ベトナム 現地レポート

市場概況とトレンド

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ベトナムは、2014年に人口が9000万人を突破しており、2029年には1億人を突破すると予測されており、今後の内需が非常に期待されている国である。また、国民の平均年齢も約28歳と若く、若者を土台とした人口ピラミッドが形成されている。
経済成長も順調に推移しており、国民一人当たりのGDPは、2000年の402USDから、2014年には2,053USDとなり、5倍以上の増加となっている。年間の経済成長率も2000年から6~7%台という高い水準で推移し、リーマンショック後は5%台に落ち込んだが、2014年には約6%まで回復し、2015年は6.5%という高い成長率を示した。2016年の経済成長率も、6.6%が予測されており、今後の更なる経済成長が見込まれている。このような順調な経済発展を背景として、国民の所得も増加しており、都市部では、高級ブランドショップや、高級ショッピングモールなども次々に登場してきている。飲食店の進出も盛んになっており、現在ホーチミン市内に約500軒、ハノイ市内に250軒の日本料理レストランがあるといわれており、この数も年々増加の傾向にある。日本料理レストラン以外にも、韓国料理、インド料理、フランス料理、イタリア料理、スペイン料理、ドイツ料理、メキシコ料理、中華料理など様々な国のレストランが存在し、ベトナム在住の外国人だけではなく、ベトナム人からも人気を集めている。
高級ショッピングモールも、近年増加傾向にあり、ホーチミン市とハノイ市では、ビンコムセンター、クレセントモール、パークソンなどが人気を集めている。
また、ベトナムは、これまでトラディショナルトレーディングの比率が非常に高い国であったが、ホーチミン市を筆頭にモダントレード比率が上昇傾向にある。2012年の調査によるとベトナム全土でのモダントレード比率は13%に過ぎないが、ホーチミン市に限った場合37%となっており、全国平均の3倍近い数値となっている。
ベトナムは、日本と同様南北に細長い形状をしており、北部にある首都のハノイ市が人口700万人、南部の商業都市ホーチミン市が、人口800万人と圧倒的な規模を誇っており、高級品や輸入品のマーケットとしては、現在この2都市が中心となっている。但し、この2都市間は、約1500㎞離れており、飛行機で約2時間、陸路の場合は、輸送に約3日間かかる。また、ホーチミン市が熱帯気候で、年間を通じて温暖な気候で、雨季と乾季に分かれるのに対して、ハノイ市は、亜熱帯気候に属しており、日本と同様に四季があり、冬季には気温が10度前後まで下がる。このように物理的な距離と気候の違いにより、同じベトナム国内でもハノイ市民とホーチミン市民では、味の嗜好や商品の嗜好が異なるため、注意が必要である。
ベトナムで若者の必需品としては、バイクと携帯電話があげられる。バイクは、日本のホンダ、ヤマハが人気を2分しており、台湾のSYMがその後に続いている。携帯電話では、最近はいわゆるスマートフォンが急速に普及してきている。高級路線で最も人気が高いのが、Apple社のiPHONEで、続いてサムスンのGalaxyが人気を集めている。一方で、最も普及しているのは、3,000,000~4,000,000VND(16,000円~21,000円)程度の廉価なスマートフォンで、若者を中心に人気を集めている。廉価スマートフォンのメーカーとしては、Nokia、Samsung、Xiaomi、Lenove、Oppoなどがあげられる。
家電製品ではテレビの普及率が最も高く、冷蔵庫、洗濯機、エアコンと続く。テレビ以外の家電製品は普及率が5割以下であるが、都市部では急速に普及しており、ホーチミン市、ハノイ市などの大都市では、かなり高い普及率となっている。なお、家電製品でも電子レンジに関しては、普及が遅れているが、これは、ベトナム人が冷凍された食品を好まない傾向にあることと関連があると思われる。
家電メーカーでは、テレビの場合、Samsung、Sony、LGなどが人気のブランドとなっている。エアコンは、HITACHI、DAIKIN、Panasonic、Mitsubihiなどの日本メーカーの人気が高い。冷蔵庫は、20,000,000VND(110,000円)以上する高級ブランドとしてはHITACHIやElectroluxなどのブランドが人気が高いが、10,000,000VND(55,000円)以下の廉価版としてはSANYO、LG、Samsungなどのメーカーが人気を集めている。
貿易に関しては、ベトナムの貿易額は堅調に増加している。2000年におけるベトナムの貿易額は輸入総額が約156億USD、輸出総額が約145億USDであったが、2014年には、輸入総額が1,492億USD、輸出額が1,504億USDと、10倍程度まで拡大している。貿易収支は2000年以降慢性的な輸入超過による貿易赤字であったが、2012年から2014年にかけては、わずかながら貿易黒字に転じている。統計によると、2014年のベトナムの主要輸出品目は、第1位が各種電話機・部品で236億USD(15.7%)、第2位が縫製品で209億USD(13.9%)、第3位が電子製品・部品で114億USD(7.6%)となっており、以下、履物、水産物、機械設備などの順となっている。
一方の主要輸入品目では、第1位が機械・設備等で225億USD(15.1%)、第2位が電子製品・電子部品の187.2億USD(12.5%)、第3位が織布で94億USD(6.3%)となっており、以下、各種電話機・部品、鉄・鉄鋼、ガソリンオイルの順となっている。
国別でみると、2014年のベトナムの最大の輸出相手国はアメリカで、輸出額は約286億USDとなっており、全体19%を占めている。以下、中国(149億USD)、日本(147億USD)、韓国(66億USD)、香港(41億USD)の順となっている。
一方、最大の輸入相手国は、中国であり、輸入額438億USDは、全体の約30%を占めるという圧倒的な数字となっている。以下、韓国(217億USD)、日本(129億USD)、台湾(110億USD)、タイ(71億USD)の順となっている。
ベトナムの輸出品目の1位が電話機・部品となっているのは、韓国のサムスン電子によるスマートフォンの製造輸出が好調であったことが原因とされており、サムスン電子の影響力は非常に高い状態となっている。韓国からの輸入額が217億USDとなっているもの、これが一因と推測される。
一方で、貿易収支では、ベトナムは対中国に対しては、289億USDの貿易赤字となっており、対中貿易赤字は拡大を続けている。一方で、アメリカに対しては、224億USDと大きな貿易黒字となっている。ベトナムでは、今後TPPの妥結により、縫製業を中心にアメリカ向けの輸出がさらに拡大するとみられている。

