ここでは、海外進出を検討する段階で必要な事業計画作成の重要性と注意点を説明します。

海外進出を検討するにあたって、「現地調査」や「F/S(feasibility study・実行可能性調査)」が重要であることは、すでに周知のことだと思います。これらの調査を支援する団体や企業も数多く存在しています。

にもかかわらず、海外進出後に「こんなはずじゃなかった」「現地法人がなかなか黒字化できない」という声が後を絶ちません。前もって適切な調査が行われなかったために、現地で上手く機能しなくなってしまうのです。

では、なぜ事前調査が重要であると分かっていながら、調査項目が不足したり、間違ってしまったりするのでしょうか。その理由として、海外進出を検討する段階で事業計画の作成を怠っているか、もしくは事業計画の数値化ができていないことが挙げられます。

事業計画は必ず数値化する

海外進出を検討する際、まず何を思い浮かべるでしょう。「周囲の同業者の動向」、「海外進出ブームの熱量」、「進出企業の成功事例」など、様々な想像をしながら構想を練っていくと思います。

しかし、何となく描いたイメージで事業計画を作成するのは危険です。

間違った事業計画に基づいてビジネスを展開していては、現地法人の黒字化はできません。事業計画とは、年間の売上目標や利益目標を設定することではないのです。

現地進出後の「B/S(貸借対照表)」や「P/L(損益計算書)」を最低5年分は作成すべきであり、そこに借入の返済計画などを盛り込んで、事業計画に落とし込んでいきます。

頭の中にだけ存在するイメージや、数値化されていない情報で「海外事業計画書」を作ることのないようにしてください。

事前調査の目的とは

とはいえ、初めて進出する国での材料費、人件費、その他諸々のランニングコストなど、日本国内で数値化することが難しい部分も多々あります。だからこそ、「不明な部分を数値化するために現地調査やF/Sをやろう」という流れになるのです。

事前調査の目的は、現地進出プロジェクトの実行可能性や事業の実現性を調査・検討することにあります。

現地法人を黒字化するために

海外進出を目指すなら、まずは正しい事前調査を元に、現地事業の投資金額や総投資金額を前提とした事業規模を設定しましょう。そして、できる限り実数に近い形で数値化した「海外事業計画書」を最低5年分は作成してください。

現地進出前に実現性の高い事業計画ができていれば、あとは現地法人がその数字を追いかけるだけです。事前に黒字化モデルの指標が明確になるため、現地駐在員も事業に専任できます。

おわりに

具体的な事業計画の作成が苦手だったり、海外進出したいが何から手をつければいいか分からなかったりする方も多いと思います。

中小機構では、各国・各分野の専門家が常駐し、国際化支援サービスを行っています。無料で何度でもご相談頂けますので、お気軽にご利用ください。

中小機構近畿本部 国際化支援アドバイザー 河原 光伯

中小機構について

中小機構の「海外展開ハンズオン支援」では、国内外あわせて300名以上のアドバイザー体制で、海外ビジネスに関するご相談を受け付けております。

ご相談内容に応じて、海外現地在住のアドバイザーからの最新の情報提供やアドバイスも行っております。ご利用は「何度」でも「無料」です。どうぞお気軽にお申し込みください。

「海外展開ハンズオン支援」
※ご利用は中小企業・小規模事業者に限らせていただきます。