基礎情報

ブルネイについての認知度は一般に低いと思われるので基礎情報を以下紹介する。

1) 人口:41万人

2) 国土面積:5,800平方キロ三重県と同じ面積

3) 民族:マレー系65.8%,中華系10.2%,その他24.0%
(2013年,出典:「Brunei Darussalam Key Indicators 2013 Release 2: Annual」, JPKEを基に算出。)

4) 言語
憲法で公用語はマレー語と定められている。したがってマレーシアとの交流は盛んである。
英語は広く通用し,華人の間では中国語もある程度用いられている。

5) 宗教:
イスラム教(国教)(67%),仏教(13%),キリスト教(10%),その他(10%)

6) 主要産業:石油・天然ガス
(産出量:石油(13.5万バレル/日。マレーシアの5分の1の規模),天然ガス(3.4万立方メートル/日))
(2013年,出典:「Brunei Darussalam Key Indicators 2013 Release 2: Annual」, JPKE)

7) 名目GDP:181億米ドル(2013年)日本の鳥取県の半分の規模
(出典:「National Account Statistics (New Base Year 2010)」, JPKE)

8) 1人当り名目GDP:44,586米ドル(2013年)
(注)GDPの6割以上を占める石油,天然ガス部門の動向に大きく左右される。昨今の原油安で大きな打撃を受けている模様。
(出典:「National Account Statistics (New Base Year 2010)」, JPKE)

9) ブルネイのプロフィール
“豊かな自然と資源に恵まれた平和な国”
地球儀で見るとブルネイはとても小さな国であるが,自然と天然資源に恵まれた豊かな国で,石油や天然ガスを世界に輸出している。そのため,東南アジアでは,シンガポールに次ぐ高い経済水準と充実した社会福祉を実現している。ブルネイ国民であれば,原則,医療費(公立病院)や教育費(公立学校)は無料,個人の所得税もゼロ。さらに,治安が良く,自然災害が少ない国。
観光資源としては世界最大の水上集落「カンポン・アイル」や世界最大級の王宮「イスタナ・ヌルル・イマン」,旧モスク「スルタン・オマル・アリ・サイフディン・モスク」や新モスク「ジャミ・アサル・ハサナル・ボルキア・モスク」などの美しい建造物がある。また,国土の約6割が熱帯雨林であるブルネイは,空気や水が清浄で,ボルネオ島にしか生息しないと言われるテングザルのウォッチングや,ジャングルトレッキング,ラフティングなどのエコツーリズムを楽しむことができる。

10) 貿易相手国(2013年)
(1)輸出
日本(39.8%),韓国(16.3%),インド(7.6%), 豪州(7.3%),ベトナム(5.3%)
(2)輸入
マレーシア(21.9%),シンガポール(19.1%),米国(11.9%),中国(11.2%),日本(5.8%)

11) 日本との経済関係
(1)対日貿易
(ア)品目
輸出(ブルネイ→日本) 石油・天然ガス
輸入(日本→ブルネイ) 車両及びその部品,管及び管用継手

12) 在留日本人数:約200人
調査の方法:文献やインターネット検索では消費トレンドに関する情報入手が難しかった。また現地の在留邦人の数が200程度であり、日本人会などの組織もしっかりしたものがないため現地在住の日本人から聞くこともできなかった。
やむなくツテをたよってASEAN-Japan Centre(国際機関日本アセアンセンター)の投資部 副部長のMs. Nor Zerlina Momin 女史に約1時間電話インタビュウをして以下の情報を入手した。
幸い彼女はこういうテーマに関心があるようで多岐にわたる分野の質問に知っている限りのことを答えてくれた。
消費トレンドを見る上でマレーシアと同様以下の項目をカバーした。

1) 化粧品
2) ギフト用品
3) コンフェクショナリー&ベーカリー
4) ファーストフード
5) カフェ
6) 飲料
7) アパレル
8) 映画・アニメ
9) 音楽
10) 本
11) ヘアスタイル
12) 美容整形
13) 電子タバコ

消費トレンド

1) 化粧品

欧米と日本の有名ブランドの市場であったが最近では韓国ブランドさらには中国ブランドの化粧品が進出して来ている。
・欧米ブランド:カルバンクライン他ほとんどの欧米有名ブランド
・日本ブランド:資生堂、カネボウ、コーセー
・韓国ブランド:FACE SHOP, SKIN FOOD,ETUDE,LANEIGE
・中国ブランド:HUAHO
・ボディショップもある。