消費財の輸入動向

ベトナムの商工省は、ハイテク産業の育成に必要な高度な技術力を必要とする生産財の輸入を奨励する一方で、贅沢品と国内での生産が可能な消費財の輸入を制限する方針を示している。
2014年のベトナムの生産財の輸入額は1,350億USDで、2013年に比べ12.5%上昇した一方で、消費財の輸入額は13億USDにとどまっており、輸入総額の8.78%に過ぎない。
2015年のベトナムの貿易収支は、約32億USDの貿易赤字となる見通しであるが、輸入品目としては、電話部品、コンピューター・電子部品、機械設備・部品などが上位を占めており、ベトナムでの製造にかかる原材料・設備の輸入が拡大する一方で、消費財の輸入は抑制されている。2015年の貿易額では、輸出が1,621億USD(前年比7.9%増)、輸入が1,656億USD(前年比12%増)となっており、どちらも増加の傾向を示しているが、輸出に関しては、原油、米、エビなどの国際価格の下落が影響し、前年比に対して輸出額が減少しており、結果的に貿易赤字となっている。
なお、消費財の輸入元としては、中国とタイが大きな割合を占めている。

ベトナム主要輸出品目(2015年)

前年比7.9%増
総額:1,621億ドル

品目

 金額(億ドル)  前年比(%)

各種電話機・部品

301,8

27.9

コンピューター・電子製品・部品

156,1

36.5

機械設備・同部品など

81,7

11.7

縫製品

228,1

9.1

履物

120,1

16.3

各種糸・繊維

25,4

-0.1

鞄・財布・トランク・帽子・傘

28,8

13.5

木材・木製品

69

10.7

原油

37,2

-48.5

28

-4.5

コーヒー

26,7

-24.8

水産物

65,7

-16

 

 

ベトナム主要輸入品目(2015年)

前年比12%増
総額:1,656.5億ドル

品目

 金額(億ドル)  前年比(%)

各種電話機・部品

106

24.8

コンピューター・電子製品・部品

231,3

23.4

機械設備・同部品など

275,9

23,1

鉄・鉄くず

74,9

-2.9

鉄製品

38,1

18

石油製品

53,6

-28.7

プラスチック原料

59,6

-5.7

プラスチック製品

37,6

19

繊維・皮原材料

183

7

飼料・原料

33,9

4.2

自動車

29,9

88.8

(出典:ベトナム税関総局)

 

