中東 現地レポート

現地事務所開設と駐在員派遣 – 中東ビジネスのヒント 第4回

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輸出数量が順調に拡大した段階で拠点を設置する場合、一義的目的として、「代理店の管理・監督と育成・指導(メーカー/輸出者が志向するマーケティング方法の実現を目指して)」の為には、先ずは、駐在員派遣が有効であると考えられます。
更には、「域内、フリーゾーン(FZ)に在庫を保有することにより、代理店への短期納入体制」を整え、 顧客満足度の向上(最終顧客への納期短縮)を図れるでしょう。
GCC各国ごとに外資法/会社法等で規定される詳細は多少異なりますが、ここではUAEのケースを概観します。
実際に進出を決定される際には、現地弁護士への相談が必須です。

1.拠点設置の場所

拠点を設置する際には、次の何れのケースがより目的の達成にとってふさわしいかを判断する。
(1)UAE内国での設置 UAE国内市場での販売活動が主である場合には国内での①販売会社設立(但し、UAE籍私人・法人が51%以上を保有)、或いは、情報収集/市場調査/連絡業務等所謂 「リエイゾン業務」に限定できる活動内容であれば、②支店/駐在員事務所開設、の何れかになろう。②の場合、①と異なり商業活動は行えない。

(2)FZに設置、 UAE国内市場よりは、寧ろ、GCC全域、或いは、イランを含むMENA全域、更には、CIS・東アフリカ地域を対象市場として、その物流と市場運営・管理機能を発揮することを目的とするのであれば、 FZでの拠点設置がふさわしい。UAEには約30か所のFZ(ドゥバイだけでも20か所以上)が存在するので、各FZの特色/優遇措置を調査・確認し、自社の活動に最もふさわしいFZに、FZ法人を設立する。 オフショア扱い故、内国に設立する場合と比較して活動内容の自由度が大きい。但し、国内に販売する為には、「輸出」手続きが必要。

 

2.拠点の形態と特徴

(1)有限責任会社(LLC;Limited Liability Company)…UAE国内

外国企業が国内に設立する際に最も多い形態。
〇 外資の株式保有率上限は49%であり、過半数の議決権を持てない。
〇 株式の単独所有は可能(となる) ⇒ 2015年施行予定の新会社法にて。
〇 役員数は「一人以上」 ⇒ 新会社法以降。(旧会社法では5名以上)
〇 会社の活動分野に応じたライセンス取得が必要。次の3種類からの選択。
①Commercial License(商業活動一般)
②Industrial License(製造業)
③Professional License (医者・弁護士・会計士等知的活動、特殊技能の活動人)

(2)駐在員事務所/支店 …UAE国内

親会社(外資)100%の所有が可能。商行為は認められない。
〇 活動内容は、情報収集/市場調査/契約前連絡業務等
〇 活動に必要な諸手続きも可能(例えば、事務所物件賃借、銀行口座開設、スタッフ雇用、社有車購入、電話回線契約等々)
〇 事務所の活動分野を特定したライセンスの取得が必要。
〇 UAE籍のスポンサー(注)の起用が必要。
(注)「スポンサー」は同地域特有の商習慣。事務所と本邦からの派遣者の”身元保証人”としての役割と共に諸官公庁に対して会社を代表して諸申請・折衝等を行う立場(例えば、ビザ発行申請等)

(3)FZ法人FZE(Free Zone Establishment)/ Free Zone Co.…フリーゾーン内

〇 外資による100%出資が可能。
〇 法人税・所得税が設立後50年間免除。
〇 スポンサーは不要。(当該フリーゾーン庁がスポンサー機能を果たす)
〇 輸入関税は免除。但し、フリーゾーンからUAE内国に輸入する場合は、その段階で5%の関税が課される。 〇 資本金・利益の送金が自由。
〇 フリーゾーン法人設立後、事業内容に即したライセンスを取得する必要がある。
ライセンスの種類は次の通り。    
①一般商業ライセンス    
②商業ライセンス    
③工業ライセンス    
④サービス・ライセンス    
⑤国家工業ライセンス
(参考文献:西村あさひ法律事務所「Doing Business In UAE」、ピルズベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマン法律事務所「中東ビジネス関連法セミナー」、ジェトロ「アラブ首長国連邦 外資に関する規制」等)

 

プロフィール

国際化支援アドバイザー(国際化支援)富山 保
総合商社に38年勤務し長年海外ビジネスに携わってきた。若い頃の会社派遣のアラビア語研修皮切りに、 合計約15年間の現地駐在経験(サウジアラビア・UAE等)を有する。