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【中東ビジネスのヒント】第6回 GCC市場向け製品輸出に於いて、現地ディストリビューターを起用することは必須か?起用のメリット/ディメリットは? 


  • 2016-12-15
  • 中東
  • 国の概況と動向
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現地の市場向けに日本から製品を輸出し顧客に販売する形態として次の4つが考えられます。

 

 

メーカー(或は、輸出者)が、独自に発掘した現地市場の顧客/ユーザーに直接輸出・販売する。

 

現地市場に起用した代理店が、顧客/ユーザー向けに販売をプロモートし、メーカー(或は、輸出者)が顧客/ユーザーに直接輸出・販売し、代理店は予め代理店契約書にて合意した手数料/口銭を得る。

 

メーカー(或は、輸出者)の現地市場に於ける支店が顧客/ユーザー開拓を行い、メーカー(或は、輸出者)が、直接輸出・販売する。

 

メーカー(或は、輸出者)が、現地市場に販売(代理)店(以下、「ディストリビューター」)を起用。ディストリビューターは製品を自己の責任と勘定において輸入・在庫し、

   

     独自に開拓した顧客/ユーザーに自己の利益を確保した上で販売し、代金を回収する。

 

 

GCC各国には、外国企業との輸入(販売)取引において自国の代理店/販売店の利益と立場を保護することを目指した、「商代理店法」(代理店保護法)があります。 実際には、上記②の代理店という形態と、④のディストリビューターという形態がありますが、「商代理店法」はこの両方を対象としていると理解できます。

GCC各国では、外国企業が自国内で自由に物品/サービスを販売することを認めて居らず、自国に設立登記されている企業(51%以上自国資本であることが基本的な考え方。但し、サウジアラビアとバハレーンでは、特定の分野を除き外資による100%出資の事業の設立は可能。)のみ販売を認められています。

これらの制約を鑑みるに、多くの製品・商品の現地市場への輸出・販売に際しては、上記④の形態が現実的であろうと思われます。実際に現地にディストリビューターを起用する段階では、ディストリビューター・シップ契約書の起草、及び、現地商代理店法との整合性の確認の為に、本邦/現地で弁護士の専門的アドバイスを求めることが必須となりましょう。

GCC6か国の商代理店法はその考え方は似ています。ここでは、産油量が少ない故に石油に依存できず、ドゥバイより早く70年代後半から「外国企業にとって地域でのビジネス拠点」として機能してきたバハレーンを参考例として取り上げ以下に概観します。

 

 

 

  1. 1.ディストリビューター起用は理に適う選択

 

 

(1)「日本からは地理的に遠く、且つ、日本と言語・文化・宗教・商習慣・消費者の嗜好等が異なる」GCC市場で自社製品の販売(マーケティング)を行うに際して、市場の事情に精通している現地の企業を

ディストリビューターとして起用する意味はある。 ディストリビューターを起用せぬ場合には、自社で現地法人を設立し自ら販売する方法が慈善の選択となろう。

注)GCC6か国中、サウジアラビアとバハレーン は、特定分野を除き、外資100%での会社設立が認められている。

(2)   メーカー(或は、輸出者)が、GCCの市場で現地企業(ディストリビューター)に任せずに、 “自前(自社流)の販売”を目指し自社製品のマーケティングを独力で推進してゆくという長期的戦略を有するならば、

現地に販売会社を設立する意味はあろう。その場合、進出検討/市場調査段階から自社出張者を派遣し、情報・知見の蓄積を行う必要となろう。 その中には、進出時に必要になるであろう、現地市場に精通する有能な幹部社員・営業要員のリクルート方法の見極めも含まれる。 販売会社設立後は、現地で採用したそれら現地幹部社員・営業要員達に自社流の販売哲学・方針・手法、及び、製品知識・技術等の教育を行うことが重要。

(3)   ディストリビューターは、市場で「①製品の拡販、②ブランドの知名度とイメージの向上、③品質保証・クレーム対応(アフターセール・サービス)」を自社に成り代わり担って貰う(市場での窓口として)ことが役割。