食品の輸入動向

ベトナムは、農業国であり米、コーヒー、胡椒、カシューナッツなどの産地として有名であり、これらの製品の輸出量は世界でもトップ3に入る。また、エビ、イカ、ナマズなどの水産物の輸出も盛んである。一方でベトナムが輸入している食品としては、果物、牛肉、鶏肉、菓子類などがあげられる。果物では、リンゴ、ブドウ、イチゴ、なし、オレンジ、チェリーなどがアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、中国などから輸入されている。
なお、日本からの果物の輸入は検疫条件の問題で不可とされてきたが、2015年にリンゴが解禁となり、イオンで販売されるようになった。日本のリンゴは、アメリカなどから輸入されたリンゴに比べ5倍程度の価格となっており、高級品であるが、売れ行きは好調である。なお、日本産のリンゴとしては、ふじ、ジョナゴールド、世界一などが販売されているが、大きさや見た目からジョナゴールドや世界一の売れ行きが非常に良く、逆にふじは、日本ほどの人気は出ていない。
牛肉に関しては、ベトナムは、元々豚肉や鶏肉に比べ牛肉の消費量はそれほど高くなかったが、近年牛肉の消費が拡大してきている。現在、ベトナムでは1日当たり4,000頭の牛肉が消費されており、そのうち600頭がホーチミン市で消費されているが、その約70%をオーストラリア産の牛肉が占めている。2015年にベトナムがオーストラリアから輸入した牛肉は、3億USD(39,000トン)で、2014年の2億5000万USDから約20%の増加となっている。なお、ベトナムに輸入されるオーストラリア産牛肉の特徴としては、生体牛の輸入が中心であることがあげられる。この理由は、オーストラリアからの生体牛の輸入関税が5%であるのに対し、生鮮牛肉は14~20%、冷凍牛肉の場合14~30%に設定されている点があげられる。また、ベトナム人は、その日とれた野菜、肉、卵をその日のうちに消費するのが最も味が良いと考える傾向にあるため、生体牛として輸入した牛肉をベトナムで屠畜して、市場へ出荷する方が好まれる傾向にある。
日本からの牛肉の輸入に関しては、日本国内の口蹄疫の発生を受け、2010年4月30日から輸入禁止措置が取られていたが、2014年3月から日本産牛肉の輸入が解禁された。これに伴い、日本からは日本産和牛の売り込みが盛んにおこなわれるようになったが、2015年時点での普及率はそれほど高くない。その理由としては、ベトナムで販売されているベトナム牛、オーストラリア牛の価格が1㎏あたり30~40万VND(1600円~2100円)/程度の価格帯であるのに対し、日本産和牛の販売価格が1㎏あたり300~600万VND(16,000円~32,000円)と非常に高額であることがあげられる。近年、ホーチミン市やハノイ市などの大都市では、日系の焼き肉レストランや欧米系のステーキハウスが続々と進出してきているが、これらの店舗でも主に使用されるのは、オーストラリア産か米国産の和牛で、日本産和牛はプレミアメニューとして掲載している店舗もあるが、販売量は限定的になっている。
なお、食品に関しては、中国産食品の品質や安全性に対する懸念が何度も現地で報道された結果、ベトナム人から敬遠されており、中国産を謳った食品は、殆ど流通していない。

外食産業におけるトレンド

ベトナムは、外食比率の比較的高い国民性であるといえる。都市部の一般的なサラリーマンなどの食生活においては、朝食と昼食は、外食で、夕食は家で家族と取るというスタイルが一般的である。
朝食として好まれるのは、フォー、フーティウ、ブンなどの麺類、バインミーと呼ばれるフランスパンのサンドウィッチ、おこわ、お粥などとなっている。価格は、ホーチミン市などの都市部で大体15,000~25,000VND(80円~130円)程度となっている。昼食の場合は、オフィス周辺の食堂で食べるかケータリングのお弁当を食べるケースが多く、費用は大体30,000VND(160円)前後となっている。夕食は、基本的に家族と家でとることが多いが、職場の同僚、友人、家族などと外食をすることも少なくはない。そういった場合には、ベトナムレストラン、海鮮料理レストラン、外国料理レストランなど様々な場所へ出かける。
ホーチミン市は、ベトナム最大の商業都市とされており、外資系企業の進出も盛んにおこなわれている。外食産業も外資系は、最初にホーチミン市へ進出するケースが多い。ホーチミン市内では、ベトナム料理は勿論、日本料理、韓国料理、タイ料理、中華料理、イタリア料理、フランス料理、スペイン料理、メキシコ料理など様々なレストランが進出してきている。また、ファーストフード店も近年増加の傾向にある。10年ほど前までは、主なファーストフード店としては、ロッテリアとKFCしか存在していなかったが、最近では、バーガーキング、マクドナルド、ピザハット、ドミノピザ、ジョリービー、カールズジュニアなど続々と大手のファーストフードが進出をしてきている。今後もベトナム市場をターゲットに大手飲食チェーンやファーストフードチェーンの進出が増加するとみられており、競争も激化すると考えられる。

