海外ビジネスナビ | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

COLUMN

< トップページへもどる

【中東ビジネスのヒント】第16回 「わが社は、特殊ゴミ(医療ゴミ等)の高温焼却炉に関して国内で実績を積んでいるメーカーです。 環境問題に目を向け始めていると聞くGCC諸国に輸出を検討したいのですが、どのように取組めば良いのでしょうか?」


  • 2017-06-22
  • 中東
  • 国の概況と動向
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

GCC諸国では、環境意識が徐々に高まって居り、結論的には、市場の興味を惹くアイテムであろうと思います。 然し、アイテムの性質・用途上、購入は当該国の政府(或いは、自治体、UAEの場合には首長国政府)が、競争入札形式で行うものと思われます。

その場合、先ずは、価格優位と技術優位の両面で入札に勝ち残らねばなりません。その為、現地での事前調査ワーク/エージェントの選定/施主(事業主体)となる政府部局・機関との緊密なコンタクト(含む、製品のプレゼンテーション)の必要性等を考慮すれば、現地でのプラント入札(或いは、機器類輸出)の経験を有する(専門)商社を起用することが効率的であろうと思われます。

以下に、進め方に就き、若干の補足を加え度。

 

 

1.案件情報の入手

 

 (1) GCC各国の将来案件・調達計画(例えば、医療ゴミ焼却炉導入計画)等は、必ずしも前広に公開されては居らず、自ら情報を取りに行かざるを得ない。例えば、中東地域に特化した経済誌MEED(Middle East Economic Digest )等では時折、「中東の環境問題関連プロジェクト」といった特集を組み、独自の取材結果を纏めて記事にすることはある。然し、情報が記事として公表された時点では、既に、必注覚悟の企業は、先行して動き始めている。」ということも業界の常識である模様。

 

(2) GCC各国政府は、自ら専門家を擁して自国の環境保全・リサイクル政策を立案実施しているケースは少なく、欧米のコンサルタントを起用し、「全体計画」を立案策定させているケースが多いと思われる。計画の存在を調査するためには、先ず、当該国政府の所管部局(=施主)を訪ね、将来計画・調達ニーズを探ることがオーソドックスな手順。但し、計画の発表前の関連情報の聴取は一般的には難しく、施主を訪問する際には、「情報入手に来た」「売込みに来た」という姿勢ではなく寧ろ「(貴国が抱えている、或いは、将来抱えそうな)問題の解決策のご提案」という形をとってアプローチする方が情報入手の可能性は高まろう。

 

 (3) 技術プレゼンが必要な場面では、メーカー自身が訪問し直接行うべきであろうが、当該案件のニーズ/計画の有無に関する調査・情報収集は起用商社が代行し得る領域の仕事。又、GCCでは、公共部門の入札に際して”代理店”(エージェント)を立てることを参加の要件としている国もあり、そのような国では、案件情報収集段階から有能な代理店を起用することを起用商社と共に検討すべき。

 

(4) 起用商社/代理店の情報収集ワークを通じて、当該医療ゴミ焼却炉案件の施主側コンサルタントが判明、或いは、起用される可能性が高い候補コンサルタントを数社に絞り込めた場合は、それらコンサルタント企業に対して、「問題解決の提案」を仕掛け、自社技術の優秀性を売り込みつつ案件情報収集をトライすることも重要。

 

(5) 施主側の発注スコープが、機器単体の供給ではなく、「据付」まで含むものである場合、現地での適格コントラクター(据付業務を行い得る建設業者)の目星を予め付けて置き、入札発表後速やかに「現地据付コスト」の見積入手が叶う体制を準備して置くことが必要。これを応札価格に反映させ入札に臨むこととなる。

 

(6)貴社が自社名義で海外案件を遂行した経験が十分でないと判断される場合、現地据付工事部分で組む、現地コントラクター名義で応札し、貴社は同コントラクターに対する「機器売切り」という契約形態も可能性としては考えられる。この点は、貴社が総合的に判断され現地コントラクターと折衝される重要ポイントであろう。

 

 

 

2.入札参加

 

 (1) 現地で密な情報収集活動を行っていれば、入札の正式発表のタイミングを事前に予測できることもあり、如何に早く入札情報を入手できるかは非常に重要。

 

 (2) GCCの公共入札では、公開入札が一般的であり、価格/技術プロポーザル提出の締切日に、その場で提出価格を公表する方式も多く取られる。即ち、価格に関しては その場で、何番目に着けたのかを知ることとなる。

 

 (3) GCCで多く行われる施主側の進め方の一例として、「一番目の価格(即ち、最安値)を提出した応札者が、“契約の優先交渉権”を得て、技術審査に臨み、技術的にクリアーできれば、契約に至るが、もしできなければ、2番札の価格を提出した企業が次なる優先交渉権を得て技術審査に入る」という方式がある。

 

 

 

ここで重要な点は、「如何に競合他社より早く、案件情報を入手できるか?」、又、「施主側コンサルに自社製品の技術的優位性をどれだけアピールできるか?」、更には「施主側の要求スペック・性能条件をクリアしつつ、如何に、競争力のある入札価格を作り得るか?」であろう。又、現地据付業者選定に際しては、現地企業の目利き能力/交渉機能は必須ゆえ、現地事情に明るくプロジェクト案件の実績を有する商社の起用も重要となろう。受注後も施主である政府部局やコンサルとスムースなコミュニケーションを実現し、プロジェクト遂行上の問題解決に於いても、種々、適格なアドバイスを得られるように、代理店も、政府向けプロジェクト案件で外国企業と遂行した経験の豊富である会社であることが望ましい。

 

 

 

 

 

 

 

Profile プロフィール

国際化支援アドバイザー(国際化支援)富山 保
総合商社に38年勤務し長年海外ビジネスに携わってきた。若い頃の会社派遣のアラビア語研修皮切りに、
合計約15年間の現地駐在経験(サウジアラビア・UAE等)を有する。

一覧へ

トップへもどる