進出事例

「海外との競争の中でMADE IN JAPANにこだわりヒット商品を生み出した玩具メーカー」 ‐ 株式会社オビツ製作所

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中国進出の誘いを断り国内生産を守る

中国製品が低コストを武器にしてシェアを伸ばす一方で、割高な国産品が土産物店から敬遠されるようになり、同社の売上は落ち込み、再び正念場を迎えることとなった。同時に、低賃金・低コストで生産可能な中国に生産を移転する企業が続出し、葛飾区内の玩具メーカーもこの時相次いで生産を海外に移した。

同社も取引企業から中国への移転を誘われるようになった。しかし、同社は品質を守りたいと思ったし、何よりも国内での雇用を継続して職人達及び従業員の生活を守りたいと考えた。そこで誘いを丁寧に断り、何とか競争力を高めるために技術力を磨くことに力を入れた。この研究開発がその後、自社商品「オビツボディ」の誕生と特許取得につながっていった。

地道な経営の中から生まれたヒット商品「オビツボディ」

しばらくは同社にとって厳しい時期が続くが、そのような選択が誤りではなかったと認識できたのはフィギュアブームが到来した時だった。

もともとソフトビニール製玩具の品質で高い評価を得ていた同社は、キャラクターの版権を持つ企業からフィギュアの委託生産の注文を受けては、技術力に磨きをかけていた。

また、ユーザーがフィギュアに要求する品質は、人間と同じ様に関節の可動範囲が広く好きなポーズができること、そしてその体勢を長時間保つ姿勢保持力があることだと考え、同社はその要求を満足させる技術を開発し続けてきた。その結果、人間と同じようなポーズが取れ、しかも足にマグネットを入れているため、立ったまま倒れない人形の素体の開発に成功した。この骨格を工夫したアイデアや技術が特許庁にも認められ、人形の世界では異例となる特許を取得。かねてから自社ブランドへの想いが強かったことから、社名をとって「オビツボディ」と名づけた。

実は、本来下請けであれば製作者の名称は記載されないことが普通であるが、オビツボディの場合は有名キャラクターのフィギュアの製品パッケージに「この製品はオビツ製作所のオビツボディが使用されている」とわざわざ表記されていることがある。このことからも、オビツボディが愛好家の間で支持されていることが伺える。

同社がフィギュアの素体メーカーとしての地歩を固めるうちに、ユーザーのニーズも進化してきた。フィギュアやドールの既製品をただ所有するだけではなく、ドールの元となる素体を購入して、彩色を施し、服装や装飾を加えて自分の作品を作りたいという愛好家が現れてきた。そこで、同社もそれに応えるため、個人向けにオビツボディのパーツ販売に力を入れることを決めた。その結果、完成度の高さから愛好家に認められ、現在は「ドールの素体と言えばオビツボディ」と言われるまでに至っている。また、自らデザインしたドールの完成品やドールに添えるアクセサリーの製作・販売も開始して注目を集めている。現在オビツボディの販売が同社の売上のかなりの割合を占めるまでに育っており、同社の好業績を支える主力商品となっている。

また近年は、大型成型回転炉(ローテーション成型)を導入し、これまで不可能だった大型フィギュア・ドール、さらに今注目されているロボットの外皮、FRPに代わる大型ディスプレイ商品などの受注を可能にした。現在は、こうした有望商品を低価格で量産化できる体制が整っており、同社の強みとなっている。

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