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パリのギャラリー/セレクトショップにおける消費者調査

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[ EU販路開拓ガイドブックシリーズ ]
パリのギャラリー/セレクトショップにおける消費者調査

このガイドブックは株式会社Culture Generation Japanに委託して作成しました。

プロフィール

株式会社Culture Generation Japanは、代表である堀田のコンサルティング業界で培った知見およびノウハウを活用し、地域資源企業の海外市場進出に貢献するために設立されました。 2011年の設立以降、東京都の伝統工芸職人とデザイナーのマッチング事業である「東京都美術館Tokyo Crafts&Design」を皮切りに、海外専門家を招聘し海外市場向けの商品開発事業である中小機構Next Market In事業など、“Local to Global”のプロジェクトを実践し、地域資源の海外販路開拓に多くの実績を上げてまいりました。

 

1. フランスについての基礎知識
2. パリ富裕層の求めるJAPAN BRAND
3. 「パリで売れる商品」の事例

フランスについての基地知識

■人口&地理

(1)人口 約6500万人
(2)面積 55万2千k㎡(日本の約1.5倍)

フランスにおいて、パリがあらゆる面における中心地であり、パリ市場にて存在感を示すことが、フランス市場全体に影響を及ぼす

Cf. 隣国ドイツでは、中核都市が複数存在するため、異なったアプローチが求められる 人口&地理
■日本との貿易関係貿易関係
両国の経済力から見て、それぞれの貿易総額に占めるシェアは未だ低い
(日本 輸出相手国21位 輸入相手国 15位)

■日本文化への興味 日本文化への興味
一方で、日本文化への人気は高い。700以上の日仏大学間協定の締結、学生交流等の分野での多様なプログラムの実施等、学術交流の場も拡大。ポップカルチャーの人気を背景に、日本語学習者も増加傾向である毎年7月にパリで行われる世界最大級の民間主催の日本文化紹介行事「Japan Expo」には、約25万人(2015年)が集まった。 日仏友好160周年にあたる2018年、日本文化を発信する大規模なイベント「ジャポニズム2018」が開催される予定となっている

■販路について-百貨店販路について
パリ左岸サンジェルマン・デ・プレの西に位置する「ル・ボン・マルシェ」
1852年創業の世界最古のデパートと言われる。
その他ギャラリーラファイエット、プランタンなどが百貨店として有名だが、日本製のインテリア・雑貨商材点数は多くない

■販路について-セレクトショップ セレクトショップ
MERCIに代表されるセレクトショップはパリに点在し、各店独自のセンスで買い付けを行っており、日本製品の有力な販路の一つと言えるEMPREINTES
フランス工芸品のセレクトショップ「EMPREINTES」取り扱い商品例

工芸品を扱うセレクトショップは年々増えており、大量生産ではない「ものづくり」が一つのトレンドになりつつある

■参考事例-HERMÉS HORS LES MURS HERMÉS HORS LES MURS
HERMÉSのオープンアトリエでは、職人さんがデモンストレーションを通じて、HERMÉSのものづくりを伝える取り組みをしている

■販路について-国際見本市・展示会

パリは多くの国際見本市・展示会が開催されており、日本製品にとって、ヨーロッパのみならず世界のバイヤーと出会うことができる貴重な機会となっている

例)
・MAISON ET OBJET
フランスのみならず、欧州において、インテリア・デザイン製品の販路開拓を目指す上で非常に有益な見本市である
・Premiere Classe
ファッションアクセサリーなどの販路開拓に向いている見本市
・RÉVÉLATIONS
グランパレ美術館で行われるアートとクラフトの展示会

近年は日本企業の出展も増えているが自社商品にあった適切な展示会を選ぶことが必要である 国際見本市・展示会

パリ富裕層の求めるJAPAN BRAND

■パリの消費者像

第1章で述べた通り、パリには世界中から商品が集まり、消費者の選択肢は多く、選ばれるためには、費用対効果に見合うだけの付加価値を感じてもらうことが必要と言える。

一般的に「良いものであれば売れる」と日本企業は考えがちであるが、価格に対する考え方は日本以上にシビアであり、価格が高い商品に関しては、「良い商品であると理解してもらう努力」および「消費者の価値観を理解すること」が必須であると言える

本セクションでは、パリの消費者像を、より具体的にイメージするために、パリのセレクトショップ Atelier Blanc Manteauxでの事例を紹介するパリの消費者像
■Atelier Blanc Manteauxについて(アトリエブランマント)
http://www.abmparis.com/ アトリエブランマントアトリエブランマント
■Atelier Blanc Manteauxについて(アトリエブランマント)-セレクトショップ
セレクトショップ■Atelier Blanc Manteauxについて(アトリエブランマント)-ギャラリー ギャラリー
■Atelier Blanc Manteauxについて(アトリエブランマント)-レセプション
レセプション パリの消費者像
アトリエブランマントの顧客像①

