[ EU販路開拓ガイドブックシリーズ ] 「ヨーロッパ市場を知るために」 おさえておきたいショップとその傾向

このガイドブックはABingPlus Co.,Ltd.に委託して作成しました。

青木 千映(あおき ちえ)
ABingPlus Co.,Ltd. 代表
上智大学卒業後、渡仏。パリ郊外のリセ(高校)にて、インターン講師として日本語を教えたことが“日本文化をきちんと伝えたい”想いを持つきっかけになり、通訳・翻訳、コーディネーター、日仏系企業にて輸出入業、広告代理店にてイベント企画等に携わる。2013年、ABingPlus社を設立。 日本とヨーロッパの企業間をつなぐエージェント・ビジネスコーディネーターとして、デザイン・雑貨・ファッション分野における日本製品の欧州販路開拓に多くの実績を持つ。

ヨーロッパ市場を知る

ヨーロッパ市場を正確に知るためには?
→市場調査が必要です。

市場調査=本来ヨーロッパでビジネスを展開する前に、欠かすことができないステップ。

内容:
・今市場で求められているもの
・価格帯 ・色使い
・パッケージ
・表示方法 etc…

インターネット上の情報だけでなく、消費者やバイヤーの生の声を取り入れてしっかり時間をかけて調査するのがベストです。
→そうして改良された商品をどこでどのようにプレゼンするかが鍵なのです。

消費者・バイヤーの立場から見た商品のチェックポイント

ヨーロッパのライフスタイルにマッチするもの = 日常生活で普通に使いこなすことができるもの

・適正価格か?
・実用性はあるか?
・色・デザインの傾向をおさえているか?
・サイズ感は良いか?
・取り扱い方法は明確か?

さらに
・アフターサービスがきちんとしているか?(返品・交換含め)
・追加注文が簡単にできるか?
→距離感のないサービスの提供が可能か?

パリのライフスタイル系消費財のトレンド調査において

ベンチマークする商品、メーカーを見つけると同時に、下記チェック項目を念頭に、情報発信力のある店舗をチェックすることが重要です。

・価格は?
・実用性は?
・色・デザインの傾向は?
・サイズ感は?
・取り扱い方法は?

以下に挙げるショップは世界に浸透させる影響力を持っているパリのコンセプトストアであり、取扱商品ラインナップやディスプレイの傾向は必ず見ておくべきポイントです。

パリの情報発信力のある店

Fleux’(パリマップ1)
39 & 52 rue Sainte Croix de la Bretonnerie 75004 Paris

常に新しい商品を展開。定番もキープしつつ、流行を素早くうまく取り入れ、情報発信的な場所でもある。ここに行けば、今のパリのライフスタイルの傾向がわかる品揃え。 おしゃれなインテリア、雑貨、ギフトに敏感なパリジャンが通うと同時に、日曜でも開いているマレ地区にあるため、観光客にも大人気。

○日本のメーカー取り扱い具体例 1
→Jabber Ball がカタログに掲載されました。

MERCI(パリマップ2)
111 boulevard Beaumarchais 75003 Paris

昨年末閉店してしまったColette とともにパリを代表するコンセプトストアとして今も不動の人気。 最先端トレンドというよりは、インテリア、家具、照明、キッチン用品、オブジェ、ファッション、アクセサリー…センスの良いライフスタイルの提案が、パリを始め、世界中のコンセプトストアの刺激にもなっているほどの世界的に定番のコンセプトストア。
テーマ別に催事を行っており、そのインスタレーションが毎回素敵で話題になる。

○日本のメーカー取り扱い具体例 2
→今年は新しくルームフレグランスのコーナーを作るということで、それに先駆けて昨年のクリスマスギフトシーズンに早めにお目見えした青森ヒバグッズ。

La Tresorerie(パリマップ3)
11, rue du Chateau d’eau 75010 Paris

キッチンとインテリア雑貨のコンセプトストア。 見た目にも美しくて実用性の高いモノ、確かな品質で昔からずっと愛されている、長く大切に使いたいと思わせる商品を取り扱う。ストーリーのあるブランドの商品ラインナップ、木、メタル、ガラス等素材を活かしたシンプルさが魅力。
商品のチョイスには徹底したこだわりが感じられる。

○日本のメーカー取り扱い具体例 3
→そんなオーナーのこだわりの目に適った雪平鍋とケトル。開店当時以来(2014年)ずっと定番の人気商品。

ポイント3: ヨーロッパのライフスタイルにも違和感なく馴染み、使いやすく(IH対応)、しかも美しいキッチン用品

LE BON MARCHE(パリマップ4)
24 Rue de Sevres 75007 Paris

フランスの最高級百貨店と言われている。
百貨店ではあるが、ヨーロッパ各国のコンセプトストアをはじめ、高級百貨店への影響力も大きい注目の店。定番とともに、常に先を行く新しさを備えている。
例)LE BON MARCHE で取り扱いがある商品は、ヨーロッパ他国の百貨店、Selfridges & Co (UK)、La Rinascente(イタリア)等も注目しており、ラインナップが被る場合も多い。

