メキシコ 現地レポート

メキシコ市場調査 ―メキシコの消費動向と日墨関係―

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3 主要食品市場の傾向

3-1 家庭内一般消費食品・飲料

メキシコでは、その伝統と支出抑制の意味からも、家庭における食事が好まれる。メキシコ料理は、先住民とスペイン系の伝統をもって、トウモロコシ(トルティージャ等)、米、豆、唐辛子さらに赤・緑トマトによって作られるサルサソースを用いて、バラエティに富んだものとなっている。材料となる生鮮食品の購入場所は、町の小売店や市場などが主となっている。もちろん、コンビニエンスストア―も一つの重要な食料販売店であり、昨今、Costco、Wal-MartあるいはSams Clubなどの現代的な大型小売店も業績を上げており、小規模小売店は2000年と比較して半数ほどに減少する傾向にある(Market access secretariat, 2014)。
さらに、生活様式も、とりわけ都市部では現代的になっており、仕事等の関係で買い物や食事を用意する十分な時間がない国民が増えたため、冷凍・加工食品の売上も増加してきている。これは、低価格や便利であるという他に、広範にわたり様々な形態の小売店が設立されてきている事情からもいえる。
飲料部門につき、メキシコは、炭酸清涼飲料消費において世界の大きな市場の一つである。もちろんこれは、子供から大人まで肥満の原因となる糖分の大量消費を意味するため、懸念事項となっている。また浄水事情もあり、家庭では飲料水用に大容量のものを購入するのが日常的である。一人当たりのペットボトルでの飲料水の消費量は年間170リットルを超える。近時では、ソフトドリンクに代わり、コーヒー飲料消費も増加してきている。この傾向は、社交場としても機能するコーヒーショップが数多く出店してきている事情にもよる(Market access secretariat, 2014)。

3-2 健康関連食品

メキシコ社会保険庁によれば、子供の肥満率は、1999年の18.4%から2006年には26.2%へと増加している。同国厚生庁は、メキシコ国民のおよそ10%が糖尿病疾患があると推定している(Aguirre, 2012)。
とくに低所得層にあるメキシコの消費者は、健康食品や広く栄養に関わる情報につき馴染みがなく、その大半は、この分野の製品に対して特別な支出をしようとはせず、一般的に安価で簡便な加工食品やファストフードを消費する傾向にある。
かかる状況にあって、様々な企業が低カロリー・高繊維食品の開発・販売を通じて、健康食品市場の開拓を図っており、またメキシコ政府も、広く国民に対して、食文化の改善・健康食品消費につき、プロパガンダをなしてきている。なお、啓蒙だけではなく、2009年にはマス・メディアにおけるジャンク・フードの広告を規制する法律が施行され、また2010年には、小中学校内でのジャンク・フード販売の禁止を定める法律も公布されている。
かくして、健康と福祉に関わる食品消費が今後、さらに展開されていくことが予想される。
なお、水産品につき、メキシコの一人当たりの魚介類の年間消費量は、その栄養価にも拘らず、2013年の段階で9.4Kgであった(表5)。世界平均19.2Kgのおよそ半分、そして55Kgの日本と比較して六分の一の消費量である。メキシコ水産庁は、この一人当たりの年間消費量を12Kgまで上昇させることを目的としている(INEGI, 2013a)。
メキシコ国内では、食用に適した約300種類の魚介類が存在し、うち約100種類のものが市場において購入できる。カトリックが大半を占めるメキシコでは、年間を通じて四旬節(復活祭前およそ40日)の時期に、食事(とくに肉類)が節制され、魚介類の消費が増加する。とはいうものの、生魚を消費することは稀で、焼き魚・フライなどがメキシコにおける魚消費のための一般的な調理法となっている。

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