年齢:45
家族構成:既婚
学歴:美術大学卒業
仕事:児童文学イラストレーター
性別:女性
価値観:アート、デザイン、工芸を好んで、価格が高くても質が良ければ購入したい
収入レンジ:約1500万円
購買時に優先する項目:質の優れている物、美意識
新しい情報の入手の方法:ネット、SNS、口コミ
よく読む雑誌やブログ、Webサイトなど:イラストレーション、グラフィックデザイン関係、文化関係の雑誌やウェブサイト
よく使うSNS:FB、インスタグラム、tumblr
製品やサービスを調べるにあたっての行動パターン:展示会に通うことが多く、ネットで情報も調べ、ネットワークを生かしながら情報を収集する

アトリエブランマントの顧客像①
– 実際に購入した商品 –

スガハラガラス 「シャンパングラス」 シャンパングラス
独自性:飲み物を注ぐ部分が波を打つようなデザインになっているグラスで珍しいデザイン。シャンパングラス特有の細めのフォルムは保ちつつ、柄を入れるのではなく形状自体にデザインを施した点が珍しいと捉えられている。

価値観:スガハラガラスにはデザイナーがおらず、ガラス職人たちが吹きガラスの工程を通して生み出す、ガラス特有の有機的な形や色を商品に活かしている。ユニークなデザインや、ストーリー性があることが購入の決め手となった。

用途:人を家に招いて、もてなすことの多いフランスでは、食器もコミュニケーションツールのひとつ。ホームパーティーなどの用途で購入された。

月間平均販売個数:20個


パリの消費者像
アトリエブランマントの顧客像②

年齢 :55
家族構成:既婚、子供2人
学歴:大学卒業
仕事:大学教授・研究者
性別:男性
価値観:日本の美意識を好み、来日したときに見たものと携わりたい
収入レンジ:約800万円
購買時に優先する項目:日本らしいもの、独特性のあるもの
新しい情報の入手の方法:雑誌、インターネット、お店のニュースレター
よく読む雑誌やブログ、Webサイトなど:大手の新聞のウェブバージョン、ライフスタイル、デコレーションのウェブサイト
よく使うSNS:FB、インスタグラム
製品やサービスを調べるにあたっての行動パターン:プレスを読んだり、友人と話したりすることによって情報収集する

アトリエブランマントの顧客像②
– 実際に購入した商品 –

岡田製樽「樽・風呂桶」 樽・風呂桶
独自性:日本ではあたりまえに見られるさわら材を使った風呂桶だがフランス国内ではまだあまり流通がない。

価値観:手当たりが柔らかくなるように縁の部分が削られているディテールへの配慮、木をよく研磨してあって心地よい手触り、タガだけを使って水が漏れないように組み上げてある技の精巧さなどを通して、言葉以上に、安心感のある感覚そのものがフフランスのお客様に伝わり、購入につながっている。

用途:日本旅行の際に、温泉で同様の桶を使い、同じものを探し求めていた。(バス・キッチン用品ではなく、収納ツールとして購入される方も多い)

月間平均販売個数:10個


パリの消費者像
アトリエブランマントの顧客像③

年齢 :30
家族構成:既婚
学歴:美術大学卒業
仕事:音楽作曲家
性別:女性
価値観:美術に関心を持ち、クラフトに興味を持っている
収入レンジ:約600万円
購買時に優先する項目:技法の豊かさ、完成度の高さ、商品の背景にある各メゾンの歴史
新しい情報の入手の方法:雑誌、ウェブマガジン、SNS、ラジオ
よく読む雑誌やブログ、Webサイトなど:音楽、美術関係の雑誌、ウェブサイト、美術のクラフトについての書籍
よく使うSNS:FB、インスタグラム
製品やサービスを調べるにあたっての行動パターン:雑誌、友人交流、SNS、展示会

アトリエブランマントの顧客像③
– 実際に購入した商品 –

熊谷聡商店「花結晶の食器類」
独自性:表面に花が咲いたような珍しい釉薬の質感と柄への評価が高い。 釉薬の中に含まれる亜鉛華が冷却中に雪の結晶の様に模様を作り出す不思議な釉薬を使っている

価値観:陶器といえば、単色、または絵柄ものが多いフランスにおいて、釉薬が自然に固まる過程で結晶化して柄を生み出しており、全ての食器の柄が一点ものである。

用途:モノの見た目が非常に美しく、かつその製法について語れる点が好まれ、ギフトとしての購入が多い。

月間平均販売個数:30個


パリの消費者像
アトリエブランマントの顧客像を通じて

・日本からの商品は、ヨーロッパの商品に比べ、高価格となってしまうのは否めないため、そこに付加価値を感じるクリエイティブな知識層(中高所得層)がメインのターゲットと想定できる

