EU EUガイドブック 海外進出ノウハウ

ファッション及び服飾雑貨 EU進出の重要ポイント

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[ EU販路開拓ガイドブックシリーズ ]
ファッション及び服飾雑貨 EU進出の重要ポイント

このガイドブックはJOGO株式会社に委託して作成しました。

プロフィール

新谷 誠(あらや まこと)
JOGO株式会社 代表取締役
1976年伊藤忠ファッションシステム(株)入社。繊維・ファッション産業の活性化プロジェクトの他、「全日空」国際線進出や「愛・地球博」ロゴ及びキャラクター展開等のブランディング事業での実績多数。経産省クールジャパンプロジェクト、中小機構 Next Market In 事業、東京都 TOKYO FASHION AWARD プロジェクトにディレクターとして参加。2016年 JOGO株式会社設立。

 

INDEX

<テーマ>
ファッション及び服飾雑貨のEU進出の重要ポイント

<内容>
1.展示会・ショールームでの発信~受注、なぜパリか?
2.展示会及びショールームの役割と今後
3.EU市場に出るにあたって気を付けるべき点
① ローカライゼーション
・「日本らしさ」は必要か?「日本らしさ」とは何か?
・プライス設定は?
・サイズ対応は?
② 準備すべき書類や資料は?
③ ルックブック・プレスブック・セールスマテリアルの制作の注意点
④コミュニケーション法、SNS活用法
4.Eコマースサイトの構築~モール出店で気を付けるべき点
5.まとめ
6.ヒアリング先有識者紹介

 

1.展示会・ショールームでの発信~受注、なぜパリか?

日本のファッションおよび服飾雑貨のブランドがEU進出するにあたって、展 示会やショールームでの発信及び受注を目指すのは、パリで行うのが最適と言われるが、それはなぜなのか?

●メンズもレディスも服飾雑貨を含めて、世界中のバイヤーが集まるのがパリ。
●カナダやアメリカ、中近東、アジアのバイヤーもEUの中では必ずパリをチェック。 EUはじめ世界中から今を代表するデザイナーが集まってくるので、バイヤーにと ってファッションの動きを捉えるのに一番ふさわしいのがパリ。
●メンズの場合、PITTI UOMOが先行するが、発注を決めるのはやはりパリでというバイヤーが多い。

Lubo氏、Meaux氏


● パリファッションウィークはインターナショナルブランドの参加率が世界一高い。
●デザイ ン性が高く、かつオリジナルなコレクションが世界中から集まる。
● 一般的にバ イヤーはニューヨーク、ミラノ、パリの順番に買い付けるので、予算の最終調整をパリにて行うことが多い 。従って、予算に満たない場合はパリで新ブランドを探す可能性が高い。

Umetada氏


●やはり何と言ってもパリ。モードに関しては歴史的に言っても不滅。
●出展者数もバイヤー数もプレス関係者数も世界から集まる数は一番多い。
●パリファッションウィークと呼ばれる年4回の時期はパリの街の風景が変わるほどファッション業界の人々が集まる。
●展示会場やショールームの集中する北マレー地区では、各展示会やショールームのレセプション、街中のカフェ等いたるところで業界人が集まり情報交換をしている。
●力のある世界中のデザイナーがパリでショーを催し、展示会をする歴史はいまだに続いている。

Yoshiko氏


2.展示会及びショールームの役割と今後

パリでは年4回(秋冬・春夏×メンズ・レディス)のファッションウィークの時期にトレードショーやショールームが開かれるが、それぞれ役割が違う。

●Trade show
<men’s>
Premiere Classe, Tranoi Homme, Who’s next等の大規模なトレードショーやMan, capsule等のテーマやテイストで絞った小規模なトレードショーがある。

<ladies’>
Premiere Classe, Tranoi Femme, Paris sur mode等の大規模のトレードショーや Tranoi Preview, Woman, capsule等のテーマやテイストで絞った小規模なトレードショーがある。

●Showroom
ブランド自身が単独で開いているDesigner’s showroomと、オーナーの目にかなったブランドを集めたMulti-Label showroom (M-L ショールーム)がある。
ビジネスが確立できている著名ブランドは独自のショールームを開催できるが、新興のブランドにとってはMulti-Label showroomとうまく契約することが成功のカギとなる。
Multi-Label showroomの中でもフリーランスのセールスが開催する小規模のショールームがあり、注目を集めている。インスタグラムなど口コミで注目されるブランドを集めショールームをクローズドに開催。フリーランスにとっては、自分の目利きの結果が収入と評判になるので、次世代ブランドを探し出す努力を惜しまない。