○日本のメーカー取り扱い具体例 4
→クリスマス催事用に、まだ他店では見られない製品の販売スタート:
日本製歯ブラシ
・シンプルで可愛らしい柄。剥げ落ちないのが特徴。
・歯科医師が人間工学に基づき設計
・ラウンド毛・超先細毛・ツイスト加工

ポイント4: ヨーロッパにありそうでまだない斬新さとオリジナル性の強み

日本の商品に関心を寄せるショップ

ヨーロッパのミュージアムショップでの展開について (ヨーロッパ近隣諸国)

・近年のミュージアムショップの傾向に少しずつ変化が起こっています。

・新しいライフスタイル系の商品を取り扱うミュージアムショップが増加しています。

・ライフスタイル系専門コンセプトストア 同等の位置へ。
以前の傾向:土産物主流のイメージ
例)マグネット、キーホルダー

近年の傾向:ライフスタイル系の商品群
専門コンセプトストア 同等の位置付けに。

→パリのミュージアムショップ、及びヨーロッパの代表的なミュージアムショップの取扱商品の特徴やこだわり等の傾向を探ります。

バイヤーに聞いた「販売商品を選ぶ際のポイント」は?

バイヤーの意見:

一般的に… ミュージアムで開催中のイベント、展示に合わせた雰囲気作りとして商品を選ぶことが多い。

基本的に…
・アートブック、クリエイティブ系ブック
・アーティストとのコラボオブジェ、
・テンポラリー展覧会に関わるオブジェ
・その国のアーティストのオブジェ
・スカンジナビアの特有の美に叶ったインターナショナルなデザインのオブジェ(ピュア、シンプル、環境リスペクト) by 北欧のミュージアムショップバイヤー
が重要ポイント。

価格について:
価格は大事でも、一番大事というわけではない。
ノルウェーは購買力が高く、観光客にとって価格の安さは第一条件としても、一般のノルウェー人にはあまり当てはまらないようだ。
同じヨーロッパでは、イギリスもその傾向があるように感じられる。
by ノルウェーバイヤー

価格は大事。
大きなオブジェでなく、店のスペースに合わせた小さいものを(ここではキッチンツール)セレクトするので、高すぎない適正価格が求められる。
by ドイツバイヤー

その他、ミュージアムショップらしい共通の意見として:
ビジターの目をひくユーモラスなオブジェや商品。
衝動的に購買力を引き立てるこれらの商品群はとても重要と考えている。
見た目のインパクトや面白さがポイント。
ミュージアムに来る客は一回限りの場合が多いため、短時間でビジターを魅了するアイキャッチ力が必要。

トレンドについて:
トレンドはちろん意識している。
新製品については、国内では常に一番に販売する立場でいたいので、期間限定で独占販売の権利を交渉することも多い。

最近のトレンド:
「植物」「自然」がキーワードのもの。

ベストセラー本:
Urban Jungle: Living and Styling With Plants
Igor Josifovic (著),Judith De Graaff (著), Lina Skukauske (写真), Saar Manche (イラスト)

テラリウムは大ヒット。

フランスのミュージアムショップ事情

パリ
RMN (Reunion des musees nationaux)
フランス国立ミュージアム連合RMNという組織が、国立ミュージアムショップのキュレーションとバイイングをまとめてしています。そういったところにアプローチするのも一案でしょう。常に新しい商品を探しており、アプローチにもオープンです。明確な資料と納品体制が整っていれば商談が決まる可能性も大。 http://www.rmn.fr/diffuser

ルーヴル、オルセー、ヴェルサイユ宮殿、グランパレ等をはじめとする約40のミュージアムショップにて販売されている商品のオンラインショップサイト。
https://www.boutiquesdemusees.fr/RMN管轄ミュージアムの全リストはこちら。
https://www.boutiquesdemusees.fr/fr/boutique/musees/
Centre Pompidou ポンピドゥーセンター(RMN管轄ミュージアム)(パリマップ1)
Place Georges-Pompidou, 75004 Paris
https://boutique.centrepompidou.fr
その中でもフランス国立ミュージアム連合のトレンドを担うポンピドゥーセンター内のショップ。ここで発信し評判がよければ他のミュージアムショップでの販売の可能性大。インテリア、デザイン雑貨メイン。