・手仕事やクラフトに対する顧客の興味は高まっており、なかでも日本の商品に対してプレミアムイメージを抱いている

・WEBが主要な情報ソースであり、自社WEBサイトに加え、Facebook、Instagramの活用はマストといえる

→次のセクションでは、前述の商品に加え、アトリエブランマントにおいて売り上げの多い日本商品を追記する

「パリで売れる商品」の事例

日本商品の販売事例

前章に続いて、アトリエ・ブランマントにてトップセールスとなっている日本商品を紹介する

ヨーガンレール「極薄陶器の食器」 極薄陶器の食器
独自性:フランスではまだあまり見られない焼き締めの陶器。陶器であるにもかかわらず大変薄く見た目がとても繊細で、フランスで一般的に流通している陶磁器とは全く異なる印象がある。

価値観:石垣島に住んでいたデザイナーが海岸で集めたココナツなどの実を型にして作った陶器で、その製法に魅力を感じてもらえている。

用途:焼き締めの陶器は食洗機にもかけられず、フランスでは「面倒」と敬遠する人もいるが、同時に、使っていくうちに少しずつ肌理が滑らかになっていく「育てる器」という性質に共感され、自宅用で購入されるお客様が多い。

月間平均販売個数:10個


SUS GALLERY「チタン製ゴブレット」 チタン製ゴブレット
独自性: チタンという扱いづらい金属を美しいフォルムに仕上げた技術力。そして二重構造になっており、飲み物の温度を長く一定に保つことができる機能性が評価されている

価値観:遠目から見ても金属の肌感の微妙な質感と色のニュアンスが非常に独特で、店の外の通りからウィンドウ越しにコップを見つけて入ってくる方もいるほど、訴求力のある商品。

用途:コップ1点が250ユーロ以上する高額商品だが、特に男性客が自分用に買うことが多く、一生使い続けたくなる手触り、口当たりが人気の決め手となっている。

月間平均販売個数:5個


グリーンズグリーン「苔玉」 苔玉
独自性:苔玉に観葉植物を植え込んだ盆栽のような商品。室内に飾る観葉植物としては形が珍しく、手入れも簡単にできるよう工夫してあるため、ファンが多い。

価値観:フランス人は、日本文化の中でも「自然との共生」という点を高く評価している。その背景から、盆栽は特に日本らしさを感じるアイテムとなっている。

用途:アトリエ・ブランマントでは苔玉ワークショップを定期的に行い、それがきっかけとなり、自宅やオフィスのインテリアとして購入されるお客様が多い。

月間平均販売個数:15個

「パリで売れる商品」の特徴

・商品としての完成度、品質の高さは大前提として存在するが、それに加えて、各ブランドのもつ美意識(フィロソフィー)、歴史といったストーリー性を重視している(⇒その部分を伝える必要がある)

・各トップセールスの商品は、それぞれ独自性やユニークな訴求点をもっている(⇒ユニークな点を、うまく引き出して、商品に反映することが必要)

・各社のブランドを見ると、機能価値ではなく、イメージ価値を顧客に訴求しており、その世界観がフランスのターゲット顧客のライフスタイルに当てはまってる(⇒機能性を訴求するだけではなく、ブランドのイメージを顧客に共有することが必要といえる)

まとめ

パリ市場における販路開拓のポイント

・日本商品、とくに伝統的な手仕事、地域資源に対する評価は高まっている

・販売チャネル、展示会など様々な販路開拓のアプローチが存在している一方で、「現地でどのようなポジショニングで売っていくのか」「どういうマーケティング手法でいくのか」といった自社の戦略を検討しなくては、成功は望めない

・特に自社商品のターゲット顧客は、どのような価値観に重きをおいて、購買を行うのか、顧客目線から仮説を積み上げていくことが必要である

・商品の独自性、伝えるべき価値観を整理して、WEB/SNS中心に低コストで継続して発信していくことも求められる ・上記を遂行するにあたり、現地事情を理解しているパートナーの存在は不可欠であり、チームとして販路開拓にあたることで成功の可能性を高めることができる

 


EU販路開拓ガイドブックシリーズ

中小機構では、中小企業一社一社の輸出や海外拠点設立を経験豊富な専門家が一緒に考える「海外ビジネス戦略推進支援事業」を行なっています。今般、EU との経済連携協定の締結を契機として、EU進出を図る企業様の支援特別枠を設けるとともに、より幅広い方々を支援するため、「EU 販路開拓ガイドブックシリーズ」を作成していきます。このガイドブックシリーズでは、進出を図る際に知っておきたいEU マーケットの動向や参入規制、展示会などを活用した販路開拓のポイントのほか、急速に進展を遂げるWEBを使ったマーケティングやEC モールの活用など、オンラインでの販路開拓のノウハウについても取り上げていきます。
平成30年3月から平成31年3月までの特別プロジェクトです。
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