海外進出ノウハウ

[ 海外出展 ] INSIGHT 12 伝わる商談資料

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商談相手のメリットを考えながら自社の強みを整理してください

 

中小企業の悩みに向き合い、数多くの商談に立ち会って販路開拓支援を行ってきた南 勇さん。展示会の現場で有意義な商談を行うために欠かせない「伝わる資料づくり」のコツを教えていただきました。

 

南 勇さん

 

 

相手のメリットを考えなければ製品の魅力は伝わらない


海外企業との商談において、日本のメーカーに圧倒的に多いのが、「This is thebest. 買わないほうがおかしい」という売り込みです。
みなさん、自社製品がどれほどすごいかをアピールするのですが、相手企業は「それでこれを買うと我が社にどんないいことがあるの?」「自国でどうやって売ったらいいの?」と考えているため、話が噛み合いません。買う側は購入後のメンテナンスが気がかりなものですが、売り手がその後のフォローを考えていないケースも多いですね。
このような相手のニーズを考慮しない一方的な売り込みは、不信感を招くだけで商談成立にはつながりません。

 

 

FABE 分析でベネフィットが伝わる営業トークをつくろう


商談には、商談相手のベネフィットに訴求する、自社のアピールポイントをしっかり整理してから臨んでください。 その際、米国3M社が開発した「FABE分析」が役立ちます。まず、Feature(特徴)、Advantage(優位性)、Benefit(顧客便益)、Evidence(証拠)を考え、それに沿ってストーリーを展開することで営業トークをつくりあげていくのです。
日本のメーカーは、自社製品の特徴と優位性までは語ることができます。ところが、ベネフィットとエビデンスを示すのが苦手なのですね。
私はよく、「お客様がどのように使ってくれるかを考えましょう」と言うのですが、単に「商品寿命が長いです」「工程を自動化しました」ではなく、「こういう理由で、このように御社のお役に立ちます」という因果関係を伝えなければならない。たとえば、「ユニット品の目検工程を自動化しますので、作業時間を30%省力化できます」と説明すれば、顧客の便益が伝わりやすい。
その話を信頼してもらうために、科学的なデータなどで証拠を示すのがエビデンスの役割です。エビデンスが欲しいというと、技術畑の方は工業試験場のデータや図表だけを出してくるのですが、重要なのはそのデータにどのような意味があるのかをわかりやすく説明することです。技術者ではない営業の人やオーナーがブースに来ることも想定して資料を作成してください。
このように4つの要点をまとめて商談に臨むと、短い時間でも十分、取引につながるお話ができます。

 

〇FABE 分析

FABE 分析

 

 

FABE分析を1シートで表現して商談用の資料を作成する


FABE分析ができたら、それをA3サイズの1シートに具体的に置き換えてみましょう。これが商談の際に、お客様にお見せするプレゼンシートになります。
まず、日本語で資料をつくります。要点を把握するために、実際に商談の場に出る人が作成してください。
文字は少なめに、写真や図版、イラストを多用して、1ページで仕上げるのがコツ。ビジュアルも意味のないカットは避けます。
大事なのは、ここに「ものづくりの写真」を載せることです。日本製品は技術力が高いが価格も高いと思われているので、その理由やこだわりを納得してもらえるような現場写真を載せるのです。
下の図はある部品メーカーさんのプレゼンシートです。細密な部品をつくるために顕微鏡を覗きながら1本ずつ手作業でコイルを巻いている姿を掲載しました。そして、「小型で出力の高いモータ!その秘密は、コイルの巻き方にあります」というキャッチコピーで訴求しています。
現場の努力や社長の熱い思いに触れ、具体的な用途やエビデンスを知ってもらうことで取引へとつなげていくのです。

 

プレゼンシート例

 

 

出展前に社内で商談のロールプレイングをしよう


日本語の資料ができたら、それをネイティブな英語に翻訳します。必ず、実績のある翻訳会社にオーダーしてください。文字数が少ないので、費用は少額で済むはずです。仮に用途の違う製品が3つあったとしても、この資料を3枚つくって持っていれば事足りるので、費用面でも現実的です。公的機関の補助金制度も活用してください。
実際の商談では、まずお客様が自社製品のどこに関心を持っているかをヒアリングし、この資料を見せながらベネフィットを中心に話をします。できれば、出展前に日本語でロールプレイングをしておくといいですね。要点が短くまとまっていれば通訳さんも翻訳しやすく、有意義な商談となります。

 

 

ちょっとした“出し惜しみ”でうまくいかないことがある


商談をサポートしていて気になるのが、ちょっとした出し惜しみです。
たとえば、せっかく先方のオーナーが興味を示しているのに、あと一押しの営業をしない。「私が来週、御社の方面に行きますので、現場の皆さんに説明をさせていただけませんか?」と一歩踏み込めば取引が実現しやすくなります。
向こうから「サンプルを送って」と言われたのに、送っていないケースもありますね。連絡するのはこちらからが当たり前。展示会の賞味期限は1ヵ月。2ヵ月も放っておいたら、相手はもう忘れていますよ。
製品を相手国の展示会に出していただけるようなケースでも、厚意に甘えて先方に任せきりではダメです。自社製品を説明するのですから、手間や費用を惜しまず誰かが行かなければ。
もう一歩、力を尽くして、お客様としっかり絆づくりをしてください。