いため、相手方に対して回答期限の延長を申し出ることも検討しましょう。

相手方の権利侵害の主張が、正当であると判断される場合は、商標権の譲渡交渉や、ライセンス交渉を行うか、商標の無効又は取消を請求すること等を検討することになります。

以上については、判断が難しく、対応を誤った場合のリスクが大きいので、弁護士や弁理士等の専門家に迷わず相談することが重要です。

 

【こんな時どうする6】スタートアップ企業で海外展開も予定しています。海外での知的財産権の取得、活用について何に注意すべきですか。

【すべきこと6】 

日本で登録した特許、意匠、商標等の知的財産権があっても、それらは日本の領域内で効力を有するに過ぎないため、海外に進出し、海外の競合と戦っていくためには、海外の現地国において知的財産権を取得し活用していく必要があります。

そのため、海外事業を想定せず、適切な対応をしていないと、海外での権利取得や事業展開が困難となってしまうことがあります。

例えば、日本での特許出願後、数年経ってから海外に進出するために、海外での特許申請を検討したところ、日本での特許出願から1年6か月後の公開によりすでに新規性が失われてしまった結果、海外での特許出願ができない状態になってしまう場合や、上記のように、海外で商標を出願していなかった結果、現地の別の会社に商標を先に取得されてしまい、商品名又はサービス名が使用できない状態になり、高額な買取り額を要求されるような場合等がよく見られます。

とはいえ、スタートアップ企業においては、限られた予算と人員の中で、海外の知的財産の取得、活用まで検討することが困難な場合もよくあります。

特に、特許権については、海外で出願する場合には、海外の出願代理人による高額な手続費用や翻訳費用等多額のコストがかかるのが通常です。日本の出願と同時にPCT(特許協力条約)出願をしておくと、低コストで海外のPCT加盟国において日本の出願日を維持できますので、海外展開をする国が決まっていない場合に活用できます。

また、商標権については、特許権に比べて比較的低コストで権利を取得することが可能であり、さらには著作権と営業秘密については、海外の出願を要せずに権利の保護を受けられるため、これらのコストパフォーマンスの高い権利を積極的に取得、活用していくことが考えられます。

ただし、著作権と営業秘密は、出願を要しないために、大量になることも多く、範囲が不明確で適切な管理がなされていないことがよくあります。
そのために著作権については、著作権登録ができる国(アメリカ、フィリピン、中国等)で登録することも検討に値します。

この登録は条約により日本でも保護されることになります。また、会社の事業上重要な営業秘密や著作権(ソフトウェアのソースコードや、会社のロゴ、キャラクター等)は適切に整理して管理し、権利性を維持することが重要です。

参考URL:
特許庁 自社製品の模倣品・海賊版を見つけたとき
https://www.jpo.go.jp/support/ipr/mitsuketa.html

 

おわりに

中小機構では、

  • これから輸出を始めるが模倣されない為に対策をしておきたい。
  • すでに模倣されているが、特許も商標もなくどうすれば良いのか分からない。
  • リスク全般について、当社が対応できているか、一緒に論点の整理をして欲しい。
  • 海外企業との取引における機密情報の扱い方ついては、よく分からないため相談したい。

などのご相談に常時対応しています。

何が起こってもおかしくないニューノーマルな時代、気になる事や不安な点は早めに対処していくことが、未来のリスクを大きく減らすことにつながります。小さな疑問をそのままにせず、お気軽に中小機構の海外展開ハンズオン支援(無料)をご利用ください。

中小機構 中小企業アドバイザー(新市場開拓)伊藤 亮介
中小機構 中小企業アドバイザー(国際化・販路開拓) 小川 陽子

 

中小機構について

 

中小機構では、伊藤アドバイザー・小川アドバイザーをはじめ国内外350名の専門家体制で、海外ビジネスに関するご相談を受け付けております。

ご相談内容に応じて、海外現地在住のアドバイザーからの最新の情報提供やアドバイスも行っております。ご利用は「何度」でも「無料」です。どうぞお気軽にお申し込みください。

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