海外ビジネスの現実的な姿が決まってくると、展示会で見つけるべきパートナーが誰なのかが明らかになってきます。出展の狙いを明確にして、関係者間で共有します。CHAPTER4と並行して進めていきます。
展示会でどういう人と出会いたいのか
ひと口に「海外バイヤー」と言っても、小売業者(個店、チェーン店、デパート、オンライン・ストア)、代理店、ディストリビューターなど、展示会に訪れる人はさまざまです。
さらにそれぞれに得意分野の違い(ハイエンド顧客向け/ローエンド顧客向け、地域・ニッチ特化など)もあります。機械設備などであれば、ディストリビューターだけでなくユーザーに直接営業し、販売するケースもあるでしょう。出展の目的が販売ではなく、感触をつかみたいという場合は、業者向けの展示会ではなく一般消費者向けの展示会に出るという選択もあります。
ただし、ほめられて終わりなど、次の一歩が具体的に見えづらくなることが多いようです。
どこまで話を進めるのか明確に
具体的に商談を進めるためには、価格面での提案準備をしておくことが必須です。消費財など金額の小さいものでは、「試しに少し仕入れて顧客の反応を見よう」というバイヤーが多く、「サンプル・オーダーをとる」というゴールが一般的です。機械設備など生産財では「後でデータや加工品サンプルを送ってほしい」あるいは「一度、工場に来てほしい/訪問したい」という話になるでしょう。
自社の目的にあう展示会がなければ、それ以外の方法で
分野、場所、時期などを考えあわせると、希望にかなうような展示会が存在するとは限りません。同時進行で、自社の商品にあう海外展示会を探しながら準備を進めるほうが効率的です。
海外販路開拓の代表的な手法は海外展示会への出展ですが、他にも方法があります。自社の状況や目指すところにあう手法を選びます。
海外展示会への出展
潜在顧客のキーパーソンに直接つながることが難しい場合は、展示会に出る選択肢が一般的です。消費財であれば小売店、生産財の場合はユーザーが来場するほか、中間にいるディストリビューターや代理店も来場します。既存の顧客先分野とは異なる分野での活用を考えている者がアプローチしてくる可能性もあります。可能性が広いと言える一方、「有象無象が寄ってくる」とも言えるので、目的意識を明確にしていないと消耗します。
海外の潜在顧客への直接訪問
商品を扱ってほしい小売店やディストリビューター、キーパーソンにアポイントメントをとって訪問することができれば、新規性や強みについてじっくりと話を聴いてもらえるというメリットがあります。それだけの時間をもらえるかどうか、アポイントメント取得時が第一の勝負所です。
ショールームの活用
分野によりますが、ファッションや雑貨などではショールームに自社商品を置く方法もあります。自前のショールーム設置は投資が大きいですが、サプライヤー側から棚代をとって、セレクトした商品群を合わせて展示するサービスがあります。置くだけでは販売につながりませんが、成功報酬でコミッションをとり、バイヤーの呼び込み・営業も行っている場合もあるので、海外の営業拠点とすることができます。店舗でバイヤーを待ち構えるだけでなく、展示会への出展を行うショールームもあります。
直接販売(直営店、WEB)
海外のターゲットとなる市場に店舗を構えて直接販売する、あるいはオンライン・ショップを設けて直接販売する選択肢もあります。もっともダイレクトにユーザー情報を得ることができます。消費財の分野では、イベント・スペースなどで短期間のポップアップ・ストアを出して現地消費者の嗜好などの情報を集めることも行われています。