※トレードショーは会場の出展料と入場料が主な収入源で場貸し業である。主に交流(名刺交換) 情報交換の場でその場での受発注はあまり行われない。
ショールームはベースの出展料はとるが、売り上げのコミッションが主な収入源なので、セールスの結果を出すことに注力する。

トレードショーで見せ、ショールームで商談

●TRANOI(一番有名でほとんどのバイヤーが必ず目を通す)やPremiere Classe(特にアクセサリー関連が多く出展している)等の大規模のトレードショーの役割は 沢山のバイヤーに見せる場所であり、直接買い付けまでたどり着くのは容易ではない。
●大規模のトレードショーでは、バイヤーが通りすがりで目にとめてくれるケースは稀である。 少なくとも3シーズン以上同じ場所に出展し続けるべき。 最初のシーズンは具体的な目標と戦略を持ち出展、その結果の検証で次シーズンに挑み、3シーズン目で結果を出すという意味での3シーズン。
● M-L ショールームは多くても50ブランドくらいで集中して見やすく、プロのセールスがおり、バイヤーにとって買付けしやすい。
●まずトレードショーに出たうえで、M-L ショールーム等とのコンタクトを持つことが重要。
●トレードショーとML ショールームに並行して出展するブランドも多い。
●また最近注目のクローズドな小規模M-L ショールームを営むフリーランスのセールスの目にとめさせるのもよい方法。そのためにも自分のブランドの世界観をインスタグラムで発信するなど情報発信の努力は惜しまない様にしなければならない。

トレードショーは多機能化へ、ショールームはコンサル化へ

●トレードショーは、商談や成約の成果よりも、情報交換、交流の場(いかに名刺を集めるか)という役割だったが、ビジネスマッチングや情報発信や今後のビジネスのヒントを提供(市況にあったテーマを設けたセミナー・パネルディスカッション)などのサービスを充実させる方向になっていくと思われる。
●ショールームは、その個性とテイストの合うブランドを集めることで、さらに独自性を強めてゆく方向になるだろう。次世代ブランドの紹介機能の強化と彼らに向けたビジネスコンサルティングに重点を置いていくのではないかと思われる。

■大規模トレードショー<TRANOI>

TRANOIはセレクトショップのレクレルールのオーナーでもあるアディダ氏が主宰する大規模なトレードショー。 年4回開催され、1月のメンズとウィメンズのプレコレクション・3月のウィメンズが秋冬シーズン、 6月のメンズとウィメンズのプレコレクション・9月のウィメンズが春夏シーズンとなる。2018F/W1月エディションのキービジュアル世界中から集まるバイヤー
■大規模トレードショー<PREMIERE CLASSE>

Premiere Classeは25年の歴史を持ち、靴・かばん・革小物、ジュエリー、アクセサリーなど900を超える服飾雑貨のブランドやデザイナーが出展する大規模なトレードショー。会場はチュイルリー公園の大型テント。 毎年3月と9月年2回開催される。 PREMIERE CLASSE
■小規模トレードショーと Multi-Label showroom

注目を集めているマレー地区に集中するMulti-Label showroomと小規模トレードショー

●最近、「大規模なトレードショーより、絞り込んだ小ぶりのトレードショーや同じカテゴリーのブランドを集めたⅯulti-Label showroomの方が見やすく商談しやすい」とバイヤーやジャーナリストから注目されている。 ●各ショールームやMAN/WOMANやCUPSLEなど小規模トレードショーはマレー地区付近に集中していて、見る側にも便利である。
●TRANOIも上記のような傾向を意識して、絞り込んだ小ぶりの展示会も企画し始 めている。(TRANOI WEEKと称して、マレーのギャラリーにてⅯulti-Label showroom風に開催
●まずはトレードショーに3シーズンほど出てみて、その後コンセプトやテイストの合ったⅯulti-Label showroomと契約するというやり方がよい。
●ショールームにはプロの販売員がいる。彼等はバイヤー達の買い付けているブランド及び好みを熟知している。まず彼等の目にとまり契約できることが、次につながる可能性が高いと言える。フリー情報誌「MODEM」
■小規模トレードショー<MAN_WOMEN>
1月・6月のMAN/WOMAN、3月・9月のWOMANはカジュアルテイストに絞り込まれた小規模トレードショー。 2012年から始まり、そのキューレイション力の高さからバイヤーやジャーナリストの注目を集めている。
2018年1月からはMANトレードショーはヴァンドームで行い、MAN/WOMAN Showroomとして20ブランド程度に絞り込んだM-Lショールームもマレー地区で開いている。 MAN_WOMEN
■小規模トレードショー<CAPSULE>
CAPSULEはパリでは、ニューヨークをベースにしたアドバイザリーボードメンバーがキューレイトとしたメンズの小規模なトレードショーをマレー地区で開いている。ストリートカジュアル系のブランドが多い。 CAPSULE
■Multi-Label showroom <LONDON SHOWROOM>

