スイス

EUの富裕層へ向けた日本製品進出可能性調査レポート(スイス編②-ピーター・コンラッド氏-)

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ピーター氏の御用達~メガネショップ・ジェーディーケー・オプティック(JDK Optic) 

店名:ジェーディーケー・オプティック(JDK Optic)
業種:小売業(眼鏡販売)
所在地:Via Maistra 14, CH-7500, St.Moritz
電話番号:+41 (0)81 833 1747
営業時間:月~金9:30~12:30、14:30~18:30、土9:30~12:30、13:30~17:30 ※季節により変動
定休日:日曜日
ウェブサイト:http://jdk-optic.ch/(ドイツ語)
取材対応者:オーナー、ジャン・ダニエル・カマ-マン(Jean Daniel Kammermann)さん
商品名(値札)等の言語:ドイツ語

インプレッション(印象)

世界的な高級リゾートにある、おしゃれな眼鏡店

 世界中のセレブリティがこぞって冬の休暇を過ごしにやってくる、スイスの山岳リゾート地サンモリッツ。町の目抜き通りであるセルラス通りには、グッチやブルガリなどの高級ブティックが並んでいます。そんなショッピングのメッカにほど近い場所にあるのが、「JDKオプティック」です。
 店は、半円のアーチが続く建物の1階に入っており、壁の装飾はいかにもヨーロッパ的。店頭に飾ってある水色のベスパ(Vespa)のスクーターは、オーナーであるジャンさんの趣味なのだそう。
 店内は白を基調としており、明るく清潔。「レイバン(Ray-Ban)」など有名ブランドのサングラスや眼鏡が、整然と並べられています。スペースはそれほど広くはありませんが、こだわりの品が並べられている「町の眼鏡屋さん」という印象です。

お店の概要

知識・経験が豊富な、スイス人眼鏡マイスター

 創業は2004年、オーナーであるジャンさんが開業した眼鏡店です。彼は、ベルン州出身のオプティカーマイスター(Optikermeister)。インターラーケンでアウゲンオプティカー(Augenoptiker、国家公認眼鏡士)の資格を取得し、ベルンやツェルマットなど、国内や海外の眼鏡店で勤務。さらに、眼鏡の分野では評判の高い隣国ドイツ・カールスルーエのマイスター学校(Meisterschule)に進み、研鑽を積んできました。
 その後、オプティカーマイスターとして、スイスイタリア語圏ロカルノの眼科に勤務。レーザー治療など、医療的な分野においても、知識を深めました。

サンモリッツで15年、オーナー自らが接客

 スイスの山岳リゾートで自分の店を出したいと思い、ツェルマットやサース・フェーなど様々な土地を探していたところ、運よくサンモリッツで発見。以来15年間、この土地で「ブレることなく」、世界中からやってくる顧客のニーズに合う眼鏡を、オーダーメイドで作り続けてきました。
 店は、サンモリッツにあるこの1店舗のみ。繁忙期には臨時で従業員を雇うこともありますが、基本的にはジャンさんが1人で接客しています。
 多言語を操るスイス人らしく、英語、ドイツ語、イタリア語で応対が可能。希望すれば、日時を指定して予約の上、じっくりと相談を受けることもできます。

検眼から眼鏡の製作、アフターサービスまで一貫

 この店の特色は、何といってもオーナーのジャンさんが、はじめの相談から視力検査、眼鏡の製作、その後の修理まで、一貫して行う点にあります。
 日本に限らずスイスにおいても、眼鏡屋でのトラブルはあります。特に混雑するチェーン店では、相談や検査を行う時間が十分に取れず、結果として眼鏡がぴったり合わなかったりすることもありうるのです。
 しかしこの店はそうした不安とは無縁。最新の機器を用いながら、ジャンさんが手作業でしっかりと目の状態をチェック。個々の客のニーズに合わせ、眼鏡のレンズからフレーム、各パーツに至るまで、最適なものをチョイス。眼鏡の製作からフィッティング、修理まで、彼自身が店の工房で行っているため、やりとりもスムーズです。

確かな技術に加え、モードへの眼差しも

 眼鏡マイスターとしての豊富な知識や正確な技術に加え、最新のトレンドにも詳しいジャンさん。長身の彼の佇まいも、モデル並みにスマートです。世界から訪れるファッショナブルな顧客のために、毎年ヨーロッパ各地の展示会に出向き、シーズンごとの流行りや新商品をチェックしており、「バートン・ぺレイラ(Barton Perreira)」や「エリー・サーブ(Elie Saab)」など、世界のセレブ御用達のラグジュアリーブランドの商品も取扱っています。

顧客の性質に合わせた、きめ細やかなサービス

 眼鏡の洗浄やフィッティング、鼻パッドの交換などは、無料のサービスとして行い、購入した商品に満足がいかない場合、3か月までは無料で他の商品と交換できます。保証期間は、3年間です。
 特筆すべきは、旅行中のサービス。EU域内を旅行中に、購入した眼鏡が破損・紛失したり、盗難にあったりした場合、電話一本で、48時間以内に「遠視用眼鏡と近視用眼鏡」が入ったセットを顧客の滞在先に届けてくれるのだそう(保証期間内のみ)。もちろん、それぞれの目の状態に合わせたレンズ付きです。旅の多い顧客にとって、これは嬉しいサービスですね。

