シンガポール 現地レポート

シンガポール市場トレンド・購買マインド調査

Google+ Pinterest LinkedIn Tumblr

シンガポール人にとって、食の追及は趣味の一つであると言っても過言ではない。それくらい食べ物に強い好奇心を持っている。その中でも特に日本製品に対する称賛は強く、また造詣も深い。日本製品の質を十分に理解する国民である。一方で、日本製は高いという認識が浸透している。さらに、シンガポールにとって日本は第9番目の貿易相手国であり、地理的に類似する韓国に次ぐ順位に甘んじている。その様な状況で、どの様な商品に、どんな日本製品に人気があるか、5つのカテゴリー毎に以下で深く掘り下げ、今後の日本企業による進出の促進に寄与したい。

ギフト

日本とは異なりお歳暮のようなSeasonal Giftを送るという文化習慣がない為、ギフトを購入する機会は限られる。一方で、日本と同様に知人の家を訪問する際や会社訪問の際にギフトを持参する事も多々あり、その様な特定の用途で販路を見出すことは可能である。或いは日本ではギフト用として販売している製品も、シンガポールでは自宅用として購買される可能性もある。例えば、日系デパートで北海道フェアが行われると、比較的高価なお菓子であるジャガポックルを大量買いして家にストックしておくという家族も多々ある。
ギフトの主たる送り先が家族や親しい友人に限定される中、ポピュラーな近親者間の贈答品として、お酒があげられる。特にシンガポールは酒税を含め嗜好品に対する税金が非常に高く、海外でお土産として買ってくる人が多い。その中で、酒税が比較的安い日本からお酒を購入してくる人が目につく。シンガポールでは手に入らない又は余りに高価なものになってしまう日本酒や日本産ウィスキーが非常に人気である。
製品の内容とは別にして、日本製品のパッケージ・包装仕様にも人気がある。特に小分けされたキレイで可愛らしいパッケージや包装が好まれており、職場へのお土産としての需要がある。

加工品

加工品といっても多岐に渡るが、大手スーパーのCold Storage、Fair Price、Sheng Siongには必ずと言って良いほど日本製品コーナーが設けられている。しかし、それら大手スーパーでの陳列には高い棚代が必要であり、中小企業にとってその費用を補填する事は厳しい状況である。また、例え棚が確保されたとしても、売れるかどうかは当然別問題であり、調理の仕方や味などローカルの方々に分かって頂く必要がある。特に特異な加工品ほど宣伝や試食などをしながら売上を上げていく事が求められる。例えば、日本人が他県へ買い物に行き、そこで地元の珍しい物を購入する事とは大いに違う事を深く理解する必要がある。いくら日本で売れているからと言って、違う食習慣、食文化が浸透する中で売上を上げていく事は容易ではないと覚悟しなければならない。その関門を通過するには、日本にいても海外まで知れ渡るくらいの認知度がある事や、シンガポールにおいて地道なテストマーケティングや試食を行っていく必要がある。

水産物

水産物は、特に日本産品に対する信頼が強く、日本企業にとって大きな可能性を秘めている。シンガポールで消費量が多い水産物は、鮭、鯖である。鯖は、低品質の鯖が低価格で大衆に受け入れられている。日本産の高価格で高品質の鯖がどこまで受け入れられるか、進出戦略を考える必要がある。スーパーの店頭販売から始めるのか、有名日本食料理店で提供してもらう等、進出方法が幾つか考えられるが、まずは絶対的な味の違いを分かってもらう事が重要である。鮭については、ノルウェー産やオーストラリア産が大きな競合となる。最近、鮭を食べて死亡者が出たというニュースにより、鮭を購入する際、品質を重視する人が増えてきた。その点、日本産鮭という称号は大いにチャンスがある。

農産物

既に市場が三極化している。低価格品は中国、マレーシア産、中価格品はオーストラリア、ニュージーランド産、高価格品は日本産や一部のオーストラリアやニュージーランド産となっている。特にオーストラリアやニュージーランド製品はオーガニック製品を中心にハイエンド品を輸出しており、日本製品とバッティングしている。その様な状況下で、やはり甘みの違い等を理解してもらう事が重要である。例えば、シンガポールで購入できるニュージーランド産と日本産のカボチャを比較した場合、甘みの違いは一目瞭然である。

菓子

日本製スイーツに人気があるのは周知の事実である。ロイズなど大手が拡大している一方で、中小企業は日系デパートを中心に食品展示会などで売り出しているところがほとんどである。やはり、全ての食品業種に関連して言えることだが、家賃の高いシンガポールで店舗展開は大きなハードルがあり、特に中小企業にとっては市場調査をしながら進出方法を慎重に考えなければ、厳しい結果が待ち受けている。

結論

特に中小企業がシンガポールへ進出する際は、慎重な準備(市場調査)と入念な計画が必要である。シンガポールの需要がどれくらいあるか、家賃がどれくらいかかるか、物流コストがいくらかかるか、進出に着手する前から把握しておく必要がある。一方で、シンガポールでの成功はASEAN近隣諸国への進出の良い踏み台となりうる。そうする事で、今後本格的に発足するAECという6億人市場に手が届くはずである。