日本関連商品、サービスにおける動向

ベトナムは、伝統的に日本メーカーや日本産品に対する信用度が非常に高い国であるといえる。その一因となったのが、HONDAのカブである。2000年ごろまでは、ベトナムにおいて、日本製のHONDAのカブは、10年以上の中古品であっても、ステータスとして受け入れられており、HONDAカブの耐久性、燃費、修理のしやすさなど様々な点から高く評価されてきた。その後、ベトナム現地生産による台湾メーカーのバイクなども低価格で販売されるようになり、HONDA、YAMAHAも現地生産のスクーターなどを続々と市場へ供給したため、カブは、それほど見かけることはなくなってしまったが、未だにHONDAブランドに対するベトナム人の信頼感は非常に高いものがある。
また、食品関係では1990年代から味の素が進出しており、こちらもベトナム市場で大ヒット商品となった。当時のベトナムでは、スーパーマーケットなどのモダントレードは都市部でも殆ど存在しておらず、伝統的な市場やパパママショップが、小売りの9割以上を占めていたが、味の素は地道な営業活動によりシェアを拡大し、現在では、各家庭はもとより、ローカル屋台などでも一般的に使用されるまでになっている。
その他の日本ブランド製品としては、冷蔵庫、クーラー、洗濯機などの家電製品に対して日本メーカーに対する信頼度が高く、2005年頃までは、価格が高くとも日本メーカー製を購入するケースが多くみられた。しかし、徐々に韓国、台湾、中国などのメーカーが安価な製品を提供できるようになり、また、品質的にもベトナムの一般家庭で使用するにおいてはそれほど問題とならない程度まで向上したこともあり、現在では、韓国メーカーがシェアを拡大している。
その他のサービスに関しては、教育、美容、健康などの分野が日本からの進出が増えている。ホーチミン市内でも数店舗日系の美容院が存在しているが、主な顧客層は在住日本人と富裕層のベトナム人に限られている。
教育産業では、公文や栄光HDが現地に進出しており、ベトナム人向けの教育サービスを展開している。

日本からベトナムへの輸出傾向

日本とベトナムの貿易に関しては、2014年の対日輸出額が147億USDで前年比7.7%増加、対日輸入額が、116億USDで、前年比11.2%増加となっており、貿易額は拡大の傾向となっている。貿易収支としては、ベトナム側が31億USDの貿易黒字である。
対日輸出品目としては、トップが縫製品の26億USDで、全体の17.8%を占めており、以下、輸送機器・部品(20億USD)、原油(15億USD)、機械設備・部品(14億USD)、水産物(12億USD)の順となっている。一方の対日輸入品目では、機械設備・部品が37.8億USDで、全体の約30%を占めている。以下、鉄・鉄くず(19.6億USD)、コンピューター電子製品・電子部品(19.2億USD)、織布・生地(5.5億USD)、自動車部品(4.3億USD)の順となっている。この対日貿易からは、日系企業が日本から原材料や部品を輸入して現地で製造を行い日本へ輸出する加工貿易が拡大していることが推測される。

日本食レストラン

ここ数年で、ベトナムの日本料理レストランは、急速に店舗数を増やしている。日本料理レストランは、そのほとんどが、ハノイ市とホーチミン市の2大都市に集中しており、現在ハノイ市内に約250店舗、ホーチミン市内に約500店舗の日本料理レストランが存在するとされている。10年ほど前までは、都市部の日本料理レストランといえども個人経営による小規模な居酒屋的店舗が多く存在していた。しかし、近年では、吉野家、丸亀製麺、牛角、千房、大戸屋などの大手外食チェーン店の進出が目立つようになってきている。また、レストランも、これまでの何でもあるレストランから、次第にラーメン、カレー、うどん、トンカツなどの専門店が登場するようになってきている。
また、ベトナム人がオーナーとなって、ベトナム人向けの日本料理店を開店するケースも増えている。ベトナム人オーナーの日本料理店では、純日本風の料理ではなく現地のし好に合わせたアレンジをした料理を提供するケースも多くなっている。日本料理店の場合、肉、魚、卵、野菜などの食材は、多くの場合現地で調達しており、日本でしか手に入らない調味料や一部の食材のみ、輸入販売会社から調達している。
最近では、ホテル内の高級日本料理店などで、日本直送の魚介類や、和牛を提供する高級店も出始めているが、数は、まだ限定的となっている。
日本料理店は、一般的な店舗であれば、ランチが100,000~200,000VND(530円~1,070円)程度、ディナーの場合、お酒も入れて400,000~600,000VND(2,130円~3,200円)程度あれば十分利用が可能である。