品揃え

売れ筋は、アメリカの3大ブランド

 店のラインナップとしては、前述のハイエンドブランドのほかに、顧客の要望が多いレイバン、アディダス、オークリー(Oakley)といったスポーツ系の商品も揃えています。ジャンさんによれば、特によく売れているのは、「オリバー・ピープルズ(Oliver Peoples)」、「トム・フォード(Tom Ford)」、「バートン・ぺレイラ」の3大ブランドであるとのこと。
 オリバー・ピープルズは、ヴィンテージの雰囲気を醸し出したシンプルなスタイルが人気。トム・フォードは「Tマーク」が目印のスタイリッシュなデザインが特徴的です。バートン・ぺレイラは、2007年にオリバー・ピープルズから独立した、より高級路線なブランド。ブラッド・ピットをはじめ、世界中のセレブに愛されています。

サングラスが最もよく売れる

 商品のタイプでいうと、夏冬ともに、リゾート地で活躍するサングラスが最もよく売れており、次に眼鏡、コンタクトレンズの順なのだそう。エンガディン地方はスイスの中でも天候に恵まれており、1年のうち約320日が晴天ともいわれるエリア。サングラスが必須なのも納得です。
 「多くのお客様は短期滞在ですので、オーダーしてから時間のかかるコンタクトレンズは売れにくいですね。また、このエリアは冬に空気が乾燥するため、コンタクトレンズの使用はあまりおすすめできないという面もあります」(ジャンさん)
 商品の価格帯は、中級~高級といったところ。サングラスは、大体200~550フラン(約2万2千円~6万円)です。

ミラノやパリで買い付けた、ハイエンド商品も

 今季(2019年)一押し商品は、パリで買い付けた「エリー・サーブ」というレバノンの有名デザイナーのサングラス。価格は、なんと900フラン(約10万円)以上。店頭にはディスプレイされておらず、客の要望があれば出すという形をとっています。
 フレームに宝石が散りばめられていたり、色や形が凝っていたりと、非常にファッション性が高い。「スイスではまだそれほど売られていない、希少価値のある品物なんです」(ジャンさん)
 商品の買い付けは、毎年3月末のミラノ、9月末~10月のパリの展示会で行い、常に新しいものに注目している。商品を選ぶ際のプライオリティは、「トレンドセッターであること」だそう。

顧客

国際色豊かな客層

 冬のシーズン(12月中旬~4月中旬)や、夏のシーズン(7、8月)には、世界各地から観光客が訪れます。出身国はおもにイタリア、ドイツ、ロシア、アメリカ、イスラエルなど。中には、遠くカリブ海のバハマから来る客もいて、10年前に比べると、日本人観光客も増えています。
 顧客の年代は、30~50代が一番多く、混雑するのは大体金曜日。毎年、休暇でサンモリッツに戻ってくるたびに店を訪れ、視力を新たに測り直し、眼鏡を新調していく常連も多いという。ジャンさんの腕前が信頼されている証です。

地元富裕層の常連も

 もちろん地元の常連もおり、その中の1人が、近隣のサメ-ダンに住む金融コンサルタントのピーター・コンラッド氏。ジャンさんとは長い付き合いで、「もはや友人関係」だといいます。
 日本に5年間滞在したピーターさんに、まだ日本に行ったことのないジャンさんが、日本事情について質問することもあるそう。ピーターさんはこの店の品揃えを大変気に入っており、購入する眼鏡の価格が20万円を超えることもあるのだとか。こだわりのある富裕層ならではのショッピングといえそうです。

宣伝方法

口コミが一番、インスタに興味あり

 広告は出しておらず、「口コミが一番」と断言するジャンさん。ウェブサイトでは、店の概要が紹介されています。フェイスブックのアカウントでは、新商品の紹介や、店の臨時休業などをアナウンス。
 インスタグラムにも取り組みたいが、「何しろ1人で切り盛りしているので、なかなかそこまで手が回らないのが実情」という。しかし、「昨今の人気ぶりを見ていると、取り組まなければならないという気持ちにはなります」と話していました。
 また、サンモリッツを含むエンガディン地方のこだわりの商店を特集した本(「Leben, Wohnen & Geniessen: Engadin und Umgebung」)に、情熱を持って仕事に取り組むジャンニさんの姿が紹介されています。

日本産の品物

日本産の眼鏡フレームは質が高い

 日本の眼鏡ブランドは特に取り扱っていませんが、「バートン・ぺレイラ」のチタンフレームは日本製。こちらのブランドの眼鏡は、フレームだけでなくパーツにおいても、すべて日本で生産されており、ハンドメイドならではの丁寧な仕事ぶりが評価されています。
 ジャンさんも、「チタンフレームの分野では、日本製が最もクオリティが高い」と太鼓判。実際に、客からの評判も上々なのだとか。
 プラスチックのフレームでは、イタリア製品がベストとのこと。「お客様がプラスチックフレームを好む理由は、タイムレスであるからではないでしょうか」と話していました。

日本文化や特記すべき自国・外国文化へのコメント

日本は眼鏡の聖地、売り込みも歓迎

 ジャンさん自身は、これまで日本とそれほど接点がなかったものの、日本に対しては「生活のスピードが速い」というイメージを持っているのだそう。「日本人と比べると、スイス人は全体的にもっとスローテンポで暮らしているのではないでしょうか」とジャンさん。
 また、日本人とスイス人の類似点としては、「仕事が正確である」「クオリティに厳しい」「ディテールにこだわる」といった面を挙げていました。
 店には常に新しいものを取り入れていきたいので、日本の眼鏡ブランドにも興味はあるのだそう。「日本が世界的な眼鏡の産地であるのは、よく知っています」と語るジャンさん。今後は、日本企業からの売り込みも歓迎していきたいと話していました。

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