従って、その目的を達成する意欲と能力があり、且つ、自社流の販売哲学・方針を理解できる企業であることが必要条件となろう。

(4)    GCC各国には、(商)代理店法と総称される、「商代理と商品・サービスの販売を規定する法律」が存在し、その規定に則ってディストリビューターとの間で契約を交わした上で取引を開始することが必要である。

 

 

2.バハレーンの代理店法の骨子

 

 

(1)根拠法:「商代理店法」(1992年):(Commercial Agency Law, LegislativeDecree No.10 of 1992)

(2)登録代理店の要件:バハレーン人、或いは、バハレーン資本が過半数を占める法人。代理店は、登録をすることにより、同法律上の適用を受ける。

(3)商代理業の定義:代理店(バハレーン企業)が委託者(非バハレーン企業)を代理して製品/サービス の販売を行うことを商代理行為と規定する。

(4)商代理店を使わないケース:バハレーンに於ける最終購入者/需要家が輸入許可を有する場合には、非居住者企業が直接、最終購入者に輸入・販売することは可能。

 (注:これに該当するケース は一般のコモディティー/製品というよりは、例えば、同国製造業が操業・生産活動の為に輸入する原材料の輸入等があると思われる。)

 非居住者企業は、バハレーンでの製品の販売/サービス 提供の為に会社を設立できる。

(5)商代理店契約の登録:代理店は、工商業省(the Directorate of Company Affairs、

 Ministry of Industries and Commerce)に商代理店契約書を登録することにより、商代理店法の適用を受ける。

(6)商代理店契約の未登録:商代理店契約の未登録代理店は同法の対象外となる。

(7)商代理店契約登録の抹消:契約の解約、或いは、期間満了後、1か月以内に登録を抹消せねばならない。 又、委託者が代理店の同意なしに期間満了前に登録を抹消することはできず、抹消されるまでの間は、

    後継代理店を起用できない。

(8)独占代理権:商代理店が唯一の独占的代理店である必要はない。(但し、独占代理店とする場合には、契約書上にそれを明記し登録する。)

(9)準拠法:契約書上はバハレーン法以外を明記できるが、実際の係争局面では裁判所は、バハレーン法を適用する可能性が大。

(10)期間:商代理店契約の期間に関する規定はない。

(11)代理店契約の終了:有効期限付き契約の場合は、期間満了と共に終了。一方、期間の規定のない契約は、両当事者による合意、或いは、裁判所の裁定によって終了させ得る。代理店の契約不履行/違反を理由とする契約解消、

    又は、期間満了による終了以外のケースでは、代理店は補償を請求しうる。

(12)代理店契約の解約/終了(非更新)に伴う補償: 登録された代理店が、明らかに自己の販売努力により販売増/顧客増等を結果したことが明らかである場合は、解約/非更新の際に補償を請求しうる。

   (補償額産出に関するフォーミュラーは決まっていないので、予め合意し契約書上に規定して置く事が安全。)

(13)未登録代理店契約の終了:契約の解除条項に則り終了させ得る。

(14)未登録代理店契約の解除/非更新に係る補償:未登録であっても、委託者側の契約不履行・違反を事由とする解約/非更新であれば、損害賠償を請求しうる。又、契約有効期間中に代理店が行った販売投資や特定支出に

     関してもこれを請求し得る。

 

 

 

関連情報ソース:- JETRO「中東・北アフリカ諸国の貿易・投資法制度ガイドブック/バーレーン」- Tamimi & Co. 「Foreign Investment in Bahrain」

  • - PwC 「Doing Business in Bahrain」
  • - 西村あさひ法律事務所 「Doing Business in UAE」
  • - Bahrain Economic Development Boardサイト

 

 

 

Profile プロフィール

国際化支援アドバイザー(国際化支援)富山 保
総合商社に38年勤務し長年海外ビジネスに携わってきた。若い頃の会社派遣のアラビア語研修皮切りに、
合計約15年間の現地駐在経験(サウジアラビア・UAE等)を有する。

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