英国のBRITISH FASHION COUNCILはマレー地区にLONDON SHOWROOMを毎シーズン開いているが、2018年の1月はTRANOIと組んでショールームを開催した。 BRITISH FASHION COUNCILとしてはTRANOIの良質のバイヤーの集客力を、 TRANOIとしては大規模なトレードショーだけでなくエッジの効いたショールームも企画しているという存在感のアピールを狙ったためだと思われる。LONDON SHOWROOM>
■Multi-Label showroom <showroom.tokyo>

2015年から東京都の支援によって年2回開設される単独のショールーム「showroom.tokyo」。東京を代表する旬のデザイナーに授与される「TOKO FASHION AWARD」のその年度の受賞者6名と前年度受賞者の数名のブランドが出展する。
パリと東京をベースにしたプロのセールススタッフが、世界のバイヤーの集客から接客、受注の後フォローまでサポート。
FACETASM、SULVAM、WRITTENAFTERWARDS、 DOUBBLET等がこのショールームを契機に世界で活躍している。 showroom.tokyo
■その他注目の Multi-Label showroom

TOMORROW(Umetada氏お勧め)
パリ、ロンドン、ミラノ、ニューヨーク、香港に拠点を置き120人のスタッフを有する大手。ショールーム機能に加え、マーケティングコンサル、物流サービス、金融サービスまでトータルに行っている。MARNIなどハイエンドでコンテンポラリーなインターナショナルブランドを扱っており、日本のブランドとしてはFACETASMがある。 TOMORROW
CUBE(Yoshiko氏お勧め)
クリエイティブな視点を持ち、他とは違ったアイデンティティをしっかり持ったブランドを選定。パリをベースにローカルなナレッジをもとにインターナショナルな展開を行っている。
いわゆる黒をベースにしたブランドが多く、日本のブランドもいくつか取り扱っている。CUBE
RAINBOW WAVE. (Umetada氏お勧め)
ロンドンを拠点とし、パリでもショールーム展開をしている。母体がPRエージェントであり、プレスに強い特徴がある。 RAINBOW WAVE.
RICARDO GRASSI(Umetada氏お勧め)
ミラノをベースにパリにもショールームを展開。 RICARDO GRASSI
LAKIC(Meaux氏お勧め)
フリーランスのセールスディレクターであるLUBO氏が毎シーズン、マレーのギャラリーを借りて開く、アポイント制のクローズドなショールーム。
常にパリと東京を行き交いしているLUBO氏の目利きでエッジの効いたいくつかの日本のブランドも 取り扱っている。新進デザイナー発掘及び育成力があるとバイヤーからの評価も高い。LAKIC
NOSEASON(LUBO氏お勧め)
2006年に設立されたアヴァンガルドな新進デザイナーをワールドワイドに扱っているマレーにある常設ショールーム。庭に面した環境がとてもおしゃれ。日本のブランドではANREALAGEが契約している。NOSEASON

3ー① ローカライゼーション

「日本らしさ」は必要か?「日本らしさ」とは何か?

●日本らしさは、EUでそしてグローバルで活躍するためには必要。
●日本らしさとは、決して和風ということではない。
●「ものづくりに真摯に取り組む姿勢」「既成概念にこだわらない発想」「西欧にないものの捉え方」「他にないオリジナリティ」が日本らしさにつながる。
●日本の産地と組んでオリジナルな素材を開発できることは他国ではなかなかないこと。
●日本の精緻で丁寧な縫製技術も日本らしさにつながる。
●したがって、純正の日本製であることは魅力になる。
●付属物にこだわることも日本らしい。
●人を裏切らない真摯で誠実な品質の良さは大切な日本らしさ。
●「ミニマル」「黒」は外国人から見た日本らしさのひとつ。
●自分の顧客層をしっかり定め、その顧客層へ向けてのアイデアと戦略を持つことが重要で、あえて「日本らしさ」を考える必要はないという意見もある。
●自分のブランドの世界観をしっかり持つことがあくまで重要。

プライス設定は?

