中東 現地レポート

販売代理店(候補)の選定 – 中東ビジネスのヒント 第7回

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<ディストリビューター選定時>

1.候補者のリスト作り

ディストリビューター候補となり得る現地企業を種々ソースからピックアップする。情報ソースとしては、例えば、次のようなものも使える。
a)B2Bビジネスマッチングへの参加、
b)現地日本大使館、
c)JETRO、
d)現地業界別企業ダイレクトリー、
e)現地イエローページ、
f)(起用する)商社情報等

2.候補企業に関する関連・付随情報収集

上記情報ソース例中、JETRO/Y-P/W-サイト、或いは、企業への直接訪問にて情報収集

3.候補企業絞込みの視点

(1)経営者・幹部のビジネス経験の深さ・長さ、及び、当該製品(業界)に関する関心の強さと知見の深さ。
(2)既存の取扱い製品のライン(ブランド名も)、及び、当該製品の類似品・競合品の取扱の有無。(もし、取扱っているなら、ブランド名も)
(3)販売力            判断材料としては、支店/S-Roomの数と立地、販売員数、広告・宣伝の実践状況
(4)財務情報(中近東では、会社内容開示義務がないゆえ客観的な情報入手はほぼ不可能)関連情報            収集手段としては、財務諸表の提示を直接求めるべきであるが、
同時に、
a)D&Bレポート。
b)現地紙・誌のネット版での関連記事検索等もトライすべき。
c)更には、在庫余力/受諾可能な決済条件等の質問を通して類推する。
(5)経営者との面談     ①取扱意思の確認、②事業計画作成・提示依頼、③販売方針の聴取、更には、④企業哲学/販売方針/ブランディング方針/マーケティング方針等の聴取を行う。     
それにより自社の製品の販売を託すにふさわしい企業かどうかの判断材料を集める。

<契約締結>

GCC6か国の中では、UAE/クウェイトがディストリビューターに対する独占権の付与を義務付けているが、その他4か国では、独占権付与は必須ではない。 独占権を付与せぬ場合でも、法的に有効性を持たせる為に現地の商業登記当局にディストリビューター契約の登録を行うことが肝要。 将来の不測の事態(両社関係悪化等)への備えも契約書に盛り込むことが奨められる。例えば、次の項目を含める。
(但し、内容に就いては、本邦の顧問弁護士と現地の弁護士への相談は必須。)

*当事者関係:製造者(或いは、輸出者)とDistributorとの契約

*製品:販売を託す製品・商品を具体的に特定する

*契約形態:売仕切/買仕切の契約関係であり、活動経費はディストリビューターが負担することの規定。 (特定費目を例外的に起用者側が負担するケースは有ろうが、その場合は契約書上に、例えば、「広告宣伝費は折半負担」等規定。)

*期間:契約書期限の一定期間以上前までに双方が更新に就き合意せぬ限り「期日満了で失効」(自動失効)とするのか、自動更新とするのか?

*独占性:独占権を付与するか非独占代理店とするかの明示。

*テリトリー:ディストリビューターの所在国に限定し、越境販売に関するペナルティー条項も含める。(消費財輸出の場合、別ディストリビューターを起用している近隣市場に、商品が越境して流出する事態への備え。)

*契約の終了・解約:契約の終了・解約の事由と連絡の時機・方法の規定。

*発注義務:定期的(毎月、或いは、隔月等。必ず、受注の締切日前必着を規定)

*決済条件:相手のパフォーマンス/性格が分からぬ故、「L/C決済」が望ましい。

*競合品:取扱制限(→ 自社当該製品の競争力次第)

*目標設定:購入/販売(金額・数量)目標の設定

*諸報告義務:月度販売報告書(含む、当月輸入数量・販売数量・在庫数量)/顧客情報/毎年の決算報告書等

*商標・ロゴ:商標・ロゴの使用/活用に関する規定と制限

*準拠法(→ 日本と記載は出来るが、係争となった際には現地法が適用される)

<ビジネス開始後>

1.経営幹部/スタッフに対する教育(譬え、売仕切/買仕切の契約であっても)

(1)全員に対する、自社の企業哲学/マーケティング方針の教育 ⇒ 資料と講義で。
(2)販売要員と技術サービス要員に対する、当該製品の技術解説・教育     ⇒ 製品の機能・特性を消費者に訴求でき、販売促進とアフターサービスに資するレベルにまで。

2.市場調査(2-3回/年の頻度で) ディストリビューターとの共同市場調査。

目的は、①競合他社品の動向調査、②価格調査、③(潜在)顧客からの感想・要望聴取、④流行の感知 ⇒ ターゲット需要層の絞込み、(競争力のある)販売価格設定、広告・宣伝方針策定

3.受注

ディストリビューターからの発注を待つのではなく、必ず、契約書に明記した月度の受注の締切日までに発注することを習慣付けさせる。
⇒ 発注がない場合には、繰返し督促し、ディストリビューターとの交信のなかで「今月は発注できない理由」を明らかにし記録に残す。   
この交信は、ディストリビューター契約書に謳う販売目標を達成できなかったことのエビデンスとして後に重要となる場合あり。(例えば、契約解消といった強硬手段を講じる場合、等)

4.決済の履行

決済条件は、ディストリビューター契約書に規定するが、その履行は細心の注意と執拗な督促によってようやく実現できる。決して、”性善説”的に行動しないことが肝心。

5.各種報告書 ⇒ 習慣付けさせることが肝心

(1)月度報告書(所定のフォームを考案する必要あり)月末〆、翌月10日までの提出義務で、当月の入庫(輸入)/販売/在庫数量、及び、販売に関しては、顧客ごとの販売数量と用途等を月報として報告させる。
(2)顧客・需要家情報 ⇒ 月報の一部として含めることも可。  ディストリビューターにとっての大口顧客/納入済み顧客の販売状況、或いは、その後の発注状況、更には、新たな需要家候補に関する情報。
(3)財務情報 毎年の決算書の入手。
*注)ファミリービジネスが多いGCCでは、会社情報開示の意識が薄い経営者が多い故、   この点はディストリビューター契約書の中に規定することを勧める。

6.パフォーマンスに関する日常の交信

取引開始前に合意(→契約書に記載)した目標販売数量の達成には拘り、書面による必要な督促を行う。実績が目標に対してズレが生じた時には必ずその原因を究明する。 ⇒ これを怠るとディストリビューターは手を抜きかねない。又、パフォーマンスを達成しないディストリビューターを切る際には、これらの交信がディストリビューター 契約解消の正当な理由を証明するエビデンスに使える可能性がある。

7.契約解消/更新に向けてのアクション

(1)ディストリビューターの働きには常に注意を払い、その結果次第でディストリビューター契約の「継続」「解消」を判断することになる。
(2)どちらに決定するにせよ、ディストリビューター契約書の期限の「xxか月前までに通知」することを契約書で規定している故、この時期を逃さずディストリビューターと交信して継続/解消を伝える必要がある。  特に、「解消」を決めたが、通知のタイミングを遅らせてしまった為に、更に無為な1-2年の継続起用せざるを得なくなるケースは多々ある。
(3)継続起用する場合でも、契約内容の見直しはあり得ることから、その摺合せも前広に行って置くことが必要であろう。

プロフィール

国際化支援アドバイザー(国際化支援)富山 保
総合商社に38年勤務し長年海外ビジネスに携わってきた。若い頃の会社派遣のアラビア語研修皮切りに、 合計約15年間の現地駐在経験(サウジアラビア・UAE等)を有する。