日本食品

現在、ベトナムに輸入されている日本産食品は、殆どが日本料理レストラン向けの卸売であり、一般消費者向けの小売りは非常に限定的となっている。輸入日本食品を取り扱っているのは、イオン、ファミリーマートなどの日系のスーパーマーケットやコンビニと、日本食材専門店のみで、その他のスーパーマーケットで取り扱われることは、殆どないのが現状である。但し、2015年からイオンが南部ではシティマート、北部ではフィビマートといった、地場のスーパーマーケットとの業務提携を展開しており、これに伴い、上述のスーパーマーケットでは、トップバリューが中心であるが日本産食品を取り扱うことが徐々に増えてきている。
日本産食品が、一般消費者向けに販売されにくい理由としては、小売価格が日本の小売価格の3倍程度と非常に高額であることがあげられる。また、ベトナム人にとってなじみの薄い商品も多く、普及しにくい面がある。
一方で、現地での日本メーカーによる食品製造は、徐々に増加してきている。2010年ごろまでは、味の素とエースコックが、現地消費者向けに製造を行っているのみであったが、最近では、サッポロビール、キューピーマヨネーズ、ヤクルト、ハウス食品、日清食品、日本ハム、信州ハムなど各食品メーカーが、進出してきている。
これらの現地生産の日本メーカー食品は、価格が現地価格の高級品の部類としては、適当な価格帯であることもあり、地場のスーパーマーケットやコンビニエンスストアでも比較的販売されている。ただし、日本では抜群の知名度を誇るような大手食品メーカーであってもベトナムでは、全く認知されていないため、既存の地場企業及び、他の外資系企業との競争にさらされている。

日本酒を含むアルコール飲料のトレンド

ベトナムは、東南アジア随一のビール消費国である。キリンビールの統計によると2014年のベトナムのビール消費量364万klで、東南アジアでは最大、アジア全体でも、中国、日本に次いで第3位となっている。ベトナムで、よく飲まれているビールとしては、国内ブランドの、ハノイビール、サイゴンビール、333などがあり、海外ブランドのビールとしては、日本のサッポロビールをはじめ、ハイネケン、タイガー、サンミゲル、バドワイザーなどが現地生産されている。小売りの価格帯は、国内ブランドのビールが12,000VND(65円)VND程度であるのに対し、国内生産の海外ブランド製品は、20,000VND(110円)程度となっている。現地生産ビールが比較的安価で購入可能であるため、海外からの輸入ビールを見かける機会は、それほど多くありませんが、コロナビールだけは比較的多くのバー、レストラン、小売店で販売されている。
ベトナムでのビールの販売の特徴の一つは、飲食店で提供される場合でもそれほど、割高にならない点が挙げられる。先程の現地生産ビールの場合、ローカルなベトナムレストランで提供される場合は、小売価格から多くとも5,000VND(25円)程度上乗せされる価格帯で販売されており、適度な価格で楽しむことが出来る。
ビール以外のアルコール飲料としては、地方では、地元で製造されたもち米焼酎、バナナ焼酎、麦焼酎などの蒸留酒が安価で販売されており、よく飲まれている。
都市部では、ワインが非常に多く出回っている。ベトナムには、フランス、イタリア、オーストラリア、チリなど各国産のワインが多種類流通しており、一般のスーパーマーケットやレストランで提供されている。輸入ワインの小売り価格帯は、一本300,000VND~1,000,000VND(1,600円~5,330円)程度まで比較的幅広くなっている。
また、ベトナムの中部高原地方であるダラット市ではダラットワインと呼ばれる現地製造のワインがあり、70,000~100,000VND(370円~530円)程度で販売されている。
ワインの次にメジャーなアルコール飲料としては、ウィスキーが挙げられる。ウィスキーは、古くからベトナムでは贈答用品としての人気が高く、高価な輸入ウィスキーが、ローカルのスーパーマーケットでも販売されている事は珍しくない。
日本酒に関しては、残念ながら、現状ではビールやワイン、ウィスキーほどベトナム市場に浸透しているとは言えない。日本酒は、ベトナム人にとっては『SAKE』という呼称でドラマや映画などを通じて比較的知名度は高いものの、実際に日本酒を飲むベトナム人はまだ、それほど多くない。
ベトナム人が日本酒を飲む機会としては、個人で、日本酒を購入するケースは非常に珍しく、ホーチミン市内やハノイ市内に多数存在する日本食料理レストランで食事をする際に日本酒を頼むケースがほとんどである。
日本酒の販売も、日系のスーパーマーケットやコンビニエンスストア及び、日本食材専門店など一部の店舗のみとなっている。ベトナム人は、熱燗に対する印象が深いためか、日本酒は熱燗にして飲むものであると認識している人も少なくない。
なお、ベトナムでは中部のフエ市にて、日本企業が日本酒、焼酎などの製造・販売を行っている。輸入品に比べて安価となるため、特にこだわりがなければ、ベトナム産の日本酒が選ばれる可能性が高い。