A)輸出原価=FOB価格※(本船渡し)×1.25~1.3(運賃+保険)×1.1(関税)
B)卸値=A)×1.4(輸入卸業者を使った場合の掛け率)
C)上代=A)もしくはB)×2.8~3.2(小売店の掛け率)×1.2(消費税20%)

※EXWORK(工場出し)価格の場合は工場から港までの運賃を足したものがFOBになることも認識しておく。

●日本から欧州へ輸出するとき、上代は上の表のような計算になってくる。 従って、ラインシートにFOBもしくはEXWORK価格を明記する際に、欧州で上代がいくらくらいになるのかを頭に入れておく必要がある。
●欧州の場合、上代は原価・下代からの積み上げで決めていくので小売店によって上代が異なってくる。希望の小売価格を伝える場合は上記の計算をして答えるべき。
●言い換えると、工場原価をどう抑えるかということも考慮しないと、使用素材やデザインによっては上代がバカ高いものになる(下手すると欧州のラグジャリーブランドより高くなったりすることもある)場合も出てくるので、企画時から欧州での上代がいくらになりそうか意識しておく必要がある。
●プライスの表示はユーロもしくはUSドルにしておくべきである。
●納期の設定が非常に重要。遅くとも春夏は1月上旬、秋冬は7月上旬。 世界で一番早くセールを始める国はドイツで、スタートは春夏は 5月中旬で秋冬は 11 月中旬 。その次は米国で春夏は5月下旬、秋冬は11月下旬。実売期が 約 4か月しかないため商品を早く欲しがる。

・サイズ対応は?サイズ表

●S/M/L/XL表示で問題ないが、各サイズが欧米のどのサイズになるのかを明確にしておくべきである。 ●できればXL~XXLサイズまで展開があるとセールス上有利である。
●欧米人の体形は日本人と根本的に違うことを認識しておくこと。 フィット感を研究すべきで、サイズ展開だけでなく、アイテムによってはパターン開発から対応を考慮する必要がある。
●左記に示した表は婦人服のサイズ対応表の一例。 以下のサイトにメンズなども詳しく載っている。
http://www.sizeguide.net/

3ー② 準備すべき書類や資料は?

以下のようなセールス用の資料をトレードショーやショールーム出展に向けて事前に英語で準備しておくべきである。

●セールス用資料

A. LOOK BOOK (ルックブック)・・・できる限り準備した方が良いが、無理であれば物撮りの写真だけでも良い
B. PRESS BOOK (プレスブック)・・・できる限り準備した方が良い
C. LINE SHEET (ラインシート)・・必須
D. TERM SHEET (タームシート)・・・必須
E. ORDER FORM (オーダーフォーム)・・・できる限り準備した方が良いが、ショールームの物を使用しても良い

3-③ ルックブック・プレスブック・セールスマテリアルの制作の注意点

A. LOOK BOOKの制作上の注意点

●LOOK BOOKはコレクションイメージの中心である。特にバイヤーが重視するのがPRODUCT LOOK BOOKで、商品の1つ1つのアイテムがバイヤーに確認出来る様にする。
●ラインシートと合わせて発注のサポート資料として使えるようにする。
●ブランドディレクションとストーリーを明確にすることが重要。
●多過ぎるストーリーやシーンはバイヤーを困惑させる。

B. PRESS BOOK制作上の注意

●PRESS BOOKはブランド及びデザイナーのプロフィールとこれまでのプレスリリースや取り上げられた記事などを集めたもの。
●ブランドディレクションとストーリーを明確に編集すること。
●媒体の名前・掲載された時期を明確に伝える。
●英語で作るべきで、日本語の記事などは英訳を付けること。

C. LINE SHEET作成上の注意

●LINE SHEETには下記の事項を必ず入れて作ること。
●LOOK BOOKがPRODUCT LOOK BOOKとして完璧であれば、LINE SHEETは絵型を使っても良いが、物撮り写真の方がよりわかりやすい。
価格・納期・オーダー締切日・カラー・サイズ・素材・スタイル名・スタイル番号・ディテールの説明

D. TERM SHEET / 取引条件の設定についての注意

●支払い条件、出荷方法、取り引き先の詳細等を一つのシートにまとめたTERM SHEETを作っておくと便利。 このTERM SHEETとORDER FORMの両方にバイヤーからのサインを取得し契約書としておくことも重要。