011

Musee de l’Orangerie オランジュリー美術館(RMN管轄ミュージアム)(パリマップ2)
Jardin Tuileries, 75001 Paris
http://www.musee-orangerie.fr
本、文房具メイン

Musee Guimet  ギメ東洋美術館(RMN管轄ミュージアム)(パリマップ3)
6 Place d’Iena, 75116 Paris
http://www.guimet.fr/librairie-boutique/
本、アジア系、和物メイン

Petit Palais プチ・パレ(パリマップ4)
Avenue Winston Churchill, 75008 Paris
http://www.petitpalais.paris.fr/preparer-sa-visite/librairie
本を始め、香水、スカーフ、アクセサリーを取り扱っています。(RMN管轄ミュージアム)

ひと休み 少し日差しのある天気の良い日に、ミュージアムショップ巡りに疲れたらここのサロンドテでお茶がオススメ。

9) 107 Rivoli 装飾美術館のショップ(パリマップ5)
107 Rue de Rivoli, 75001 Paris
http://madparis.fr/francais/nous/pratique/107rivoli-la-boutique
クリエイター系。
Arteumがバイイングを担当しています。
http://www.arteum.com/fr/日本の製品も負けていません。
クリスチャンディオールの展示(2017年7月5日から2018年1月7日迄)に併せて、日本ブランドの石膏のアロマオーナメント、フラワーオーナメントが素敵にウィンドーを飾っていました。

Palais de Tokyo パレ・ド・トーキョー(パリマップ6)
13 Avenue du President Wilson, 75116 Paris
http://www.palaisdetokyo.com/fr/page/la-librairie-du-palais
コンテンポラリーアートのミュージアム。お昼から夜中の12時迄オープン。
特に東京とは関係なく、昔建物が面しているセーヌ川沿いの通りの名前がTOKYO通りだったことから、この名前がついたとのこと。
ミュージアムショップは本、文房具、ガジェットメイン。

Assemblee Nationale 国会議事堂ショップ(パリマップ7)
7 Rue Aristide Briand, 75007 Paris
http://boutique.assemblee-nationale.fr/vmchk.html

オリジナルグッズ
各ミュージアムショップは、オリジナル商品製作の可能性を探っています。
OEMとは言っても概して数量少なめですが(物によっては50-300個とか)。

特にAssemblee National(国会議事堂)はフランス国旗のトリコロールカラーで常に何か新しいものを探しています。買うのは観光客がメインですが、コレクターがいますし、話題性では効果があるでしょう。

OEMを積極的に進めたい場合は、是非アプローチしてみてはいかがでしょうか。

下記の事項を明確にまとめた資料を作成し、コンタクトしてみることをおすすめします。
・商品紹介
・カスタマイズ(OEM)の可能性
・条件(卸価格、ミニマム数量、納期等)
・OEMの例(画像をふんだんに使用)

ヨーロッパのミュージアムショップ

各国にミュージアムショップがあるのでリサーチしてみることをお勧めします。
ちなみにParis Data によると、フランスだけで1 300弱のミュージアムが登録されています。 https://opendata.paris.fr/page/home/

以下、今回写真提供、質問に協力してくれたミュージアムショップのリストです。

いずれも日本製品の取り扱いありです。

日本に関連するイベントに合わせて、ショットで販売後、人気があるものは定番として取り扱いが続く場合もあります。

ノルウェー
Astrup Fearnley Museum
http://afmuseet.no/

ドイツ
bauhaus-archiv
http://www.bauhaus-shop.de

ミュージアムは、改装工事のため2018年4月末に閉まりますが、ミュージアムショップは、ベルリン市内に6月にオープンします。

フィンランド
Ateneum Art Museum
https://www.museoshop.fi/Ateneum_Art_Museum

デンマーク
National Museum of Denmark
https://en.natmus.dk/museums/the-national-museum-of-denmark/

EU販路開拓ガイドブックシリーズ

中小機構では、中小企業一社一社の輸出や海外拠点設立を経験豊富な専門家が一緒に考える「海外ビジネス戦略推進支援事業」を行なっています。今般、EU との経済連携協定の締結を契機として、EU進出を図る企業様の支援特別枠を設けるとともに、より幅広い方々を支援するため、「EU 販路開拓ガイドブックシリーズ」を作成していきます。

このガイドブックシリーズでは、進出を図る際に知っておきたいEU マーケットの動向や参入規制、展示会などを活用した販路開拓のポイントのほか、急速に進展を遂げるWEBを使ったマーケティングやEC モールの活用など、オンラインでの販路開拓のノウハウについても取り上げていきます。

平成30年3月から平成31年3月までの特別プロジェクトです。ご期待ください。

「海外ビジネスナビ」にて順次公開予定
https://biznavi.smrj.go.jp/

中小機構とは

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