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【中東ビジネスのヒント】第13回 「ドゥバイ(及び、その他GCC諸国)向けに、日本の「漆器」を輸出したいのですが、果たして市場性はあるのでしょうか?」


  • 2017-04-06
  • 中東
  • 国の概況と動向
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今現在、GCCに代表される中東市場に於いては、「漆器」は殆ど出回ってはいないと思われます。GCC諸国は、インドネシア/マレーシア等アジアのイスラム教国とは歴史的にも古くから人の交流はあり、そのようなルートでアジアの漆器が市場に紹介されていたとしても不思議ではありません。然し、量的には非常に限定的なものであったと思われます。
結論的には、市場開拓は不可能ではないでしょうが、「漆器」そのものに対する知識・理解が欠如していること、又、日本の歴史・伝統・文化に関する情報が少なく関心も低い市場ゆえ、“日本製”「漆器」の価値を分からしめる為に相応の努力(コスト)と時間を要するでしょう。即ち、それなりの先行投資する必要がありましょう以下に、若干捕捉致します。

 

 

 

1.「漆器」に対する認識の向上と“日本製”漆器の差別化の必要性

 

(1)漆器は中国~インドシナ地域に於いても生産されているアジア特有の工芸品である。
製作過程も手が込んでいるが、取り扱いにも気を遣う必要があり、特に、“高温/乾燥/直射日光”は漆器の大敵とされる。GCC向けに漆器を紹介する際には、漆器のデリケートな性質と保管・取扱い上の留意点等の丁寧な説明は不可欠である。

 

(2)日本以外のアジアの国々で生産される漆器は、日本製より遥かに廉価で輸出されていると思われる。(但し、漆器そのものは、GCC市場には限定的にしか存在していないと思われるが。)

 

(3)然し、輸入市場サイドでは、“同じ漆器”としか認識されないので、日本製品はこれらアジアの国々原産の漆器と価格で競合するというハンディを背負うこととなる。 それを避けるには、日本製漆器独特の発展の歴史と工法の違いを市場/消費者に対し分かり易く説明し、理解を得ることが肝要。即ち、“差別化”の為の教育が必要となろう。

 

(4)そのような日本製漆器に関する情報・解説を“権威と信頼性を醸し出す”場所/メディア等で紹介することは、有効な“教育”の一案かと思われる。即ち、その為の、参考資料/説明パネル等を作成し、実物の漆器と共に厳選された場所に展示・掲載し地元の人々(潜在的購買者)の理解を深め、関心を高める努力を行うことが必要であろう。⇒(先行投資としての)教育・宣伝活動

 

(5)展示する場所としては、日本大使館/大使公邸、総領事館/総領事公邸、或いは、高級ホテルのロビー、高級和食レストラン、高級品に特化したモール、等が考えられる。要は、当該市場の中では教育レベルが高く、経済的にもより富裕な層の目に止まる場所を選び展示することが重要。(先ずは、それら候補の場所を「クールジャパン」の観点から説得し、展示への協力を取付けることが先決だが。)

 

(6)そのような展示物に添付する資料/解説は、博物館の展示物に添えられているように簡潔でアピール度の高い凝縮された文章であるべきで、アラビア語/英語併記で作成することが必要であろう。それら裕福で海外の事物に好奇心を抱きそうな層を教育することが、市場に日本製漆器の存在と価値を認識させ浸透させるスタートとなろう。

 

 

2.マーケティング

 

(1)欧州で、「漆器」の受容度・認知度の比較的高い、イタリア/フランス/英国等は既に、様々な意味で「日本/日本的な文化」に対する人々の関心・認知度は高い国々であり市場である。それとは対照的に、GCCでは(最も国際化しているドゥバイであっても)、一部の工業製品・耐久消費財ブランドを除いては、日本の存在感は薄く、一般消費者の日本(含む、歴史・文化・社会)への関心・認知度は低いのが実情である。先ずは、この現実を認識し、斯様な状況を克服する活動からスタートすべきである。

 

(2)西欧の上記国々に比して、GCC各国は一人当たりの購買力は大きいものの、人口が
少なく、市場規模は小さい。拠って、販売がスタートした後も、”規模のメリット”を期待することは難しいと思われる。更には、同地域の卸・小売業者は斯様ないわば趣味品/奢侈品には(仕入値に)大幅なマージンは乗せることが一般的である。従って、潜在購入希望者に手の届かない程の高価な値付けにならぬように、綿密な市場調査と価格戦略策定を行うことが重要であろう。

 

(3)市場規模/価格レベル/商品の性質等から、高級漆器は常に回転する商材ではないことから、専門の販売店舗を設置することは難しいと思われる。従って、高級品の販売に特化している小売店舗(例えばGAZZAZ/Jashanmal/Paris Gallery/Harvey Nichols等々の”department-store”と呼ばれる店舗)やDAMAS(宝飾品店)等の店舗に陳列と販売を委託することも一考に値しよう。

 

 

 

 

 

 

Profile プロフィール

国際化支援アドバイザー(国際化支援)富山 保
総合商社に38年勤務し長年海外ビジネスに携わってきた。若い頃の会社派遣のアラビア語研修皮切りに、
合計約15年間の現地駐在経験(サウジアラビア・UAE等)を有する。

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