メキシコ 現地レポート

メキシコ市場調査 ―メキシコの消費動向と日墨関係―

Google+ Pinterest LinkedIn Tumblr

おわりに

日墨経済関係を顧みると、6,70年代における対メキシコ日本投資を端緒として、80年代のメキシコの経済危機を経て、そして90年代は、同国のNAFTA加盟もあったが、さらなる経済危機から、日本投資は減少傾向にあった。しかし2000年代に入り、日本が多国間貿易交渉に関する方向転換をするなかで、ラテンアメリカにおいては初めてメキシコと経済連携協定を締結し、今日に至る。冒頭に述べたように、交易関係は同協定発効前と比較すると3倍以上になり、両国の経済関係は密接化してきている。
そのなか、対メキシコ日本投資によって、特に自動車産業が極めて活発にメキシコ市場に参入してきており、これを契機として、同国においては日本からの産業製品の輸入が増加してきている。もちろんこれには、メキシコの国内産業の未成熟さ、ということも遠因となっていることが窺える。
なお、日本投資の増加という事情から、メキシコにおける日本人在住者も増えており、これによって日本食材ないし日本料理に対する需要も、今後、さらに高まることが予想される。近年では、一般スーパーにおいてもオリエンタル食材コーナーが設けられるなど、日本食材が一般人に手の届きやすい環境になっている。また、お寿司はもとより、日本食が健康的である、というイメージから、日本食レストランも好評である。相当のところでは、料理の値段は日本とそれほど変わりがない。ただしこれは、メキシコ人一般から見れば高級料理となり、日本食は高級志向をもつメキシコ人にはマッチする。
これに関連して、メキシコ市場を鑑みると、同国の社会構造に貧富の差が極めて大きく、原則論的に考えると、貧困はより貧困に、富める者はより裕福になりかねない状況である。貧困層は、その収入を食べることに多く費やすほかなく、反対に富裕層は、高級品や教育費などに、その収入を適度に配分することができる。もちろんこのため、富裕層をターゲットにした商売は成り立つであろう。
とりわけ特定の市場を鑑みると、その人口構成の現状は、若年層が相対的に多く、贈答品には、携帯電話をはじめ、電化製品が大半を占めている。アルコール・ノンアルコール飲料いずれについても、若年層の消費者の割合は高い。また、美容関連商品なども、女性のみならず男性をターゲットにした商品も増えてきており、女性の社会進出が増加していることからも、この分野のさらなる発展が予想される。
なお、女性の社会進出によって、今後はさらに加工食品の消費動向が増加すると考えられる。また、メキシコ国民、とりわけ子供の健康問題に関連して、消費者は、脂肪分・糖分減量といった、より健康志向の食品を求める傾向になると推測される。この動きには、民間・公的部門も対応している。この「健康志向の食生活」は、すでに高所得層にはその動向が窺える。
メキシコ市場に参入を考える企業にとって、メキシコ国民の一般的な食品等の消費動向の把握が重要であることはもちろん、価格に関する比較検討も必要である。この点は、連邦官報において毎月、公表される「全国小売価格指数(Indice Nacional de Precios al Consumidor)」を算出するために用いる価格指数を通じて、主要都市における各部門の小売価格の比較をなすことができる。これにはまた、全国消費者保護局(Procuraduria Federal al Consumidor)が具備する小売価格検索システムによっても、さらに具体的な比較資料を入手できる。
日墨EPAが発効して10年を経過し、今後はTPPの発効が待たれるところである。ラテンアメリカにおいて、メキシコが極めて魅力のある市場であることは間違いなく、本レポートが、今後の企業活動・戦略のために、一助となってくれれば幸いである。

1 2 3 4 5 6 7 8

中小機構 ロゴ