E. ORDER FORM作成上の注意

●ラインシートに記載されているアイテムの詳細を記入出来るセクションと下記の詳細が必要。
オーダー番号・請求先・出荷先・納期・担当名

●LINE SHEETには、オーダー締切日をはっきりと書いておく。
●納品時期は、送料を店側が払うEX-WORKやFOB条件の場合1- 2回が理想的である。LINERSHEETTERM SHEETの例ORDER FORM

3ー④コミュニケーション法、SNS活用法

●Instagram発信は今や常識的に重要。ファッションウィークの最低でも1か月ほど前からできれば毎週、代表コレクションを画像や動画で発信しておくこと。発信方法にもオリジナリティが感じられる方が良い。ディレクションと起用するフォトグラファーが重要。
●まだ反応のないバイヤーに対しても、ブランドストーリー、コレクション内容、ショップ展開情報、コラボ展開情報等をメール発信しておく。既にインターナショナルな取引先がある場合はバイヤーがチェックするポイントの一つとなるので、どこの店かを明記するのは重要。
●またアイテムごとのプライスゾーンを明記することも必須。
●なるべく短い文章でインパクトのある表現のメールとする。一番大切なのはイメージ画像もしくは動画。バイヤーに対して「これは何だろう?」と思わせることが重要なテクニックである。ダウンロードリンクなどのバイヤーの手間は避けるべき。また容量の大きいファイルを送るのは、相手との関係が深まってからにする。添付ファイルはなるべく避けるべきだが、もし添付する際にはファイル名は、アルファベット表記にして文字化けしないように配慮すること。
●メールを送るタイミングは、バイヤーがニューヨークコレクションに出発する前までに発信しておくこと。一旦出発するとニューヨーク、ミラノ、パリと慌ただしく回るバイヤーが多くメール等はほぼ見ないのが現状。
●直接バイヤーとのコミュニケーションがまだない場合は、ショールームなどと契約してショールーム経由で情報発信を行う。
●グローバルに注目されているファッションブロガーに取り上げてもらうことも重要である。

4.Eコマースサイトの構築~モール出店で気を付けるべき点

●海外進出のひとつの方法として、海外E-コマースモールに出店することも重要になってきている。
●いくつかのモールで他のブランドの上代の付け方や売り方を比較し、自分のブランドの行き方を参考にする。
●E-コマース出展するときは、日本及び世界各地でのリアル店舗での上代と差が出ないように心がける。
●モールの中ではブランドイメージなどの発信は難しいので、必ず自分のブランドのサイトで世界観を作っておいて、 そちらに誘導してくる手立てを打っておく必要がある。 自らのサイトではビジュアルが非常に重要でかつ常にアップデートしておくことが肝心。
●ブランドのあり方によりけりではあるが、4人の有識者が共通に挙げてきたお勧めのモールは以下である。

Farfetch
サイト訪問者は週430万人。9か国語の言語にてサイト運営されている。日本語サイトもあり、日本に事務所もある。ファッションブランドを、ハイエンドの高級ブランドを集めた「luxe(ラグジュアリー)」と、アヴァンギャルドなデザインを特徴とする新進気鋭ファッションレーベルを集めた「labo(ラボラトリー)」の2つに分けている。

SSENSE
カナダモントリオール拠点のセレクトショップのE-コマースモール。世界中のコンテンポラリーファッションからストリートカルチャーをピックアップし発信。ランウェイやハイストリートファッションに特化し、200以上のデザイナーコレクションを揃えている。

MR PORTER
イギリスのオンラインショップNET-A-PORTERのメンズ版としてオープンしたセレクトショップ。最近ではBEAMSと組んだり日本語でのサポートや返品無料サービスを始めたりと日本への販売を強化している。

●上記のようなBtoCとは違って、例えばORDREのようなBtoBのオンラインプラットフォームが存在する。 ORDREでは毎シーズン、クローズドなオンライン上でデザイナーブランドのショールームを開催。 会員の世界中のバイヤーがネット上で簡単にオーダーを付けることができる。
●このように今後、リアルなトレードショーやショールームに代わるグローバルなBtoBプラットフォームが充実していき、主流になる日が来るかもしれない。

