
フジタセイカ株式会社(以下、同社)は、栗せんべいやフィナンシェといった伝統的な焼菓子の製造メーカーで、グルテンフリーにこだわった商品展開を得意としている。国内市場の縮小が進む中、若き20代の後継者が初めての海外販路開拓を進めるべく、取引金融機関へ相談、中小機構の海外展開ハンズオン支援を活用し、台湾への海外販路開拓に取り組んだ。
目次
地元密着型小規模企業による初めての海外展開への挑戦
同社は、1938年(昭和13年)創業で、現在の藤田三洋子社長で三代目となる老舗企業である。社長が高齢なため、新たな挑戦が難しい中、社長の孫でパティシエ経験のある毛利陸人氏が後継者として名乗りを上げた。
毛利氏は、早朝より工場に入り、同社の代名詞ともいえるグルテンフリー栗せんべいの製造に没頭するとともに、午後からは営業マンとして国内を売り歩いた。
その中で「海外で日本の菓子が売れている」という情報をキャッチ、海外展開へのトライを検討することとなった。同社にとっては初めての海外展開であり、何から手をつけてよいかわからない手さぐり状態の中、取引金融機関へ相談したところ、中小機構の海外展開相談の窓口を紹介された。初回相談では、まずはターゲット国・地域を選定することから支援がスタートした。

ターゲット国・地域の選定に時間をかける
初めての海外展開ということもあり、ターゲット国・地域の選定については、とくに時間をかけて慎重に進めた。候補先として台湾とシンガポールを抽出、毛利氏自ら両地域へ現地マーケティング調査のため渡航、約1年かけて現地ニーズや嗜好、競合状況等について徹底分析、点数化して、優先順位を付けた。
その結果、台湾から優先的に進めることで合意した。決め手となったのは、親日的で現地人脈を構築しやすい点やお茶文化が発達しており、お茶菓子として浸透させやすい点が挙げられ、毛利氏はチャンスが大きいと判断した。定期的な打合せには、毎回取引金融機関の担当者が同席、サポートいただくことにより、海外事業計画書のブラッシュアップも迅速に進めることができた。
計画は注力ポイントを明確化、有益な現地調査へつなげる
海外事業計画書の策定において注力したポイントとして、①台湾において栗せんべいを常設化したい小売店舗を明確化すること、②台湾への商流構築を想定しておくことの2点が挙げられる。常設化したい小売店舗については、客単価の高い微風廣場やcity superを選定、商社については、ローカル系高級スーパーの微風廣場やcity superとの取引口座を持つ複数社を抽出した。2025年2月には台湾への現地同行支援を実施した。日系やローカル系のスーパーを中心に徹底した市場調査を行い、商社との商談同席支援のほか日本台灣交流協會でのブリーフィングサービスを活用した。事前の綿密な計画やロールプレイング方式によるプレゼンテーションのリハーサルにより、現地のローカル系スーパーや食品商社との商談の際は、試食を交えた説得力のあるプレゼンテーションを行うことができた。市場調査の結果、微風廣場やcity superへの商機が十分あることが判明、常設化を目標とすることが明確となった。


店頭プロモーション販売の工夫により認知度アップ、輸出開始!
現地での商談同席支援の結果、ローカル系高級スーパーである微風廣場の復興本店店頭でのプロモーション販売の機会をいただくことができた。同時に、同百貨店より現地食品商社を紹介いただき、商流を構築することができた。2025年6月と9月の2回にわたり、毛利氏が渡航し、微風廣場の復興本店店頭においてプロモーション販売を実施した。
そこで毛利氏は、イベントブースでの待ち受けスタイルに加え、自らお盆を用意し、店内を回遊して栗せんべいをPRした。この熱心な姿が売り場責任者の目に留まり、販売実績も好調だったこともあり、栗せんべい3種(プレーン・抹茶・ほうじ茶)および竹かご詰め合わせセットの計4アイテムが常設棚を獲得、定常化輸出を実現した。
次なる目標としては、微風廣場の常設棚の維持、拡大のため、さらなる栗せんべいの新フレーバーの商品開発、投入を図るとともに、定期的な渡航による現地百貨店・スーパー、商社等との関係強化を図っていく。



企業の声
今回の支援を受けるまで、海外現地への市場調査に出かけたことはありませんでした。 支援をきっかけに国内だけでなく海外の市場を意識するようになり、異国の文化について学ぶことも増え、今までにない知見や発想を豊かにしていただきました。大槻アドバイザーの助言により、現地調査を行い、お茶文化や日本製品への愛着等を知り、台湾を選定いたしました。その後、商流構築に向けた商談同席支援も大変心強かったです。無事に商談が成立し、現地の高級スーパーと取引することができました。店頭での複数回におよぶプロモーション販売の結果、棚に弊社商品を並べることができました。今後も油断することなく、定常的な輸出ができるようにプロモーション販売や販路開拓を行い、弊社製品の知名度アップに精進して参ります。
企業プロフィール
| フジタセイカ株式会社 | |
| URL | http://fujitaseika.com |
| 代表者 | 代表取締役 藤田 三洋子 |
| 所在地 | 愛知県 名古屋市 |
| 資本金 | 3,000万円 |
| 従業員数 | 8名(2026年6月現在) |
| 業種 | 製造業 |
| 事業内容 | 菓子の製造・販売 |
| 商品内容 | 焼菓子(栗せんべい、フィナンシェ等) |
担当アドバイザー:大槻 恭久 中小機構 中小企業アドバイザー(新市場開拓)
中小機構について
独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)は経済産業省が所管している中小企業政策の中核的な実施機関です。起業・創業期から成長期、成熟期に至るまで、企業の各成長ステージで生じる様々な経営課題に対応した支援メニューを提供しています。
「海外展開ハンズオン支援」では、国内外あわせて200名以上のアドバイザー体制で、海外ビジネスに関するご相談を受け付けております。ご相談内容に応じて、海外現地在住のアドバイザーからの最新の情報提供やアドバイスも行っております。どうぞお気軽にお申し込みください。
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※ご利用は中小企業・小規模事業者に限らせていただきます。