食品以外の日本関連のトレンド

ベトナム人が日本と聞いてイメージするものとしては、桜と富士山が圧倒的で、次に京都、芸者、寿司、酒といった順であろう。なお、最近では、日本の漫画、アニメの人気も若者を中心に非常に高く、ジャパンフェスティバルのようなイベントでは、日本のアニメの人気キャラクターのコスプレをして参加するベトナム人が目立つようになっている。
また、日本の企業としては、ホンダ、味の素、エースコック、ヤマハ、トヨタなどが高い知名度を有している。ベトナムでは、バイクを総称して『ホンダ』とよぶほど、圧倒的な知名度があり、ホンダ製品に対するベトナム人の信頼感は、非常に高いものがある。味の素の化学調味料も、市場に十分に浸透しており、ベトナム人が日本人を見かけたときに掛ける言葉として『アジノモト』は、ほとんど全ての在住日本人が経験するほどである。
エースコックのインスタントヌードルは、ベトナム全体の50%以上のシェアを有するとされており、知名度も非常に高いが、一般のベトナム人はエースコックが日系企業であることを知らないほど、現地に溶け込んでいる。
また、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、クーラーなどの家電製品は、以前は、日本メーカーの製品が、品質の高さで人気を集めていたが、最近は、韓国、台湾、中国などのメーカーが安価でありながら、それほど品質の悪くない商品を市場に提供するようになってきており、日本メーカーは以前に比べ苦戦している。
日用消費財の分野では、P&G、ネスレ、ユニリーバなどの世界的な大企業が積極的に販売促進活動を展開しており、ベトナム市場に浸透しているが、洗濯洗剤、洗顔剤などでは、日本の花王の製品も普及している。また、久光製薬のサロンパスは、現地の殆ど全ての薬局で入手が可能なほど、普及している。
ロート製薬もリップクリームなどを積極的に展開しておりベトナムの若者から支持されている。

化粧品、化粧雑貨、その他生活雑貨のトレンド

ベトナムの化粧品、化粧雑貨の市場は、これからの拡大が期待される市場である。ベトナムでは、10年ほど前までは、普段の生活では女性は殆ど化粧を行わず、結婚式や会社のパーティーなど特別な行事の際に化粧をするというのが一般的であった。ホーチミン市内の外資系企業で働くOLであっても、普段の仕事場に化粧をしていくことは、ほとんどなかった。しかし、最近になって、化粧をする女性が徐々に増えてきており、化粧品のマーケットも拡大傾向にある。
ベトナムには、現在、ランコム、フェンディ、エスティ・ローダー、ロレアル資生堂,などの高級ブランドから、ニベア、ポンド、Hezaline等のミドルブランドまで数多くのブランドが進出している。高級ブランドは、高級ショッピングモール内などを中心に展開しており、ミドルブランド以下は、スーパーマーケットなどを中心に展開している。WEBサイト上の調査では、毎日化粧をする人は24%で、1週間に1回程度との回答が45%となっている。また、一か月間に化粧品に使用する金額は平均で140,000VND(750円)となっている。
またベトナムでは、若者を中心に韓国メーカーのブランドが人気を集める傾向にある。
韓国の化粧品が人気を集める背景には、韓国のドラマなどの普及により、韓国の女優や歌手にあこがれる若者が多いことがあると思われる。