まとめ

●衣類・服飾雑貨などのファッション分野でEU進出を狙うには、やはりパリの展示会やショールームに出るのが一番良い。
●パリには、EUからだけではなく世界中からのバイヤーが集まる。
●展示会やショールームにもその時代の流れがある。
●全くコネクションのない場合は、TORANOIなどの大規模な展示会に最低3シーズンは出続けて、まずはバイヤーに知ってもらうことに心掛けながら、その間にⅯalti-Label Showroomと接点をいくつか持ちながら、自分のブランドに合った適切なショールームを見つけることが重要。 ●展示会やショールームに出展する場合は、事前からキャンペーン写真や動画を作成して、ブランドイメージやオリジナリティをインスタグラム発信したり、メール発信したりすること。
●そこではバイヤーの興味を引くビジュアルやフレーズのインパクト性と簡潔性が肝心。
●展示会やショールームでの会場での効果的な見せ方のシミュレーションを事前にしておくべき。目を引く色や柄などを前面に出すなどの工夫が必要。
●企画からサンプル制作そして生産のリズムを世界のリズムに合わせていく必要がある。展示会時期も日本より早いし、納期も早いのでスケジューリングをしっかりと立てること。
●自社の商品力を客観的に分析し、世界中からパリに集まる数百のブランドに勝てる要素を「どれだけ、どのように見せることができるか、感じさせることができるか」がポイント。
●なによりもブランドの独自な世界観を持つことが重要。
●そして、パリでの出展をやり続けることが大切である。
●自力ではなかなか難しい場合は、経産省・中小機構・JETRO・東京都などの公的機関の支援プログラムが各種あるので、それらをうまく活用することも検討するとよい。
●これから充実していくと予測されるグローバルなBtoBオンラインプラットフォームなどを活用することも研究すべき。

6.ヒアリング先有識者紹介

このレポートは過去の経験をベースに以下の4名に改めてヒアリングしながらまとめ上げた。
LUBO LAKIC(在パリ・東京)
LAKIC SHOWROOM オーナー LUBO LAKIC国籍:オーストラリア
2008年、LAKIC INCを東京に設立。ランドコンサルティング
及びセールスエージェントとしてスタート。
パリにて定期的にウィメンズとメンズのショールーム
LAKIC SHOWROOMを開催。
2015年よりTOKYO FASHION AWARD受賞者のパリ・ショールーム
showroom.tokyoのオペレーションを担当。

ETSUKO MEAUX(在東京)
LAKIC SHOWROOM ディレクター ETSUKO MEAUX1997年パリILCF (Institut Catholique de Paris)卒業後帰国。
SBA C.(PREMIERE VISION 日本事務所)に入社、WhosNext担当。
2001年フリーランスPRコンサルタントとして独立。
mastermind JAPANを中心に、他国内外の企業・ブランドと契約。
2015年 LAKIC SHOWROOMとコミュニケーションディレクターとして契約。日本の新進デザイナーブランドの海外進出を支援中。

YOSHIKO KONO(在パリ)
モデリスト兼セレクトショップオーナー YOSHIKO KONO
日本で花井幸子のもとで立体裁断を修得する。
パリでデビューしたJIN ABEの為のモデリストとして1985年に渡仏。
6年間 JIN ABEのコレクション作りを担当する。
その後、tomorrowland france でイタリアやフランスのデザイナーのコレクション作りを担当。
1995年に独立し、デザイナー JACK HENRYと共にブランドを立ち上げ、マレーにセレクトショップをオープンし、現在に至る。その間、フリーモデリストとして、ジョゼフ、ドロテビスなどのデザイナーのモデリングも担当する。

YASUO UMETADA(在パリ)
ファッションコンサルタントYASUO UMETADA
1976年~1984年:髙島屋フランスマネージャー。
1984年~2005年:YOHJI YAMAMOTO PARISマネージングディレクターからYOHJI EUROPE社長まで務める。
2006年~ 2011年:Martine Sitbon マネージングディレクター
2011年~   :ファッションコンサルタントとして独立、現在に至る。

EU販路開拓ガイドブックシリーズ
中小機構では、中小企業一社一社の輸出や海外拠点設立を経験豊富な専門家が一緒に考える「海外ビジネス戦略推進支援事業」を行なっています。今般、EU との経済連携協定の締結を契機として、EU進出を図る企業様の支援特別枠を設けるとともに、より幅広い方々を支援するため、「EU 販路開拓ガイドブックシリーズ」を作成していきます。このガイドブックシリーズでは、進出を図る際に知っておきたいEU マーケットの動向や参入規制、展示会などを活用した販路開拓のポイントのほか、急速に進展を遂げるWEBを使ったマーケティングやEC モールの活用など、オンラインでの販路開拓のノウハウについても取り上げていきます。
平成30年3月から平成31年3月までの特別プロジェクトです。
ご期待ください。 ファッション及び服飾雑貨EU進出の重要ポイント

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