海外進出ノウハウ

[ 海外出展 ] INSIGHT 22 商品企画

Google+ Pinterest LinkedIn Tumblr

売場の「棚」から提案できる商品開発がヒットの要です

 

加工食品のプロデューサーであり、メーカーでもある渡部紘士さん。中小食品メーカーの商品開発や販路開拓を次々に成功させ、危機に陥ったメーカーも見事に再生させています。価格競争に巻き込まれず、バイヤーの心をつかむ高付加価値な商品開発の秘訣とは?

 

渡部紘士 さん

 

 

コンセプトやパッケージを変えて
「置かれる棚」を変える


「なぜ、シーズコアが関わった商品は売れるのですか」とよく聞かれます。ひとつには、自社で8000店舗を超える販路を持っていること。そして「いかに売るか」という視点で、売場の棚のことまで考えた商品開発を行っているからです。
商品は、市場に合わせたブランディングを行い、客層と商品構成がマッチした売場に置かれることでヒットします。しかし、中小の食品メーカーの多くが良い商品をつくっているにも関わらず、価値を伝えるブランディングができていません。その結果、スーパーやドラッグストアなどの値段勝負の店で大手メーカーとの価格競争に巻き込まれてしまい、疲弊して経営状態を悪化させてしまっているのです。
商品は、コンセプトやパッケージを変えることで、「置かれる店」や「棚」を変えることができます。中身は同じでも、セレクトショップなどの価値訴求の店に置くことができれば、価格を10倍にしても売れる状況をつくりだすことができるのです。僕たちはこうした視点で、さまざまな商品を生まれ変わらせてきました。

 

独自の展示会

 

 

バイヤー目線を意識して、確実に「売れる」商品を創り出す


メーカー側は、自分たちの思いだけで「こんなに良いものをつくりました!」と商品を開発してしまいがちですが、バイヤー側からすると、「これはどこの棚に置けばいいんだ?」と悩むようなものが少なくありません。モノは良くても使い道に悩んだら、結局は買いませんよね?
また、「料理好きな男性」を意識してつくられた棚に、女性っぽいパッケージの商品を置いても売れにくいですよね。売れなければバイヤーはもうそのメーカーからは仕入れなくなるので、こちらから「こういうターゲットで開発したんですよ」「こういう棚に置いてください」とわかりやすく示してミスマッチを防いでいくことが大事です。
こうした商品開発の考え方は、海外市場がターゲットであっても同じです。
僕たちは、2~3ヵ月かけてメーカーさんからヒアリングを行い、徹底した市場調査を経て、約14 ヵ月でブランドを構築します。バイヤー目線で「売れる」商品を創り出します。そのプロセスと考え方の秘密をお教えしましょう。

 

 

● CHECK POINT 1

「売場をつくる人にとって便利だから売れる」という発想を持つ


カタログ

 

一般の広告代理店は、メーカーがつくった商品のカタログを制作して終わり。しかし、僕らは売場に置いてもらいやすい商品企画やパッケージデザインから考えてサンプル提案し、制作したカタログは取引実績のある約8000店舗のバイヤーに配布しています。
カタログは一般消費者向けではなくバイヤー向けで、注文書形式になっています。役に立たなければ捨てられてしまいますが、弊社のカタログはファイルしてストックしてくれるバイヤーがほとんど。ターゲット層のライフスタイルやパッケージに統一感を持たせて提案しているため、一冊のカタログからいくつも棚をつくっていくことができるからです。20坪ほどの売場であれば、一晩で計画できてしまうんですよ。
これから新店舗の棚をつくるというバイヤーもよく弊社に相談に来られるのですが、それはカタログをお見せしながら、「こういう商品構成で三尺一本(什器の幅)で仕入れ代金がいくら、月坪単価で売上げはこのくらいとれますよ」というところまで計算して示せるから。つまり、売場をつくる人にとってすごく便利だから売れる。でも、その視点に気づいていない中小メーカーさんが多いですね。

 

 

● CHECK POINT 2

「升形」で「ペルソナ」を設定し、商品を積み重ねていくと「棚=売場」が見えてくる


商品開発の核となるのが、「ペルソナ」の設定です。ペルソナとは、マーケティング用語で「企業が提供する製品・サービスにとって、もっとも重要で象徴的なユーザーモデル」のこと。
一般には、年齢、性別、年収、家族構成などのほか、価値観、趣味嗜好、消費行動など、あらゆる詳細な条件づけを行い、あたかも実在するかのような人物像を設定しますが、弊社ではより「棚づくり」や「ブランド化」を意識した商品開発を行うため、独自の手法を考案しています。

 

商品開発を行うための独自手法

 

[プロセス1] ユーザーの条件で「升」の枠を決める

まず、狙っていくマーケットを構成するユーザーの要素を定めます。あまり細かな条件付けをするとマーケットが狭まってしまうため、「性別や属性」「年齢層」「収入(可処分所得)」「趣味や生活スタイル」くらいに留めておきましょう。これが、一番上の「升」=「ペルソナ」となります。

 

[プロセス2] 関連商品を積み上げていく
「ペルソナ」にあわせて関連商品を考え、積み上げていきます。アイテム展開することで、売場の「棚」をつくりやすくなります。

 

[プロセス3] 「升」の大きさ=市場規模を考えてみる
商品単価×展開店舗数×1店舗の入荷数を考えてみることで、それぞれの生産数や全体の年間売上げ目標が見えてきます。展開店舗数を想定するために、その商品をどこに置きたいか(コンビニ? セレクトショップ?)や、展開地域(全国? 一部エリアのみ?)を考えてみてください。

 

 

● CHECK POINT 3

「シェア100%」がとれる新しい市場を創り出す


売上は、「市場×売場×シェア」で計算します。たとえば1000億円という大きな市場でも、競合が多くてシェアがとれなければ利益はゼロ。しかし、1億円の市場しかなくても、シェアを100%とることができれば1 億円を売上げることができます。
競合のいないブルーオーシャンを探すのは困難ですが、自ら「新たな市場」を創り出せば、すぐにシェア100%。その際、すべて一から商品開発する必要はなく、既存商品の「見せ方」や「使い道」を変えることで新たな市場を生み出すことが可能です。

 

発想のヒント

 

 

● CHECK POINT 4

商品をつくるより、「お客様」をつくれ


僕たちは900店舗のパイプができたところで、展示会出展をやめました。自分たちのお客様を持っているとペルソナが設定しやすく、商品開発がよりスムーズになります。さまざまな売場に魅力的な自社商品が並べば、費用をかけて展示会に出なくても、バイヤー側からコンタクトがあります。
しかし、お客様がいないうちは、やはり展示会出展が有効。そこで収集した見込み客のデータを有意義に活用してください。

 

パイプをつくる。注文が入ってから、商品を生産する。