2) ギフト用品

・ブルネイ国内にあるギフトショップは二店のみ。売られている製品は中国製が多い。
・イベントなどで大量に注文する際には店を通さず中国のメーカーに直接カスタムメイドで発注することが多い。
・誕生日のお祝いには金製品を送ることが多い。相手が子供の場合は進出しているトイザラスでおもちゃを買って送ることが多い。
・日本からの雑貨を扱い一部ギフト用品も販売する店としてダイソーが進出している。価格帯は1.00 – 3.00ブルネイドル。同業者ではECONOMY MARTという店がある。ほとんどが中国製の商品。この店の商品の単価は1.5ブルネイドルということである。

3) コンフェクショナリー&ベーカリー

・ドーナツやベーカリーは市内に数多くある。
・台湾からはBEKE CULTUREというベーカリーが出てきている。
・米国からはAuntie Anne’sというベーカリーのフランチャイズ店が進出。

4) ファーストフード

・イスラム国なのでチキンをベースにしたローカルのファーストフード店は多数ある。
・KFC:ケンタッキーフライドチキンの店が多い。イスラム国は豚を食べないことが要因。マレーシアでも同じ理由でKFCの店が多数ある。
・その他マクドナルド、ピザハット、バーガーキングなど。
・フィリピンのジョリービーも進出。
・全てハラール対応。

5) カフェ

・コーヒーが流行しつつある。
・米国のスターバックスが進出。
・シンガポールのコーヒービーンも進出。
・イタリーのSegafredo Zanetti Espressoが最近一号店を開店。
・OCHADOという店が出ている。「茶の道」とロゴに書いてある。マレーシアには数店舗展開している。ウエブサイトを見る限り日本茶を使ったメニューは少ないように見受けられ、本社の所在も明らかではない。日本企業と無関係のように思われる。
・Gong Cha: 漢字では「貢茶」と書く。台湾系のお茶をテーマにしたカフェ。日本やマレーシアにも出ている。

6) 日本食レストラン

・Escapade Sushi: 巻物やいなり寿司系統の寿司が中心。刺身も提供。かつて日本人の経営だったがローカルに店を売ったということである。周辺地域のマレーシアサラワク州のMiriおよびサバ州のコタキナバルにも店がある。
・Restaurant Kaizen Sushi: 握り寿司、巻き寿司、釜飯、弁当、チキン鉄板焼きなど豊富なメニューを提供している。
・ブルネイには他にも数店舗の日本料理店がある。丼物を出す店もある。
・ラーメンは基本的にハラールが難しいためメニューにはない。

7) 飲料

・コカコーラ、ペプシコーラ、ミロ(Milo)が従来から販売されている。
・他にはマレーシアのF&N社のグリーンティー、ジャスミンティーなど。同じくマレーシアのYeo’s社のソヤビーン(豆乳飲料など)も販売されている。
・すべてハラール。
・自販機もある。

8) アパレル

・イスラム国なので女性が外出する際には肌を隠す服装をするので女性向けの有名ブランドの店は少ない。
・有名ブランドの服を買うためにはシンガポールやドバイまで買いに行く。

9) 映画・アニメ

・マレーシア資本の衛星放送のAstroがブルネイにも進出し衛星放送を流している。
・日本のアニメは根強い人気がある。ドラエモン、デジモン、ポケモン、ガンダムなど。最近はコスプレショーもショッピングセンターで行われるようになってきた。3月にはウルトラマンショーが開催されている。
・最近は韓国の映画が人気を集めている。

10) 音楽

・英語のものは80年代から入ってきている。
・韓国の音楽K-Popが最近は人気になっている。
・日本の音楽は一部の日本通の人だけに親しまれている。

11) 本

・英語やマレー語(ブルネイの公用語はマレー語)の本が広く読まれている。
・日本のものは漫画を含めほとんど販売されていない。日本語という言葉の問題がある。

12) ヘアスタイル

・女性は髪をヘジャブで隠すため髪型にはほとんど関心がない模様。
・男性は韓国・日本で流行しているサイドを借り上げるヘアスタイルが流行っている。

13) 美容整形

・ブルネイの国内ではそのようなサービスを行っている場所はない。
・海外に出かけた時にその国のサービスを利用するブルネイ人がいるかもしれない。

14) 電子タバコ

・ブルネイでは禁止されている。